新入生のみなさんへ | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
粒あんが好きですが、こしあんも好きです。

 

  新入生のみなさんへ

 

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 これは先日、卒業生の皆さんのために贈った漢詩ですが、もう一度ここに井伏鱒二の訳で、唐代の詩人于武陵(うぶりょう)の詩「勧酒」(かんしゅ)をご紹介します。

 

 勧酒    于武陵
  勧君金屈巵
  満酌不須辞
  花発多風雨
  人生足別離

 

 コノサカヅキヲ受ケテクレ
 ドウゾナミナミツガシテオクレ
 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
 「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 

 新入生として入学してきた皆さんには、高校を卒業するという別れや、あるいは生まれた土地を離れるという別れがあったことでしょう。

 花が咲けば嵐がきて、花が散ることも多いと、于武陵は言っています。

 つらいことも、つらい別れもたくさんありますが、それはあなたが努力したということ、花を咲かせたということであり、別れの前にはそれだけの出会いがあったということです。いま桜が散っていますが、散る前に出会いが起こっています。花との別れは、花のうつくしさのゆえに、心に刻まれていきます。

 花が咲かなければ散ることはありません。

 花が散ったらまた次の花を咲かせましょう。桜は来年また咲きます。

 豊かな出会いがなければ、「さようなら」もないのです。「さようなら」は出会いの果実です。大学はいつか卒業していく場所、別れが生じる場所ですが、こうしてみなさんにお会いできたことを、まずは喜びたいと思います。この出会いを通して多くのことを学び、成長してください。そして花を咲かせてください。

 そうやって、あなたの夢を実現させましょう。これから私はそのお手伝いをします。

 これからもっとたくさんの出会いと別れを経験して、その分、どんどん幸せになってください。

 

 

   

 

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