ルメとの対話
ルメの写真を撮ることは、いかにも簡単そうに見えると思います。
犬がそこにいるから、そのままケータイで撮ればいいんだろうと考える人が多いと思います。
しかし、そんなに簡単ではありません。
犬は黙ってそこでじっとしているわけでもなく、その時にうまい光がさしている保証もなく、その時にカメラがセットアップされた状態であるかどうかも分からないからです。構図にもいつも工夫を凝らしています。
私がどのような高さでカメラを抱えているか、想像してみてください。多くは膝をつき、あるいは地に這うような姿をして撮影しています。ルメと同じ高さの視点か、それ以下の低い視点でルメに近づいているからです。
ルメが笑ったように見えるとしましょう。しかし、犬は誰にでもそういう表情を見せるものだと思ったら大間違いです。ルメはめったに笑いません。
どこまでもいつまでも、犬と対話を繰り返し、ずっと心を通わせないと、犬のうれしそうな顔はなかなか撮影できません。
天才写真家岩谷薫氏に、「Talking with Angels(天使たちと対話する)」というシリーズがあり、本当に天使たちと心を通わせたことがわかる写真が満載の本となっています。偶然そういう写真になったのではなく、深い対話をした結果、必然的にそういう写真の映像となったという「いきさつ」、あるいは「物語」が、それぞれの画像から鮮やかに立ち上がってきます。生きているはずのない石像に新しい命が吹き込まれています。
岩谷薫氏は、アメーバブログにサイトをお持ちです。
『Talking with Angels』西洋墓地の天使像と『笑とる仏』 : 写真家 岩谷薫 (ameblo.jp)
もちろん神聖さが違うのですが、私もひそかに岩谷氏に倣って、「心」で写真を撮ろうとしているのです。ルメはもともと生きていますし、私と暮らしていますし、その写真をケータイで撮ることは、異国の地で限られた時間の中で天使像と対話することの難しさとは比べ物になりません。しかし、長い時間をかけてルメと対話を繰り返し、ルメの思いを理解して、そのうえで私が写真を撮っているということを確認しておきたいと思います。
そうでなければ、ルメはなかなかこんな表情を見せてくれないのです。
今日はルメを医者に連れて行き、肛門腺を絞ってもらって炎症が分かりました。肛門腺炎の薬を、肛門に注射で注入しました。通院が必要です。
目の充血は、水晶体レンズから老化で出てくるタンパク質が虹彩において免疫アレルギー炎症をおこしており、前部ぶどう膜炎になっているという診断でした。ぶどう膜炎の目薬をもらいました。白内障は進んでいないとのことです。
体重が24キロで、2キロは痩せさせないといけないとわかりました。あちこち悪いところがわかりました。
脚の関節炎はトロコキシルで治療継続です。栄養のために、以前からアンチノールを与え続けています。
いつもルメの世話を精一杯して、ルメもそれを分かっていて、それでルメが私に見せる表情というものがあります。ただの一瞬、偶然で見せている表情ではありません。
例えば母親が心からいつくしんで子供を育てているとき、子供が母親にだけ見せる表情というものがあるはずです。それは誰でも見られる表情ではないし、またその表情に現れている感情のすべてを、誰でも解読できるわけではありません。母親にだけわかる何かが隠されています。
下に載せた写真は、今朝、ルメが散歩の途中で見せた表情です。ほとんどリアルタイムの、とても新鮮な写真です。いつでもこの顔が撮影できるわけではありません。
台風が日本に近づいています。
みなさまのご自愛をお祈りしています。
心を込めて写真を撮り、記事を書いています。
いつもブログを読んでくださり、ありがとうございます。







