不思議な国のアリス その4 | そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

残り少ない人生、死ぬのは苦しいものか、どうも痴呆老人になって死んでいくようだ。お寺の坊さんに頼んでいるが。
残りの人生、東海道中膝栗毛の弥次喜多道中のように気楽に行けないものか。

秋になっても 今日は 秋晴れのような スッキリした天気でございませぬなあ どんよりとした天気でございま
す この歳になれば 色気のあるような 粋なお話しなんぞ ありませんよ 車を駆って ちょっとした雰囲気の
いい和食の店にお邪魔 今の季節 あの広島のカキフライなんぞ いかがでございましょうか 




                 (11月6日の季節の花 カーネーション 花言葉 清らかな愛)


                             「日比谷花壇 365日の誕生日の花 季節の花言葉」 転載


美しい日本の佛像さん @j_butsuzo  今回の仏様 奈良中尊寺の菩薩半跏像(飛鳥)なる仏様 美しい日本の
とありますが 我輩の心は つくづく もう感動
というか 新鮮な気持ちを失せてしまったのかしら 美しいなんて全
然思わないのですよ あのエジプトのスフィンクス レオナルド・ダヴィンチのモナリザとともに  世界の三大微笑

像といわれるんだとか そんなものだろうか 
中宮寺の資料によれば この像は 国宝なんだって 国宝菩薩半跏像(伝如意輪観音)というとか  「東洋美術
における「考える像」で有名な、思惟半跏のこの像は、飛鳥時代の彫刻の最高傑作であると同時に、 わが国美

術史上、あるいは東洋上代芸術を語る場合にも欠かすことの出来ない地位を占める作品であります 」(中宮寺
ホームページから) とあります
あの法隆寺は 僧寺 中宮寺は尼寺なんですって あの聖徳太子のお母さん 穴穂部人皇后の御願により 創

建されたとあります 思惟 とありますから  何事か深く  御考えの姿なのでしょうねえ   ロダンの考える人か
これは男でしょう この仏様は 勿論女性なのでしょう 優しいお姿で われわれ 人間の幸せを祈っておられる
のでしょう 創建された飛鳥時代から 千三百年にわたって 中尊寺のいわゆる法灯を守られて来られたのでし

ょうか 有難うございます 
それにしても 日本には 仏像なんて お寺さんもそうですが 無数にあって 拝んでも 霊験を感ずるというか 
感動するなんてこれぽっちもないのですよ 日本人長くやって 先祖代々 浄土真宗の門徒 法名 釈願清と申



                               (アイの花)


                            「筆ペンの俳画はがき絵」 足立玉翠著 日貿出版社 参考


します これではいけないと思っておりますが どうしてこんな不肖というか 不信心な人間になったのでしょう
か  あの世に行っても とても 浄土なんても無理でしょうねえ 地獄に行っても なるべく 軽いところでお願い
たします われの菩提寺の住職は 仏様は ありのままの人間をお救いされる これは 仏様が 本願をたてら

れ すべての人間を救うと 約束なされたといいます ならば一安心でございます それにしても 最近 お寺さ
んに行っていないなあ 来月 十二月の法恩講は 今
年最後の例会 お邪魔して  有難い説教を聴聞しようか 
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 合掌でございます

さて 昨日から楽しんでおります本 「注文の多い注文書 クラフト・エヴィング商會」小川洋子著 筑摩書房  変
わった物語ですよ 昨日のお話し 「冥土の落丁」 これは 内田百間の処女短編集 「冥土」 の初版本をテー
マにしたお話しだという

今日は 次なるお話しを楽しみましょうか 「肺に咲く睡蓮」 とあります え! 肺に睡蓮ですって 睡蓮とは あ
のお寺さんにある睡蓮 いわゆる蓮の花ですよねえ それが 人間の肺に咲くですって これはまた奇想天外な
お話しでございます



                               (水墨画 菊)


                                 「水墨画の描法」 斎藤南北著 秀作社出版 参考


まず 注文書からまいります 七十三歳の指圧師 駅前商店街の古本屋の二階の店 五十年以上の積み重ね
そのお客様の一人 弟子丸(でしまる)さん 先祖代々の標本集めのお仕事 弟子丸さんの御仕事の標本集め
は 人体に寄生する植物 へえ! 人体に寄生する植物なんぞあったのですか 「舌を覆う苔 陰部に巣食う羊

歯 鼻粘膜に生える茸 膀胱に溜まる藻 腋毛に自生する綿毛 十二指腸の窪みに埋まる果実の種子類」(p1
29) あまり 気持ちのよいものではありません  あのいんきんたむしの類いのよう すべて弟子丸さんからの
お話し 御商売は 標本箱に商品を納め アタッシュケースにいれて お仕事回り 

このような物が 一体 売れるのでしょうか 標本の蒐集販売 弟子丸一族が長い間 築き上げた商売の世界
植物を栽培し楽しむ方は多いものの 人間の身体に寄生する植物を趣味とする人たち 世の中は広い いろ
いろな方々が住んでおられるのです 

いったいどのようなところからこのような変な標本を まあ 体の中にいる物といえば まあ 病院ではありませ
んか それも世界中を旅しているという 外界の植物 それも風土病などとかの観点が重要なんでしょうか そ
れも話があれば すぐ飛んで行けるという生活なんでしょう

下の階段から 足音が どうやら 弟子丸さんのよう 胸に抱えた古本屋の紙袋を抱えて 当方の治療院にお
見えに 治療台に横になられて とりとめのない話し 不思議な響きを持つ土地の名前などなど 土地から土
地への旅の人生 体内植物専門の標本商として柔軟な体質 この仕事には すみやかであるあることが 一

番肝心な事とか また 弟子丸さんから いろいろな標本箱を預かっておりますよ これが標本箱でございま
すよ 
面白い標本箱でしょう 真ん中に 仕切りがあって 九つに分かれています 「小瓶の中で液体に浮かんだも

の 綿のベッドに横たわった シャーレの寒天で培養されたもの ガラス棒に巻きついたもの などなど 」 (
p133) いろいろございましょう  採集旅行が長期に渡る時には 私がお預かりしておりました 
中に 一つだけ 採集瓶の空のものがございましょう そこは次に採集品が収まる場所なのです お話しによ

れば 今回の旅はアメリカのミシシッピー川周辺とか 伺っておりました しかし そのお言葉の中に 「危う
いほど果てない響きが こもっているように感じました」(同上)
しかし 弟子丸さんは 空港へのバスに乗り込む際に 心臓発作で 急死なされました 一階の古本屋さんが 

駆けつけてこられた 弟子丸さんが最後まで胸に抱えておられた鞄の中に この本が入っておりました 「ポリ
ス・ヴィアンのうたかたの日々」 この本は 弟子丸さんが この古本屋で買い求められ また従兄の手を経て
再度 形見にと 古本屋さんの手に渡ったのだった

この本はいったいどのような本なのでしょうか 私は古本屋さんに尋ねました 私は盲なのです  いいですよ 
読んで差し上げましょう
次に日から 毎日 古本屋さんは 私に 夜の八時過ぎから あの「うたかたの日々」 を朗読してくれるのです

古本屋さんだからか 本を読むのが上手いのです
初めの一行に ニューオリンズにて とあります コランという青年と クロエという少女の恋の物語 一日30
ページか40ページぐらい 静かな夜 やがて階段を上がってくる一匹の猫 これを合図に 猫の食事の世話

にかかる本屋さん また 明日ですね 
このようにして 私達二人は 弟子丸さんの死を悼んでいたのでしょうか やがて コランンとクロエは 結婚し
ます 二人が新婚旅行に出かけようとする時に クロエが病気になるのです もう立てないわ 抱きかけるコラ

ン クロエは 右の肺に睡蓮が咲く病気なのだ ふたりとも息を詰めました  あの標本箱にあいている仕切り 
あそこには 肺に咲く睡蓮の花が入るのだ 睡蓮の花とは どんな花なのですか 私の手の上に 古本屋さん
は 睡蓮の花を描いてくれました ああ 堂々とした気高い花だ 私たちは思いました  この標本箱の空いた仕

切りに その肺に咲く睡蓮の花を収め すべての標本が収まった標本箱を 御霊前にお供えしたいのです 老
いぼれた指圧師と古本屋の願いを 是非とも 叶えてくださいませ





(下手な感じの書道の練習 ぼつぼつ)


                    「美しく書けるかな書道入門」 高城弘一著 ナツメ社 参考