林檎とポラロイド★5(91点) | 田舎のインドアアラフィフの日々

田舎のインドアアラフィフの日々

AMAZONプライム映画が主体のレビュー。たまに例外はありますが、日記公開時、プライム会員が無料で観れる映画をチョイス。
できるだけ良い映画に出会いたいため、基本的にAmazon評価で★4以上が付いているものを選んで視聴した上、個人的な採点を実施しています。

■短評

ヨルゴス・ランティモスから毒を抜いたようなお洒落な世界。同じギリシャの監督ということで、リスペクトや仕事上だけではない親交もあると思われる。

 

■あらすじ(アマプラ紹介文より)

「お名前は?」「覚えていません」--。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい 自分”に男は参加することに。毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き 込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで 女を誘う...-そして新たな経験をポラロイドに記録する。 ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、 仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする・・・。記憶は どこにいったのか? 新しい思い出を作るためのミッションが、男の過去を徐々に紐解いていく。

 

■総評

勘のいい人ならかなり最初から「ああ、この男、実は・・」と気づくことができる仕掛けというかフラグが何か所も置いてある。

観てから数日経ったが、覚えているところでも、

・一番最初の病院での同症状の患者との会話シーン

・その直後の症状を、ベッド上で医者に聞かれたときの返答

・病院のドクター二人が男のアパートを訪ねたときに留守だったときの一言

・ホットドッグを買っているとき、犬に絡まれたシーン

・果物屋で、林檎ではなくオレンジを買うシーン

他にもあると思う。つまり、「観客に気づかせる」ためのシーンがいくつも用意してあり、監督としては「この男は実は」ということに気づいて欲しいのかな?という作り。

しかし、「どうしてこの男は?」という回答は、ラスト近くになってから明かされる。傷つきやすく、忘れたいことも多く起こる人生だけど、そういう人を恩着せがましくなく手助けする社会とシステムも用意されている世界。じんわりほんわか。

ヨルゴス・ランティモスと同様に、今後の作品も追ってみたいと思った監督さんでした。

ただ僕はひねくれ者なので、もっと突拍子もない世界観で、更に「毒」とユーモアのあるヨルゴス・ランティモスの方が好みではあったりする。