「かりん」1月号の私の歌 怯える秋 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  「かりん」1月号の私の歌 怯える秋

 

 「かりん」1月号掲載の私の詠草を下に引用します。11月はじめに提出していますので、1月向けの歌というようなことは考えていません。いつも通りに歌を作って提出しています。

 愛犬ルメが死ぬ前の10月に作っている歌で、まだ秋であり、この時はまだルメは生きています。

 夜中、なんどもルメを外に出して、星を仰いでいました。

 東京ですが、スバルも見えました。

 スバルは、もやもやとした星の集まり、星団につけられた名前です。平安時代の清少納言「枕草子」にもでてきます。「集まって1つになる」という意味の言葉であるようです。欧米ではプレアデス星団と呼ばれます。

 谷村新司さんはいろいろな名曲を歌っていますが、「昴」(すばる)は素晴らしい歌ですね。アリスを再結成して、これからまだまだやるというときに亡くなられたのが惜しいです。

 頭の中で突然楽曲が閃めいた。そのまま書いたのが「昴」だと、谷村さんは話しています。そのときは「プレアデス星人」と交信して作ったということです。

 2023年10月8日、74歳没です。戒名は「天昴院音薫法樂日新居士」(てんぼういんおんくんほうらくにっしんこじ)というのですが、昴の字が入っていてすごいと思います。曹洞宗の檀家だそうです。ご冥福をお祈りいたします。

 アインシュタインと聞くと、一つの石という意味が浮かんできます。ノイシュバンシュタインは新白鳥石ということになりますが、この石には、墓石という意味もあります。物理学者のアインシュタインが舌を出すことは、しばしばあって、その写真には「人間味」というタイトルが付されることもあります。私は中学生のころから、相対性理論と量子論のとりことなり、アインシュタインを尊敬しています。思い付きで歌を詠んでいません。ただ私がここで何を語っても、相対性理論や量子論を理解している方がとても少ないので、馬鹿にされるだけだということもよく知っています。

 

 

 

    怯える秋             東京   日置俊次

 

 

イヌタデがこんなにピンクに咲き誇る森を見てゐるカートのルメは

 

十月の公孫樹並木の枝はらふ高所作業車とことんのびて

 

夜なかにも飛び起きてルメを運ぶなり星空の下でゆまりするルメ

 

木星の上にスバルがわだかまりもつれたるまま 新司逝くなり

 

アインシュタインが一つの石であることを思ふときどき舌を出す石

 

おほいぬ座こいぬ座見えてオリオンも南天歩む寒き二時なり

 

ルメなるやわれなるやもうわからねど抱きたるままに水飲ますなり

 

ルメより先に倒れてしまへばどうなるか怯えつつ秋は深まりてゆく

 

 

  

 

  

 

皆様のご健康をお祈りいたします。

   そして皆様に、すばらしい幸運や喜びがやってきますように。

      いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。