成功する秘訣、受験のコツ
ウォルト・ディズニーは、成功する秘訣は何かとよく尋ねられるので、その度にこう答えたそうです。「自分でやってみることだ」これがウォルトの答えでした。人生で成功する秘訣は、私にはわかりませんが、受験の成功に関しては、その通りだと思うのです。
私が東大を出ているということを知ると、どうやったら受験に合格するのかとよく聞かれます。「勉強することが大事です」と答えると、「そうじゃなくて、何かコツがあるんでしょう。そのコツを教えてほしい。コツさえつかめれば、合格できるはずだから」というのです。確かにコツはあります。それはこういうものです。
「勉強にコツがあると思うな。覚える必要があることはすべて覚えること。コツを探すひまがあれば、覚えることに時間を使う。コツなど考えないことが、コツだ」
要するに楽しようと思わず、やることをやるしかないということです。いろいろ工夫するのはいいのですが、私はそれでかなり時間を浪費しました。私は基本的に独学なので、試行錯誤を繰り返しましたが、結局、普通に参考書を読み、問題集を解くのがいいと思います。逃げないことです。楽をしたいから、楽な方法を知りたいという流れでは、気持ちはわかりますが、ダメなのです。結局、逃げることはできないと始めから腹をくくることが必要です。
それから、この時付け加えて言っておきたいことは、有効な答えを得ようとするなら、有効な問いをまず設定しなければならないという点です。コツは何かと聞く前に、「コツというものが存在するのかどうか」と考えるべきです。「もしコツがあるとして、それは万人共通のものなのかどうか」と考えるべきです。「ある人にとってのコツがほかの人にとってもコツとなるかどうか」という点に関して、そこが明快でなければ、他人にコツを聞いても意味がありません。
あなたのコツが私にも有効であるかどうかはわからないが、それを聞いて、それから考えてみるというのは、気持ちはわかるのですが、だめなのです。漠然とした問いには漠然とした答えしか返ってきません。
受験でいうと、東大を受ける時と、私大を受ける時では、勉強する科目数が全く違います。また問題も記述式か選択式かで違ってきます。それぞれ傾向が違うので、どの大学のどの学部を受けるかをはっきりさせ、そこの傾向はこうなっているが、それに対する効果的な勉強法はあるかどうかという形で、問いを絞っていかなければなりません。漠然としていてはだめです。できるだけ問題を絞り、有効な問いを見つけ出すことが重要です。有効な問いを見つけられれば、有効な答えが得られやすくなります。
「もし牢獄から脱出しないと命はない。その時間は1時間しかない」と言われたらどうするかと聞かれたアインシュタインは、「55分間を問いを立てるのに使い、残りの5分間で脱出の答えを得る」と答えたそうです。
ほとんどの時間を有効な問いを探すことに費やしています。牢獄の窓から出られるか、壁に抜け道はあるか、床を通って脱出できるか、通れるのはドアだけか、それならドアから出るためにはどんな方法があるか、……こういう問いを立てていかなければなりません。まずそれは、有効な問いでなければならないのです。そういう出発点で、すべてが決まっていきます。
それからそれが有効なのかどうかは、問いの種類、ジャンルにもよって変わります。特に、いかに生きるべきなのかといった哲学的な問いでそうなのですが、うんと悩んだ末に得た答えなら、それが正しいかどうかはとにかく、大切にしなければなりません。いつも柔軟であるべきです。
いずれにしても自分でやってみること、自分で考えてみることが必要です。その点を押さえて、楽をしようとせずに、こつこつと勉強を積み上げていけば、おのずと良い結果が生まれるでしょう。この流れですと、良い結果が生まれるに決まっています。
インスタグラムやフェイスブックを見ると、このコツさえ知れば大金持ちになれるとか、このコツさえあれば天才になれるとか、このコツを使えば歯が真っ白になるとか、一日で10キロ痩せるとか、一日で億万長者になるとか、コツを公開するのでとにかくお金を出せと言った広告がとても多いです。大部分が詐欺です。世の中はそんなに簡単ではありません。実際に多くの被害が出ています。この世の中には、とにかくあなたを騙そうとしている人たちであふれています。
そんな魔法の呪文のようなものに頼っていてはだめです。呪文を唱えても、何も起こりません。呪文はないのです。それを知ることがコツです。
私は「成功」はしていませんので、一般論として成功する秘訣についてはまったくわかりません。ただ、大学受験に関しては、多くの受験生を見てきて、問題作成や採点も長く続けてきたので、少しお話をすることができます。そんな立場から上のお話をしました。
ただそれが、全員の役に立つわけではないことは明らかです。人生というものは間違いだらけで、だいたいは間違いの中に埋もれているのが人生ですから、本当に何が正しいのか、わかりません。正しいことが価値を持つのかどうかもわかりません。いちいち、自分で判断していくしかないのです。
そのためにはまず、はっきり覚悟を決めて、ゴールを見つめ続け、いつも自分で考え、なんでも自分でやってみることですね。
「まとめ」
自分でやってみる
コツは存在しない
魔法の呪文もない
だまされないこと
腹をくくること
有効な問いを考える
問題を絞って考える
自分で判断していく
コツコツ積み上げる
以上のポイントを押さえて、継続することが重要です。上記のポイントを実行しようとすれば、もうその時点でかなり違いが出てくることを実感するでしょう。
天天快樂、萬事如意
みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。
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