新譜感想 LINKIN PARK 「From Zero」

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どうも、貧困メタラー鶏皮です。


2017年に前任のChester Benningtonが亡くなり早7年。



R.I.P Chester Bennington

漸く新作リリースの日がやって参りました!

 

 

ジャケットはよく分かりません。液体系?MetallicaのLoadオマージュ?

 

※超見辛いメンバーショット

 

去年Apple Musicのサブスクを半年間無料で解約したのでフィジカル購入です。ダメ?ワタシャー古い人間なんです!合理性ばかり追うつもりはありません!

推し活みたいなもんです、推し活!



え?

こんな儲かってるアーティストに今更儲けさせる意味があるのかって?


せ、正論ばかりが正義じゃないんです!多分!



さて、今年に入って一気に活動再開まで話が進んだリンキンですが、Chester氏が亡くなって7年も経過して活動の見通しが全然見えないと思っていた方も多かったでしょう。

私もその1人です。

メンバー側からしたらは長い沈黙を破るためにはどうしても時間が必要だったわけです。人間誰しも、気持ちを整理させるのに、理屈や理論云々ではなく時間が必要になります。

 


そして全然情報を仕入れていなかった身としては突然の再始動と新ボーカリストEmily Armstrongの加入。



これに関して私は歓喜し非常に楽しみでした。

が、やはり世の中は賛否両論。バンドの顔であるボーカリストが交替するのは容易ではありません。他のメンバーよりも明確に音に違いが生まれます。

日本人はボーカリストの交代にとても敏感。海外ではボーカリストの交代は少なくはないです。私は海外のアーティストをメインに聴くので慣れている方だと思います。


今までボーカリストの交代したバンド

成功
・Angra
・Dragonforce
・Arch Enemy

賛否両論
・Gamma Ray
・Helloween
・Killswitch Engage
・Rhapsody of fire
・Secret Sphere
・Separutla
・Skid Row

失敗
・Mötley Crüe
・Iron Maiden
・Judas Priest
・Van Halen


とまあ、挙げてみると分かることは、「成功」または「賛否両論」のアーティストはリンキンと比べると2ステージ分位下階層であることは否めません。

知名度世界的にそこまで高くないからでしょう。

ヘヴィミュージックとは無関係な一般不動リスナーもファンに取り込む事に成功するとボーカリスト交替は失敗するケースが多いんですかね。

例えば更にアンダーグラウンドなデスメタルなんてボーカリスト替わっても、歌声に違和感無ければそこまで取り沙汰になることはありません。

ある意味、音楽だけでなくメンバー自体を商品化しているとも言えますね。

 

とは言え亡くなってしまった以上、新しいボーカリストを加入させるのは致し方ないです。

そうしないと活動出来ません。ここの所は私はドライ。バンド名変えてリスタートなんてのも考えていたらしいですが、過去の楽曲を封印するなんてあまりに勿体無すぎやしません?

どう活動していくかを決めるのはあくまでアーティスト側。

出来上がった本作を聴いてみて、リンキンだとしか思えなかったからだとMike Shinoda氏は答えています。上記の成功枠にいるAngraも別のバンド名を考えてロゴまで用意したのに、出来た音源を聴いて「これはAngraだ」と思って続けることにしたとインタビューで語っていました。


果たして「現在のリンキンのサウンド」とはどんなものなのでしょう!?「同じアルバムは作らない」とQueenに似た信条を持っているリンキン。

これまた音楽性ではなく変化という点においてQueenに超無理矢理に当て嵌めると

1st 「A Night at the Opera」
2nd 「A Day at the Race」
3rd 「Sheer Heart Attack」
4th 「Queen Ⅱ」
5th 「Innuendo」
6th 「Hotspace」
7th 「Made in Heaven」

てな感じですね。かなり無茶ですが。


ようは変幻自在。「彼等らしさ」の定義が非常に難しいアーティストです。


なので今回はどんな雰囲気で来るのか楽しみな方も多かったはずです。アルバムタイトルも『From Zero』とかなり意味深ですし。


そしてブックレットにこんな言葉が。

このアルバムを作りながら、俺たちはこのバンドがLINKIN PARKと呼ばれることになる以前からの原点についてたびたび考えてきた。幾多の紆余曲折を経て、時代は変わり、みんなの生き方も変わり、顔ぶれも変わってきた。ただ、それでも一貫しているのは、自分たち自身を感動させる音楽を創造したいという強い願望であり、それを分かち合うことで他者たちの心をも同様に動かせることを願っている。ゼロから始めるこの旅に、我々とともに参加してくれてありがとう

本来自分達が何をしたかったのかを見失わず進むことを改めて考えたそうです。


・現行メンバー
Mike Shinoda - Vocal
Brad Delson - Guitar
Joe Hahn - Samples
Dave Farrell - Bass
Emily Armstrong - Vocal ← 新加入
Colin Brittain - Drum ← 新加入

シレっとオリジナルドラマーのRob Bourdonが脱退しています。

こちらはChesterに比べると大して話題にならず…。やはりフロントマンに比べると縁の下の力持ちはあまり重要視されないのが悲しい所。

 


本人はリンキンから距離を置きたかったと。

リンキンをメタルとして扱ったとしても、ニューメタル、オルタナティブメタルであり、ヘヴィメタルではありません。

もしかしたらデジタルビートを多用したり、そもそもドラム技量をあまり必要としないリンキンのような近代音楽ではなく、肉体的なドラミングを必要とするトラディショナルなロックミュージックを演奏したかったのでは?

Rob氏はモンスターバンドを離れてまで追求したかった道を頑張って歩んで下さい。音楽活動を続ける限りどこかで名前を聞く可能性はあります。

て、新ドラマーのColin氏はOne Ok Rockとも仕事したことあります。経歴を読んでいる限り、バンドの作曲力が上がりそうな印象を受けますね。

 

 

 

以下いつも通り1週間毎日聴いての感想です。

大抵は朝と夜の通勤で1回ずつ、家帰ってから1回じっくりですが、本作はランニングタイムが32分と短いため1日5〜6回位アルバム単位で聴き通しました。


【ただの感想】
01. From Zero (Intro)
ゴスペルのようなコーラス。

追悼の意味も込めれているのかも。


02. The Emptiness Machine


リードトラック。公開日は9月ですが、私は本作発売まで聴かずに我慢していました。

新生リンキンの実質1曲目は意外にもアップテンポチューン。Hybrid的ヘヴィスローを予想していたんですが。勿体ぶるかのように最初はShinoda氏の独唱。1:08でEmily氏の歌声が解禁されます。流石に選ばれるだけあって、グロウル歌唱もバッチリ。


03. Cut The Bridge
あら、表打ちでリズミカルなアップテンポ。2曲続けて速いのね。シンセやShinoda氏のラップ、Emily氏の魅惑的なブリッジも手伝って凄くオシャレ。落ちサビからの畳み掛けるが良い。

3:40には珍しくヘヴィメタル的手数のドラムが入る。


04. Heavy Is the Crown


Faint様式且つ5th風シンセリフから、またちょっと速めのミドル。ヴァースがShinoda氏のラップ、サビがEmily氏のグロウル気味な歌。メタルコアの新体系か!?

グロウルのロングトーンがGiven upを彷彿とさせます。


05. Over Each Other


これも速めのミドル。ツインボーカル風ヴァースですが、Shinoda氏が控えめなのが微笑ましい。Emily氏は殆どクリーンに歌っていますね。爽やかでドライブ向けかと。短いながら壮大でコマーシャル性があります。

「アアーオーオーオーオオオ!!」の雄たけびが好き。


06. Casualty
おお、初期のような重低音刻み!

普段とは違うShinoda氏の吠えるような声。サビでの剛の疾走も出てくる暴れ曲。Emily氏のKornっぽいトラウマ系パートも出てきます。落差激しいな。

終わりのターンテーブルが本編と全然関係ない感じで面白いです


07. Overflow
ここでちょっと落ち着いた楽曲。リバーヴの効いたドラムにアンビエントな雰囲気。ダンサンブルであり、ホールで掛かりそうなダンスミュージックを目指したんでしょうか。

Emily氏のやや清廉な感じの歌唱…ですがサビではやっぱりグロウル。後半にノイジーなギターも合わせて不協和音気味に終わるセンスは流石。

最後にはカセットテープ?を替える演出があります。


08. Two Faced

 

またもや初期風の淡いシンセから重低音リフ。明らかに1stを意識していますね。ターンテーブルも効いてます。

 

甘すぎないサビメロもガツンと来るし、これはキラーチューンと言っていいのではないでしょうか。結構初期のファンも納得できそうな1曲。

ラストにEmily氏の奇声が。ああ、MVのラストまでアルバム音源に入っているのね。

 

スーツで演奏しているのいいな…。


09. Stained
重い効果音をメインリフしてデジタル調の楽曲。

 

インダストリアル風の演奏に90年代の海外ポップス的な歌メロが絶妙なマッチングを見せています。サビメロがShinoda氏とEmily氏の掛け合いは、ライブでは観客と歌えそうです。

 

一般性が高そうなので、一昔前ならラジオでヘヴィロテされていそう。


10. IGYEIH
遠い場所でEmily氏がガナッてスタート。

 

歌詞を見るに「I give you everything I have」の略っぽいですね。漫画「チェンソーマン」でよく見るワード。ダークで熱い楽曲。サビの中盤はエモーショナルな箇所もアリ。新生リンキンの代表曲になりそうな予感。

 

Emily氏は後半叫びっぱなし。ライブでこんなの歌えるんですかね…。


11. Good Things Go
ラストの締め曲。もうタイトルからしてなんかグッときてしまう。バラードベースですが、シングル向けでは無いかな。

こんなんライブで歌えるの?ってくらい上昇系歌メロが出てきます。Emily氏が高くなるにつれて荒くなっていくのが素敵。中間部のShinodaのラップなんて、特別抑揚を付けているわけじゃないのにバックのシンセと相待って泣けてくる。

最後Emily氏が力を抜いた「Good Things Go」の吹っ切れた雰囲気がまさに現在の彼等の心境なのでないでしょうか。

単曲でも良いですが、流れで聴いた方がよりドラマティック。




【まとめ】
0からのスタートということで原点回帰とまでは言いませんが、過去の作品からのエッセンスを意図的に使っています。外部ソングライターも作曲に関わっているので、そういった方々の助言があったのかもしれません。

2ndから3rd、3rdから4th、6thから7thの間には既存ファンが去ってもおかしくない凄まじい冒険心がありました。

とんでもないモデルチェンジにひっくり返ったり絶望したりする人も多かったです。

会社の同僚にも「俺の中ではLinkin Parkは2ndで解散した事になってるんだよね」なんて口にする方も居ました。彼は3rdのアウトトラックにして名曲の「Qwerty」を聴いてより悲しい気持ちになったそうです。「そっちに更に進む手もあったのに...。」と、残念そうでした。


結論は、色んなタイプな楽曲がありつつも原点回帰風の5thに近いのかな。アップテンポな前半よりミドル&スローな後半の楽曲の方が好みでした。5thは燃え尽き気味な哀愁が特徴みたいな感があったのに対し、本作は前向きでパワー感溢れる音像です。

大きく攻めた内容ではありませんので、これまでリンキンに触れてきたファンならある程度納得出来るはず。

 

新規ファンはどうでしょうね。増えたらいいですね、新規ファン。


次作は多分攻めると思うので、どんな方向に進むのか楽しみです。


【メンバーについて】
Emily氏は前任者よりも声の太さというか存在力が高め。グロウルはIn This MomentのMaria Brinkっぽい。メロディアスを宿せるタイプのグロウルなので、過去の楽曲を歌っている映像を見るとかなりハマっている気がします。声色も豊かですよね。

前任者が亡くなっているので、リユニオンは不可能。リンキンが続く限り、逃げる方法は脱退しかありません。

Emily氏、頑張って下さい。

きっと既に山のように様々な意見が届いているはず。私は貴女のボーカルは好意的に受け止めています。


またスタジオ音源に直接関りはありませんが、Brad Delson氏がツアーには参加しないことを表明。

 


メンバーとして活動はするものの、ツアーは今後別のギタリストが行うそうです。

7thまでDave以外はほぼ不動だっただけに、今回色々と人事で動きがあったことが気になっています。Slipknotは4th以降メンバーが亡くなってから今日までメンバーが結構替わってしまいました。長く活動していると思うこともあるでしょう。



【その他】
さて、今後どうなるものか...。


色々な柵が顕在化していくのか、それとも上手く軌道に乗っていくのか。

ちなみに再始動の報の後、直ぐにケチがついてしまいます。

なんとChester氏の母親からクレーム。

 


ちょいと、面倒なことになっていました。

いちいちお母さんの許可なんて取らないでしょ...。なんなら「メンバーオーディションの場にも呼ぶのが当たり前」なんて思っているのでしょうかね?

Mike Shinodaの言葉に関しても、単に喧嘩した時に思わず口にした言葉を第三者の母親が大袈裟に解釈しているだけだと推測しているんですけどね。

「息子はこんな風に歌わない!」と感じているのだと思います。

遺族側として、自分の家族抜きで過去の楽曲が演奏されることに拒否反応が出るのは理解できますが、前に進もうとしている彼等の邪魔をするのは勘弁してほしいですね。

 

 

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