大好きだよ 君の心に種をまく -3ページ目
「では質問です♪」
クイズの続きの流れで
二者択一の質問
「母は君のことが好きか」
「嫌いか」
「どーっちだ?」
息子は
恐る恐る…
でも
ちょっと照れ臭そうに
「すきのほうかな…?」
「本当に?」
「う…ん…。」
「本当に良いのね?」
「うん…」
「ぶぶー!」
大きな音で
不正解を知らせると
いつも
大好きと言われている
息子は
びっくりした顔で
不安そうに
「違うの?」
「え?違うの?」
「僕は…そっちじゃないと思ってた」
私は得意そうに
「正解は…」
「大大大大大好きでした〜」
すると
息子の強張った顔が
一気に
くしゃくしゃくしゃ

「好き1個くらいしか
好きじゃないと思ったの?」
「残念!」
「好き千個くらい好きでした

」
君の髪の毛
ぐしゃぐしゃと撫でて
引き寄せて
クスクス
2人で笑いながらぎゅっ
ハグして
なんだかこそばゆくて
クスクス笑って
くすぐり合いっこに
突入→
互いに
ブロックし合って
いつの間にか
家の中で鬼ごっこ開始
捕まったら
こちょこちょ攻撃
幸せ遊び
今日久しぶりにしたね
これ過去に
何度繰り返しただろう
今ではもう
ネタばれして
でも
それでも嬉しそうな君
「さて質問です!」
言われた瞬間から
顔がニヤ
いいのいいの
ネタばれ歓迎
これは
スキンシップしようの合図
息子くん
母は君が愛しい
君を産めたことも
育てられたことも
君周りの苦労が
吹っ飛ぶくらい
(いや実際には身体病むくらい
大変だったけれど)
君と過ごしてきた時間は宝物
今日もありがとう

明日は帰国だよ
家族揃えて良かったね

この旅行中
何度言われただろう?
「母が嬉しそうで良かった」
「母が楽しそうで良かった」
私が笑ったとき
はしゃいだとき
喜んだとき
君から
ポロっと発せられる言葉
君はどれだけ
母を思ってるの?
見ているの?
「母、大丈夫?」
「母、ゆっくりがいいね」
これは2週間前
新宿で階段から落ちた
あの時の後遺症のせい
足首と脛が痛いまま
旅行に突入
サポーター巻いて
保護
だけれど1日の後半戦
負荷が速度に出る
歩調がゆっくり
歩幅が狭く
2人にずっと遅れをとると
ハッと気づいて
待ってってくれる
おとといの
酷かった腹痛のせいで
笑うと内臓に響いて
「アハハハ…痛ててて」
「アハハ…痛てて」
君はサッと
お腹に手を当てて
「まだだね」
「治ってないね」
「危ないね」
「早く帰って寝ようね」
食事中
現地のものを
シェアして
その国の話しが始まるたび
「母しばらくこっちに住むといいね」
「母またこっちに来るといいよ」
「母もっと長くいるといいね」
どうして母がこっちにいると
いいなって思ったの?
「だって楽しそう!」
楽しそうって分かるの?
「そりゃ分かるよ!」
どうして?
「はしゃいでる!」
「この街の道1本だけで楽しそう!」
「母の好きなものだらけ!」
母好きなもの分かるの?
もしかして
ブログ読んじゃった?
「読んだことない」
「でも分かるよ!」
どうして?
「何年一緒にいると思ってるの?」
母は君に
喜んで欲しかったから
連れてきた
母は君の見聞を
広げるべく
違う文化を見せたかった
母は君と父を
触れさせたかったから
計画した
新しいことを
見つけた時の
君の目がキラキラするのを
見るのが大好きだ
君が父を
尊敬の目で見てること
知ってるから
一緒に過ごす時間を
作ろうと思った
母とは出来ない話しを
母では理解出来ない話しを
思う存分
父として欲しいと思った
君を楽しませるのは
母の役割
そう思っていた
なのに
君は
母が楽しそうにしてる姿を見て
嬉しがっている
母の顔に疲労の色が
見えないかを気にしてる
少し切ない
少し嬉しい
申し訳なくて
ごめんと
思って
ありがとうと
思って
心
ぎゅっと
締めつけられる
時々
息子さん
親孝行に育って良かったわね
って言われるけれど
それはちょっぴり
違う
2人しかいないから
2人でどうにか
助け合っていかないと
成り立たないから
息子が産まれて
1ヶ月目に
母の身体が
壊れてしまったから
互いに
支え合っていかないと
共倒れになるから
無意識に
自然に
互いを想う
たぶん
その積み重ねで
こうなった
足りないが故に得た
必要性
思いやりの交換こ
生きるすべ
母が君を想う
君が母を想う
今日もありがとう

大好きだよ

やってしまった
自分が悪い
ドーバー海峡渡り
初めての国へ
そこは
想像していたよりも
ニュースで見るよりも
遥かに
素敵な場所だった
大好きな
異国情緒ある
横浜の建築物
大好きな
表参道の
華やかな今どき感
大好きな
日本橋室町の
整然としたキチンと感
大好きな
銀座の煌びやかな
街並みに
それらを足して
上位交換を繰り返した感じ?
圧倒的な造形美と重厚感
歴史と伝統
圧巻の華やかさと荘厳さ
どうにか
なってしまいそうな
感動の興奮状態
思ってもいなかった
ビジュアル的な華麗さと
歴史的荘厳さと
華やかな賑やかさと
今どきの流行が
ぎゅっと詰まった
沢山のショップ
お洒落れすぎるカフェ
カッコよすぎるパブ
圧倒されて
感激し過ぎで…
自分の身体のこと
忘れてた
3日前
今までに
味わったことのない
マズイ感じの疲労があった
セーブして
動かないと
身体もたないぞ
確かにあの時
思ったはずだったのに
ロンドンに
到着するやいなや
新しい文化に
衝撃受けて
感動しまくりで
忘れてた
日常は人様の
三分の一の活動量
動き過ぎると
寝込むくせに
セーブしなきゃと
思ったあの時には
かなり危機感
感じてたはずなのに
子どもみたいに
はしゃいで
私は馬鹿だ
夜中
熟睡中に
唐突な激痛と吐き気と悪寒で
ガバリと飛び起きる
焦って
トイレに向かう
間に合わない
吐く
吐く
吐く
便座を抱えて
オエオエ
お腹がギュッと痛む
嫌な痛みだ
私…何食べた?
朝昼晩と思い返す
トマトスープと
ハンバーガーとフライドポテトを
三分の一だけ
気持ちは興奮してるのに
身体は疲弊してて
今日は食べれなかった
これが
あたるわけない
食中毒ではない
食べ過ぎてでもない
アルコールも飲んでない
じゃあ何だ?
できれば
吐いてしまいたい
吐いて治るなら
吐きたい
喉奥に
指を二本突っ込む
吐けない
吐きたい
吐けない
気持ち悪い
身体は
ガタガタ震える
寒い
寒い
鏡に映る顔が
真っ白だ
なのに額から首から
うなじから
大きな汗が
ダポダポと出ては
身体を伝う
これは
過去に経験したことがある
あの時
実家にいた私は
まず母を起こした
どうした?
「何かおかしい」
「お腹が尋常じゃなく痛い」
「吐きそう。寒い。」
「熟睡してたのに
痛みで唐突に覚醒なくらい痛い」
救急車呼ぶ?
「恥ずかしいから絶対にやめてね」
分かった
じゃあ夜間救急探すね
「大丈夫。明日1番で病院行くから」
3分後
いつもの痛みと違うことに
不安を覚えて
「やっぱり夜間救急行く」
「ごめん車出して」
5分後
痛みの波が来るたびに
加速度的にに激痛度合いが増して
車じゃ間に合わない!
胃が溶ける
胃が爆発しそう
「ごめん救急車呼んで!」
その後
救急車で病院に行って
検査と痛み止めの点滴
「点滴終わりましたよ」
「帰っていいですよ」
そう言われて
パニックになる
病院に行けば
処置をしてもらえば
痛みがおさまると思っていたのに
「痛みがそのままです」
「全然凄く痛いです」
「帰れません」
後日
検査の結果が出て
結局
手術をして
摘出した
そう
この痛みからの
睡眠途中の急な覚醒
吐きけと腹痛と
痛みからの
大量の汗
背中全体の急激な強張り
寒さ
悪寒
震え
あの時と同じだ
どうしよう…
救急車かもしれない
ロンドン
どうすればいい?
ホテルのフロントだ
フロントに言えばいい
イギリスの医療費は
驚くほど高い
海外旅行保険入ってて
良かった
「息子。息子。」
「母ちょっとマズイ」
息子を起こす
便器から離れられない
オエオエしながら
汗ぼたぼた垂らしながら
「もしかしたら救急車かもしれない」
「ちょっとおかしい」
寒くて
震えが止まらない
ガタガタ
ガタガタ
「でもまだ大丈夫」
「同じ痛みを知っているから」
「判断できる」
判断?おかしい
痛んだ臓器はもう摘出して
母の身体には
存在しない
この
荒い紙やすりで
臓物を削っているかのような
この激痛はどこから来る?
「大丈夫?」
「明日は寝てようね」
そう背中をさする息子
有難い
痛みでそれどころではないのに
ふわっと意識のどこかで
癒される
激痛の波が弱まるなら
一晩こせる
寝て休めば治るはず
激痛の波が強まるなら
あっという間に
思考能力ゼロになる
フロント呼んで救急車
判断のタイミングは
『内臓が爆発する痛み』
そしたら
主人に頼もう
激痛の緩急の波
7回まで記憶ある
痛み緩んできたかもと
安堵した記憶もある
その後
気絶するかのように
知らない間に
疲れ果てて
睡眠に落ちることが出来ていた
救急車回避…
ホッとした
もう無理しない
無事
日本に帰りたい
怖かった
本当に
怖かった
救急車に乗って
症状の説明が出来ない
また内臓が爆発するくらいの
痛みが続くのかと
絶望をみた
あんなのは
ごめんだ
怖かった
怖かった
今晩
どうか同じ痛みが
襲ってきませんように
息子くん
母が眠りに落ちるまで
痛みに手を当ててくれて
ありがとう
あれが効いたと思う
当てられた手の
暖かさが
急に下がった体温を
ふわっと
照らしてくれたから
もしも神さまが決めた
母の寿命があったとして
それが
伸びているとしたら
全部
君のおかげと思ってる
言葉にならないほど
初めてのEU圏
君の瞳が輝いてる
「山手みたい」
君の知るゆったりした場合だね
「LEGOみたい」
窓枠が四角ね
「鍵がマリオみたい」
そうなんだ
「ゲームの世界みたい」×5
なるほど
何回も言うほどなんだね
「ディズニーシーみたい」
運河だね
「ハリーポッターみたい」
お城だね
「北海道みたい」
馬と牛と羊いっぱいだね
広々だね
「芋多いね」
添え物じゃなくて
ドンっと真ん中主役だね
「地獄級の甘さだね」
クレープ
スニッカーズ・キットカット入り
キャラメルソース
コンデンスミルクかけ
砕いたオレオのせ
ジャンクだね〜‼︎
「アジア人いないね」
見かけないね
「日本人と中国人と韓国人」
「全然違うね」
顔つき違うね
「でも仲間みたいに感じちゃうね」
アジア代表的な?
「背高いね」
「父が子どもみたい」
私たち埋もれちゃうね
「お金使えないね」
カードが主流だね
「コンビニがないね」
1軒もね
「のんびりだね」
あちこち芝生に座ってるね
「看板ないね」
スッキリだね
「お店閉まるの早いね」
6時にシャッター
降りてるね
「こんな美味しいの初めてだね」
299円♪
ミラノ風ドリアも
好きだけどね
「ここ住んでみたいな〜」
学校は?
休めるとき休んじゃう?
「…あれ?」
ん?
「母?」
ん?
「母?」
「母…大丈夫?」
うん…
300%使いきっちゃった
「手繋ぐ?」
…ありがとう
「父。母の顔…」
「ちょっとマズイ」
ごめん
吐きそうで口呼吸
…
旅行
エネルギー使う
切れた
君の瞳キラキラしてるね
あちこち色々
比較して
気づいて
自分の国と
文化の違い
仕組みの違い
人種の違い
面白いね
気づいて
不思議がって
気づいて
考える
最後
母の体調
気づいてくれて助かった
明日から
普通の人の行程の
半分に
途中で寝込みたくないから
ペースダウン願う
母にも
色々が新しくて
母も実は
興奮中
脳みそくるくる動いて
いつもと違う疲労
肉体的
精神的
頭脳的
疲労
横になると
天井がくるくる回って
身体がベットに
めり込む
吐きそう
動き過ぎた
旅行
我が家はあまり
旅行に行かない家族だけど
たまには
良いね
こんなに体力が必要なら
行ける時は限られる
君はこれからの世代
見聞広げられる時
広げさせてあげたい
とりあえず
母の代わりに
スタバで
モカプラリネマキアートスモール
買って来てね
注文のシステム
一緒だから
海外の人が
日本の
マクドナルドで安心するように
見慣れたお店は
ホッとするね
今日もありがとう

大好きだよ

君の父のいる場所へ
遠く遠く
ずっと
向こうの空の下
飛行機14時間
乗り継いで
会いに行こう
君が生まれてから
一緒に生活した月日は
半分くらい
半分?
いや…
共に過ごした時間で
見るなら
10分の1
あるかどうか
それでも
君の父であり
家族
「行きたくない」
「僕は日本にいる」
珍しく駄々をこねる
君を説得して
空港へ向かう
父の暮らす国を
様子を
見ておいた方が良い
君の人生で
初めてのユーロ圏
母の育った地だ
家族
家族の形
今は昔と違う
型にはまった
家族の定義は薄れ
多種多様な
在り方がある
ひとり親世帯
再婚家庭
養子縁組家庭
同性カップル世帯
単身赴任家庭
それこそ
家族のダイバーシティ
我が家は
超絶遠距離家庭
ワンオペ育児
最近
耳にする言葉
片側ひとりで
全部を抱える育児
不平等さを
表現した
的確な言葉
これは
たぶん
共に生活してるからこそ
出てくる不満
お互いの仕事量が
目の前で
あからさまに
比較出来るから
家族が
家族であるために
家族を
守るために
家族を
育むために
どれだけ
自分の時間を削っているか
その差が
歴然と見えるから
一瞬ネガティブな
響きがある言葉だけれど
頑張ってる方が
頑張っていると
讃えられていい
労われていい
認められていい
そう世の中が思って
生まれた
暖かい言葉と思う
出来ることなら
その不平等さに気づいて
一方に偏らないように
頑張っている母が
他の頑張っている母に
エールを送る言葉
気付かせて
変えていこう
みんなで
母たちが生きやすいように
変えていこう
そういう
願いを込めて
広がっていったと思う
そういう意味で
私のは
ワンオペではない
まずフルタイムでは
働けてない
そして
比較対象がない
ただ
こなさなければいけない
家事があるからこなす
ただ
大事な息子がいるから
育てる
必要ならば
母の役割も父の役割も
引き受ける
文句を言う相手も
頼る相手も
分担する相手も
目の前に存在しない
やらなければ
滞るだけ
愛情を注がなければ
息子が捻くれるだけ
責任の所在が明確
文句のつけようがない
君の父を送り出す時
全責任を持つ
そう覚悟を決めた
難は
母の身体が弱めで
すぐしんどくなること
そういう時
家事が滞る
君を放置せざるを得ない
母に
高熱があっても
吐き気があっても
痛みがあっても
ひとりで
越えなければいけない
夜があること
(君がいるね。助かってる)
でもたぶん
そんなこと
大なり小なり
皆してる
助けて欲しい時に
助けてと言える人がいない
そんなの
私だけじゃない
それに
まだ大丈夫
まだまだ
ひとりで越えられる
不満が全くないかと
問われれば
良い子に
「ない」
とは言えないけれど
言ったところで
目の前にある
状況は変わらない
何より
母は君の父の夢を
応援したい
世界で
活躍して下さい
さて息子くん
あと6時間で
到着する
久しぶりの父と
沢山お話ししておいで
そして
初めて地を
堪能しようじゃないか
今日もありがとう

大好きだよ


