Winny★5(86点) | 田舎のインドアアラフィフの日々

田舎のインドアアラフィフの日々

AMAZONプライム映画が主体のレビュー。アラフィフです。
★1/最低。見ない方がいい
★2/見どころがないわけじゃないが酷い部分が
★3/普通。あんまり面白くはない
★4/なかなかの良作、力作、工夫作。
★5/面白い。人に勧めてもOK。90点以上は是非観て欲しい。

■短評

2チャンネルやWinnyという単語に聞き覚えのある世代は退屈しないと思う。また、それだけではない重いテーマも含有。

 

■あらすじ(アマプラ紹介文より)

2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、開発者金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう…。

 

■総評

「包丁で人を差した場合、罪に問われるのは?」

もちろん、差した人である。では、その包丁を作った人は罪に問われるのか?

本作の序盤でストレートに出てくる例え話である。だが、問題の根源は一緒だとしても、包丁とソフトウェアでは全くの同列に語れるほど、後者はそう単純なツールではない。

本作は完全に実話を基にした映画であり、2時間という映画にまとめるためのエピソードの改変・追加はあるとしても、裁判の行方や進め方などは相当に事実に基づいていると思われる。

ただし、ドキュメンタリーではなくエンターテイメントであるため恣意的な面は当然あり、本作の方向性は「包丁を作った人に罪はない」に向いている。

 開発者の罪の有無では、悪意があったかどうかが重要になると思うが、この事件でそれはあったのか?なぜWinnyを作ったのか?

個人的にその真実は、「2chの住民たちが求めたから」というシンプルな答えだと思っている。ただし、「悪い使い方」をされることは想定していなかったというのは無理があるとも思っている。先駆者のWinMXなど類似したソフトが既に存在し、著作権侵害で問題になっていることを認識していなかったというのはあり得ないから。つまり、純然たる善ではない。Winnyの名称自体が、WinMXのラストの2文字、MXをMの後のN,XのあとのYに変え、「NY」としてWinnyにしたという話から、WinMXに続くプログラムとして意識されたことも明らか。

しかし、自分が作ったものが違法な使われ方をされようがどうしようが、そこは二の次で、単純に「求められたから、喜んでもらえるから作った。作るのが好きだから作った」という、「天才」にありがちな偏向性と理解することはできる。だからこそ発明が生まれ、世界を変えるゲームチェンジャーとなることもある。

今、我が日本のNTTでは、将来の世界の電力不足問題を解決する、半導体のゲームチェンジャーとなりえる、電気の代わりに光をスイッチに使う技術を開発中とのこと。2030年を目標にしているそうで、これが実用化されればスマホの充電なんて半年に1回とかになるそうな。まさに夢の技術。

天才にはこういう、誰をも幸せにする正しい技術に向いて欲しい。「バカとはさみ」のように、「天才と包丁」も使いようなのだ。バカと天才は紙一重というが、バカは何も産み出せないけど、天才はきっと何かを産み出してくれるはず。

映画自体の話が少なくなってしまったが、本作では色々と話題になった東出昌大さんがその天才プログラマー・金子勇氏を演じている。この役のために18キロも増量したそうで、オタクっぽい見た目の演出に成功していた。普段の彼では男前すぎるからね。

ちなみに、若くして亡くなった金子氏は、僕と同い年になる。彼の少年時代の描写で、パソコンショップでプログラムを入力するシーンや置いてある書籍など、きちんと当時の小道具が用意されていて、懐かしくも拘っているなあ、と感心した。

 

(この本は僕も持っていた。懐かしすぎる)

(映画に出てきた懐かしのパソコン、PC-8001)

 

あの頃のパソコンが、今思えば一番夢があって面白かった。