読書 葉月備忘録(2021年Aug)① | 秘密基地ベーリン

秘密基地ベーリン

2015年10月からのベーリンでの生活も8年目に入りました。健康第一、ベーリン方丈庵の日々を綴ります。

早いもので、もう八月も下旬になりました。 旧暦八月の異称は「葉月」、語源の一つは、“穂張月(ほはりづき)(稲穂が張る月)の義とする“『語意考』。 備忘録として私の葉月を振り返ってみます。 

 

『日本人というリスク』 橘玲/講談社+α文庫 ◎

 戦後日本人の四つの神話=不動産神話(持ち家は賃貸より得だ)・会社神話(大きな会社に就職して定年まで勤める)・円神話(日本人なら円資産を保有するのが安心だ)・国家神話(定年後は年金で暮らせばいい)は崩壊し、そのリスクが1997年の金融危機や2011年の東日本大震災で顕在化しましたが、人々は新たな人生設計を見つけられず不安の中にいます。

 私達の世代は未だに四つの神話に縛られていますが、子供達にはぜひこれらの本を読んで、新たな危機を乗り越える人生設計を見つけて欲しいものです。

 

 橘玲さんの数々の著作や「金持ち父さん貧乏父さん」などに触発されて、海外投資を開始しバンコクにコンドミニアムを購入しリタイア生活をおくるようになりまた。 世界にはコロナワクチン未接種の方が多くいたり、タリバンのアフガン政権奪取後の混乱を見るにつけ、日本に生まれた幸運を同時に感じています。

 

 

『官僚 川路聖謨の生涯』 佐藤雅美/文春文庫 ◎

 四歳の弥吉は母に連れられ、日田の手代の身分を捨て幕吏になって栄達する志を諦められず妻子を残し江戸に出た父の後を追う。 徒士の株を買った父は自らの出世を諦め、望みを倅の弥吉に託し御家人・川路三左衛門(九十俵三人扶持)の養子にだした。

 勘定奉行所支配勘定出役(二十五俵)を皮切りに、寺社奉行吟味物調役、佐渡奉行、普請奉行に昇格、一時奈良奉行に左遷させられたが、嘉永五年(1852)51歳で勘定奉行(500石)となった。 嘉永六年長崎でロシア使節プチャーチンと交渉、翌年下田で日露和親条約を結ぶ。 幕末の動乱に翻弄され文久三年(1863)外国奉行を最後に隠居。 慶応四年(1868)江戸城攻撃を前に自決し波乱の人生の幕を閉じた。

 

 滅びゆく幕府の中で出世するも、晩年の困難な外国との交渉や、無責任な幕閣や徳川慶喜に翻弄される様子が描かれていて興味深い。 酒は好きだが酒席での失敗を恐れ控え、勤務を終えると家では武芸に励み書物を読み、麦飯を食べるなど食にも気を配り、浪人の倅でありながら運にも恵まれ官僚トップに上り詰めた。 藤田東湖や渡辺崋山らとも交友があり、長崎からの帰路には故郷日田から73歳の広瀬淡窓(私塾・咸宜園を開き5000人の門下生を輩出)がわざわざ会いに来た。

 咸宜園: https://ameblo.jp/himitu-bearing/entry-12370731097.html

 

 

『商人道「江戸しぐさ」の智慧袋』 越川禮子/講談社+α新書 ○

 江戸の町は広大な武家屋敷と対照的に狭い土地に商人、職人たちが押し込められていました。そのような中で暮らし、店を継続発展させていこうとする商人たちは260年間の年月の中で互助・共生・相手尊重の精神が生まれ、生活の中にしぐさとして表現されるようになっていきます。

 “肩ひき”:狭い道で行き交う人と肩がぶつからないよう、互いに肩を引いて通り過ぎる動作

 “時泥棒”:突然押しかけて相手の都合にかかわりなく時間を奪う行為は厳しく禁じられた

 “お心肥(しんこやし)”:手や足を実際に動かし、見聞し、体験し、頭を働かせて自分で考えて、初めてその人の教養になる。立派な商人に大成するために人格を磨くことを第一とした。

 “打てば響く”:商人には、会った瞬間、相手が信用できるか・仕事がきちんとできるかを見抜く洞察力が要求された。だらだらと時間を費やすのは双方に時間の無駄。

 “結界わきまえ”:自分の立場、力量、器量を把握し他人の領分を侵さない。自分の専門分野でないことを、曖昧な知識で言うことは「でまかせ」として相手にされなかった。 ・・・等々

 現在の私達が持っているものが、長い時間の中で醸成されてきたことを知ることができます。

 

 

『花のあと』 藤沢周平/文春文庫 ○

 短編小説を集めたものですが、一話ごとに心が和みます。

『本朝金瓶梅』 林真理子/文春文庫 △

 ベストセラー作家、しかも“著者初の時代小説”と帯に書かれてあったのでBook Offで手に取りました。 流石に江戸後期の町人の暮らしが面白可笑しく、しかも金瓶梅になぞらえて描かれた素晴らしい作品でしたが、私には“巧みさ”しか感じられませんでした(エッセイや現代物は優れた作品があるのでしょう)

 

 

◆◇◆◇

お盆にブックオフの20%割引がありました。 

 

雨でしたが出かけていき、今回も8冊ゲットしました。

 

日本で購入した本が溜まり、一度にベーリンに持ち帰ることができそうにありません (=^・^=)

 

 

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