いきなりですがクイズです。

 

 これらは何ていう名前の石でしょう??↓

 

 

 答えはこの記事の最後に書きますね(*^。^*)

 

 さて昨日までの記事を読んだ森先生から、

 

「6年も前の話よく覚えてるねぇ~ 恨み節だしwww」

 

 とか言われました(-"-)

 

 いや、森先生はあのメールのやり取り(といっても一往復だけですけど)がどれだけ大変だったか知らないからそんなこと言うんですよね(-_-;) それに当時のやりとりはちゃんとメールボックスに残ってますし('_') 当時は私だけが東京にいて森先生は福島にいて、ちょうど東京に出てくる直前のタイミングでしたので、森先生とのやりとりですらも全部メールだったのでいまだに残っているのです。

 

 小説家の彼女から送られてきた長文メールは本当に衝撃的で、衝撃的であるがゆえにそれが本当であるのかちゃんと調べる必要があり、調べた結果トンでもない嘘がたくさん含まれていることがわかりました。

 

 でもその調べる過程で得た情報や心に湧き上がってきた違和感、疑問、問題点や課題、そして何よりもこれからの夢や目標などが、ショップ店長としての私の今につながっているように思っています。ですから彼女とのメールのやり取りはとても意義深いやり取りとして今も鮮明に記憶に残っているんです。

 

 彼女は小説家に転身する前はクリスタルショップで働き、たくさんのクライアントを抱えていたといいます。彼女はその経験から知り得たことをおっしゃっているわけなんですけれど、それがあまりにもデタラメであることがわかったわけです。

 

 むしろそれまでただの一コレクターだった(消費者だった)私の方が業界全体のことをよく知っていたんじゃないかなとさえ思ってしまいます。ですがそうなってしまうのには充分すぎる理由があるのです。

 

 実はここ20年ほどで起きたパワーストーンブームの栄枯盛衰で最も振り回されたのは、当時の私のような末端の消費者ではなく、むしろ彼女が勤めていたような一般の小売店でした。彼らには通常取引している主だった卸元があります。その卸元は小売店になるべく高く売りたいわけですから、様々な嘘や思い込み、思惑などを混ぜこぜにして小売店に商品説明するわけです。ですから、小売店の持つ情報は大きく偏ることになります。

 

 しかし、一般消費者は無数にあるそうしたネットショップの中から比較し、自分がいいと思ったディーラーから厳選して買おうとします。情報についても無数にある商品解説を読んで写真と見比べ、自分で吟味しようとしますから、ちょっとしたセンスと熱意さえあれば小売店よりも正確な情報を掴みやすいですし、詳しくなりがちなのです。卸元よりも小売店よりもずっと高いお金で買うんですから当然ですよね。

 

 特に私はH&E社のロバートシモンズ氏やその奥さんのキャシーさん(当時)と個人的に仲の良いアメリカ在住のディーラーさんからよく買っていましたので、10年近くもの間業界の裏情報が本当によく入ってきていました。ですから、中間業者や一般小売店などの思惑などに惑わされない、大元の生の情報に触れることができたのも大きな勝因かもしれません。

 

 石業界の栄枯盛衰のお話は、H&E社のアゼツライトの栄枯盛衰と深く関係していますので後日詳しくお話したいと思いますが、彼女のおかしさはこれまでの小売店の実体をうまく反映しているように思いますので、私も(ちょっと面白がって)こうして皆さんにエピソードとしてお話しているわけです。

 

 彼女も業界のバブル期に蔓延っていたウソ情報やデマなどに振り回された被害者としての一面があるのです。これをご覧の皆様にも本当にいいものを見抜く目を養って頂きたいと思うのですが、最後までお読み頂ければ、それはとりもなおさずいいディーラーさんを見抜く目を養うこととイコールなのだということが、お分かりいただけるかと思います。

 

 ではこの女性のいう

 

「ブラジル行くならメタモルフォーゼズとダンビュライトを買ってきて!」

 

 に話を戻しますね。

 

 まず、メタモルフォーゼ(ス)とやらはメタモルフォーシス®の偽物であり、そのメタモルフォーシス®は確かにブラジルで採れますけれどもその権利をアメリカの会社が所有している「商品名」なのだということでした。

 

 アメリカの商品を原産国ブラジルで買ってこいというのは、「中国のウイグルに行くんだったらついでにナイキのシューズ買ってきてよ(※)」っていうくらいあり得ない話でして、まさにブラックジョークです。「それ真顔で言うんですか?」っていうレベルの話だということです(-。-)y-゜゜゜

 

 ※中国奥地のウイグル自治区等ではそうしたハイブランドの商品を安く大量に製造するために工場が建設され、ウイグル人をはじめとする少数民族が極めて安い賃金で強制労働させられているとの噂があります。

 

 逆に彼女が商品名だと思っている「ダンビュライト」は、ルビーやサファイヤ、エメラルド、アクアマリン、水晶、金や銀、ダイヤモンド・・・などなどと同じ、普通名称だったというわけです。

 

 この商品名(商標)か普通名称かというのはとても大事なことなのですが、この混同は私達の周りでも極一般的にみられます。

 

 例えば、昔は食品用ラップフィルムのことを「サランラップ」って気軽に言ってましたよね。あれ、もちろん商品名(旭化成グループの)ですからね。クレラップ作ってる呉羽化学工業さんに怒られちゃいますからね(笑)

 

 そういえば、私はずーっと昔にセコムのライバル会社に勤めていてセコムと同じ機械警備の営業をしていましたが、当時機械警備と言えばセコムで、セコムが機械警備の代名詞みたいになっていました。

 

 お客さんにも「セコムさん」って呼ばれるんです。ウチと契約した後も「セコムさん」(笑)セコムと相見積もりで競合して、ウチが勝ったのに「セコムさん」(笑)

 

 あと、バンドエイドの話も有名ですよね。あれはジョンソンエンドジョンソンの商品名(登録商標)なんですが、ガーゼ付き絆創膏の代名詞として昔はよく使われていましたよね。(あれ?今そうゆわない?・・・トシがバレた??)

 

 商品名(商標)が本当に普通名称化してしまうこともあります。商標登録しなかったばっかりに、せっかくバズったのに他の人に使われて利益に便乗されてしまうというのはよくあることなのですが、次にご紹介する例は、商標登録したにも関わらず実質普通名称化してしまったというお話です。

 

私のプライベートコレクションのケ・セラストーン

 

 それはみなさんよくご存知の「ケ・セラスト―ン(ケセラストーン)Que Sera Stone」です。

 

 ケ・セラスト―ンとはキャロル・ウォレス(Carol Wallace)氏によって名付けられたものですが、2007年にメロディ女史によって世界に向けて発表され、2008年のツーソンショーにおいて脚光を浴びた石です。一つの石の中にブルーオパール(当時)、カルサイト、カオリナイト、クリノゾイサイトなどの鉱物が混ざり合うとされ、様々な色合いを見せる美しい石です。

 

  しかしながらこの石はブラジル・バイア州ジュアゼイロ(Juazeiro)周辺で昔から採れ、ブラジル現地ではもうすでによく知られた石だったのです。それまではこの石の特に青い部分がオパールであるとの認識から(後の調査で、実際にはオパールではないことが判明しましたが)現地では単にオパール、あるいは鉱物名でコングロメレート(Conglomerate:礫岩の意味です)などと呼ばれていました。

 

 その石にキャロル・ウォレス(Carol Wallace)氏がケ・セラストーンと名付け、メロディ女史がその著書の中で発表し世界に発信したことをきっかけに、一躍大人気の石となったのです。

 

 当時のメロディ氏の影響力は凄まじかったようです。しかしながらこのブーム利用してメロディ女史、あるいはキャロル氏がうまく商売にのせるためには、通常その鉱山を独占し、その名前に商標をつけて売り出さなければなければなりませんでした。しかし、この石は既に様々な業者によって採掘されていましたので独占することなど考えられなかったのでしょう。

 

 ではせっかく素晴らしい名前が与えられたのですから、著作権フリーにして誰でも使えるようにしてくれればよかったのですが、結果的にこの石の名前はキャロル・ウォレス(Carol Wallace)氏によって商標登録されてしまいました。鉱山を独占できない(つまりモノは独占できない)にも関わらず、「名前だけ」独占しようとしたのです。

 

 そのために市場に大変な混乱を招きました。私はメロディ女史が発表した直後の2008年にツーソンで仕入れられたものを「ケ・セラストーン」の名前で日本の小売店から購入しましたが、当時はギャランティカードもつきませんでしたし、商品名の後ろにレジスターマークも™マークもついていませんでした。

 

 商標登録されたことを知ったのは、2017年のことです。ブラジルでは昔から知られている石ですので、当然アバジャーニアのショップやカーサでも売られていたわけですが、私はそれを仕入れて「カーサクリスタル®ケ・セラストーン」として発売したいと思っていたのに、これではその名前が使えないことが分かったのです。

 

 こうしたタイミングの悪い商標登録(本来でしたらメロディ女史が著書の中で発表する前に登録が完了されているべきでした)は何より我々一般消費者や小売店にとって裏切り行為となります。早いうちに仕入れた業者、購入した一般の消費者には、メロディ氏の指定するちゃんとした業者の元から購入したにも関わらずギャランティカードが付かず、下手をすると偽物扱いを受けかねないからです。

 

 また、市場にも混乱を招くことにもなりました。石そのものはすでに出回っているのに名前が使えなくなったものですから、皆が独自に様々な名前で呼び始めたのです。


 H&E社では「ブルーリベライト(Blue Liberite)」という別名で販売することになったというのは有名な話かと思います。しかしその他にも、

 

Rhyolite

 

Galaxy Rhyolite

 

Llanite

 

Llanoite

 

Rhiocite

 

Vulcanite

 

Que Sera Crystals・・・

 

 とか、

 

 

 Say What Stone・・・「なんだって?」ストーン(笑)

 

 The 'Will Be' Stone・・・「なんとかなるさストーン」って感じ?

 

 

 ・・・なんていう冗談みたいな名前まで登場したそうです(笑) いや~、これってケ・セラストーンらしいエピソードかも( *´艸`)wwww

 

 しかしもちろん、ほとんどの業者はメロディ女史が火をつけたブームに便乗したいと思っているからこの石を扱っているわけですので、既に「ケ・セラストーン」という名前で販売を始めていました。ですから、商標登録後も、権利者キャロル・ウォレス氏による許可や証明書もなしに「ケ・セラストーン」のまま販売を続けたのです。おそらくほとんどの業者が商標登録の事実すら知らなかったのだと思います。

 

 ここ日本においても商標登録の事実は私がたまたま検索して知っただけで、当時どのショップのサイトにも「ケ・セラストーン」の名前が普通に使われながら商標登録の情報には触れられていなかったように思います。

 

 これは中途半端に商標登録なんてしてしまったため、活かされず、消費者や小売業者に混乱を生んでしまった悪い例です。商標を登録するとは名前を独占するということですので、商品自体の流通をある程度管理できないと意味をなさないのです。

 

 ケセラストーンの場合はいくら名前を変えても一目みただけでその石とわかってしまうほどに特徴的な石なので、そうした一つの石に複数名前があって権利をそれぞれに主張しているというのは極めて不自然な状況だったと言わざるをえないでしょう。

 

 これが例えばアゼツライトとかカーサクリスタルとかだったら、一見してその価値がわかりませんし、簡単にそうでないものとの違いを示すことができません。ですからちゃんと名付け親であったり、品質の保証を出来る法人格が商標登録する意味があるし、むしろ逆にそうしなければ商品価値を保てないわけです。

 

 こうして冗談みたいな別名が様々に横行しながらも商標登録の事実すら黙殺されようとしていた「ケ・セラストーン」ですが、この度ついに―――

 

 

 

 日本、アメリカ特許庁のページから

その商標が登録抹消されました!!

 

 

 

 

 おそらく登録から10年後の更新を忘れていた、あるいは更新を断念したのでしょう。名前だけを独占したところで思ったほどお金にならなかったということだと思います。

 

 これはついに、「ケ・セラストーン」が実質普通名称になったということです!!

 

(^_-)-☆

 

 はいっ、そういうわけで冒頭のクイズの答えです。

 

 それは―――

 

 カーサクリスタル®ケ・セラストーン(タンブル)

 

 

及び、

 

カーサブレッシング®ケ・セラストーン(丸玉)

 

 

ですっ!!

 

 

 今、決まりました(笑) 私もこれまでなんかオリジナルネームをつけようかと悩んでおりましたが、本日より堂々とこの石に「ケ・セラストーン」の名前を使用していきたいと思っております。 

 

 

(続く)