■短評
僕の好物、日本・アメリカ以外の国のアニメーション。本作は、フランス・ベルギー・アイルランドの合作。ジブリにも影響を受けているようです。
■あらすじ(アマプラ紹介文より)
9世紀のアイルランド。バイキングの襲来にそなえ、ケルズ修道院を囲む塀を作る大規模な工事が続く中、バイキングに襲われたスコットランドのアイオナ島から、高名な修道士エイダンが、1冊の「聖なる書」を携え逃れてくる。その本には隠された知恵と力が秘められていた。ケルズの書を完成させるためブレンダンは、インクの原料である、ある植物の実を探しに、危険を冒して不思議な生き物が隠れ棲む魔法の森へ出かける。森でオオカミの妖精アシュリンの助けを得て、ブレンダンは無事に実を持ち帰るが、バイキングの襲来がケルズにも迫っていた。ブレンダンは本の力によって、闇を打ち砕き、光を取り戻すことができるのか?
■総評
装飾写本の福音書のひとつ「ケルズの書」誕生を巡った修道院の少年の冒険活劇。
オオカミの妖精少女とのボーイ・ミーツ・ガールや、悪の神クルアハなどの不思議キャラクターに独特の世界観。絵本チックな映像とあいまって、少年・少女向けの安直なラストに結び付くのかな、と思っていたら、残酷な面や一筋縄ではいかないクライマックス。なるほどジブリを思わせる雰囲気や展開を感じさせる。
特にオオカミ妖精少女のアシュアや、不思議な森については「もののけ姫」から着想を得たんじゃないかな。
非常にシンプルな絵柄なので、リスペクトしたジブリ作品ほどの没入感は得られにくいが、これはこれで外国製アニメとして味がある。シンプルな絵柄といっても手抜きなわけではなく、造形や色合いは独特のセンスが感じられて、日本やアメリカのアニメに慣れた身には新鮮。
時間も80分未満にまとまっているので、「私が観た海外アニメーション」のコレクションの一つとしてお勧めできます。