運動が苦手です | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  運動が苦手です

 

 

 私は頭が良くないので、昔から苦しんできました。本当にもの覚えが悪いのです。

 また、人の言ったことをそのまま信じてしまう傾向があり、間違ったことを信じてしまうこともよくあります。そうすると、あとから自分で自分の知識を訂正するのが大変なのです。あまり柔軟性がありません。

 そのため、一生懸命、真実を見極めようとして努力してきました。

 努力だけは続けてきましたし、今も努力しています。

 自分には足りないものが多すぎるので、人に笑われながら、努力だけはしているのです。

 いつも不器用で、試行錯誤の連続です。

 

 しかし、私がいくら頭が悪くても、勉強の分野なら、何とかなる場合があります。

 例えば学校などの試験ですと、何度も問題集の問題を解いて、準備すれば、何とかなるわけです。この場合、答えが正しいか正しくないかという点は、わりと公平な場合が多いです。この世界には本当に理不尽なことが多く、うんざりしますが、学校の勉強や試験は、まだましな領域であり、がんばれば努力が報われるのです。

 

 私が苦手なのは運動です。運動はどうしても得意ではないのです。

 体が硬くていうことをききません。練習次第で柔らかくなるというのは嘘です。

 体が硬くてよかったことは、短距離走がとても速かったということです。柔らかいよりも体が硬い方が瞬発力が出ます。

 短距離走が得意となったのには、もう一つ理由がありました。私は運動音痴で自転車に乗れなかったのです。それで小学生の時に友達が自転車に乗っているので、私はいつも走ってついていったのです。そして自転車と競争しました。そうしたら、かなり足が速くなり、いつもリレーの選手を務めました。

 これはあるカンのようなものがあって、頭の中でスイッチを入れると速くなるのです。このカンのようなものは、剣道で面を打ち込むときのカン、空手で突きを出すときのカンと似ています。そういう感覚を学んだのです。

 そのうち自転車にも乗れるようになりました。しかし体はいつも硬直していて、足が開きませんし、前屈もできません。

 道場などでよく、けいこ不足だから体が硬いと言われましたが、そうではないのです。

 無理をして柔軟をして、体を壊して、ひどい目に会ったことがあります。体質というものがあり、柔らかくなりません。

 私の性質と同じで、真面目すぎるという部分がどうしても変えられず、いつも固いままなのです。くそ真面目な性格と体は呼応しているようです。

 いつも体に力を入れすぎてしまうので、脱力ができず、そこに問題があることはわかっています。

 

 運動の面において、一生懸命、努力はしました。先ほども少し触れましたが、中学生の時は剣道部でした。かなりしごかれました。その後、太極拳を独学で学びました。中年になって空手道場に通い、鍛錬をして黒帯になりました。それはとても大変で、時間がかかりましたが、さまざまなことを学びました。

 武道では脱力が大事です。しかし脱力に至る道は、とても険しく、力を蓄えなければなりません。努力だけで黒帯になりましたが、自分に足りないものばかり目につきます。まず足りないのは柔軟性ですが、そのほかにも足りないものだらけです。

 

 世の中には、マウントを取りたい人が多くて、「おまえなんか勉強はできても運動ができないだろう」と言ってくる人がいますが、それは誤りです。まず私は勉強ができません。授業では基本的なことを質問するので、学校の先生からはとても嫌われていました。劣等生です。それから運動は勉強よりももっと苦手です。ですからマウントを取る意味がないです。最初から底辺にいる人間に対してマウントを取っても、仕方ないですね。勉強も運動も苦手です。私に足りないものはたくさんあります。数えきれません。

 

 私はアイスホッケーをしたことがありません。ロシア語を学んだことがありません。スウェーデンに行ったことがありません。飛行機の操縦を学んだことがありません。オックスフォード大学に留学したことがありません。イルカと泳いだことがありません。エンジェルフォールを見たことがありません。潜水艦に乗ったことがありません。月に行ったこともありません。南極を歩いたことがありません。足りないもののオンパレードで、いつも勉強不足、努力不足です。足りないことはわかっていますので、それをわざわざマウントを取るために指摘してもらっても、私に学びはなく、何の意味もありません。わざわざマウントを取りに来る人は、きっと完璧な人で、世界のすべてを体験し、すべての国を訪れ、すべての言葉を話し、すべてを知っているのでしょう。お金持ちでスポーツも万能なのでしょう。劣等生で貧乏な私とは別世界に住む人です。比較にすらなりません。

 

 運動は苦手ですが、散歩をすることは好きです。これは、体が硬くても、歩くことはできるからです。長いあいだ、愛犬のルメと散歩をくりかえして、朝の森のさわやかな風を吸い込み、愉しい時間を過ごしました。あれはルメからのプレゼントだったと思います。ルメは16年半生きて、昨年死んでしまいました。ルメのいない散歩ほど、つまらないものはないということがわかりました。

 

 

 

天天快樂、萬事如意

  みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

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