アンジュルム さんシングル「泳げないMermaid」 ライナーノーツ もどき 制作メモ | 作詞家・井筒日美(上園彩結音)公式ブログ~Flower of SOUND~

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アンジュルムの皆さんの通算29枚目シングル『はっきりしようぜ/泳げないMermaid/愛されルート A or B』が6月23日に発売されましたね🎤おめでとうございます🎉

トリプルA面で、3曲それぞれ異なるカラーで変幻自在の「アンジュルムワールド」全開✨

 

私は、本名の井筒日美で「泳げないMermaid」を作詞させていただきました。

作曲は星部ショウさん、編曲は平田祥一郎さん。

 

 

ディレクターさんから「実らない恋のイメージで書いてみて」と送っていただいた曲は、公式サイトで拝見するまで星部さん作曲だと知らなかったのですが、

鳥肌が立つくらい、もう大好きなセツナ歌謡ラインで…ハートを鷲掴みにされたような甘く懐かしい気持ちになりました。

初めて聴いたときちょっと吃驚したのは、2コーラス目のAメロはどこ?え?あれ??そして転調しまくってる?ここがDメロだよね?わ、最後も違うメロで締めくくってる~、すごい~!などなど感想が頭を駆け巡り(笑)

作詞は殆どが曲先なので、楽曲を戴いてどうやって言葉を乗せていくか考えて、こんなテンションでまずは聴きながら(譜面がないことが割と多いです)曲構成を理解して、その次に曲を憶えていってます。

大抵は1番と同じA-A'-B-Cな構成なので、2コーラス目の頭ってすぐに分かるんですが、今回はメロが違う!と衝撃で刺激的でした(笑)

サビの「立ち尽くす足までも痛い」の「痛い」のメロも最後のリフレインの「鈍色の空 光差せば」の「差せば」でメロが変化していたり、

細部に渡って飽きさせない変化に富んだ旋律に「刺激的だなあ🎶さあ楽曲を引き立てる歌詞を書くぞ🌟」とワクワク戦闘モードで(笑)取り組んでゆきました。

 

…が、初稿は撃沈。

ディレクターさんからは、Winkさんの「淋しい熱帯魚」のようなイメージが合うんじゃないかなと。

テーマは失恋で良いけど、感情ばかりを綴ってしまうよりも、この曲は情景メインで描くほうが合いそうというアドバイスで。

そこからすぐに連想ゲームのように「泳げないMermaid」というワードが浮かび、試しに歌ってみると「チューラララララー泳げないマーメイド~」

あ、ピッタリだ!となって、サビ頭は「あ」の音から始まると気持ちいいので、「Ahーズブ濡れの泳げないMermaid」として、

そこから土砂降りの情景が浮かび、情景や心象風景を織り交ぜて物語を広げてゆきました。

 

マーメイドをテーマにした名曲は既に、松田聖子さんの「小麦色のマーメイド」はじめ古今東西色々ありそうで、その意味で挑戦する怖さもあったのですが、

何と言ってもアンジュルムさんがマーメイドならもう美しさを確約されているし、自分なりのマーメイドを描いてみよう!と思いました。

 

私のYoutubeチャンネルでも最後にちょこっとお話ししたんですが、マーメイドといえば、アンデルセンの人魚姫に始まり、ディズニーのリトル・マーメイド、

そしてトム・ハンクスの「スプラッシュ」の映像も脳内再生されていました。

とはいえ、自分の中でそれほど意識したわけではなく、人魚姫の物語は幼い頃からDNAに刷り込まれていたのか(笑)1稿目のボツで、もう〆まで数時間しか残されてない切羽詰まった中だったので、寧ろ感覚に任せて書いていった感じで、

自然とすり込まれていた人魚姫の設定がオーバーラップしていったという感覚が合っているのかなという気がします。

人間の王子に恋して、声と綺麗な髪の毛を魔女に差し出した代わりに得た足で歩いたときの初めて知る痛みに、恋の悲喜交々の痛みや感覚をシンクロさせたいなと思いました。

悲しい別れを決定づけた彼の言動に「立ち尽くしたときの痛み」、嬉しかった初めての「ときめいたキスで背伸びしたときの緊張と陶酔で足までも痺れたような」感覚、

そしてこれは後付けかも知れませんが、水に足が浮くような感覚=ショックで現実感がないイメージ=マーメイドの尾ひれ化したような、自分の足じゃない感覚に溺れそうな主人公が浮かびました。

 

特にA'メロ(と言えばいいのかな?「差してた傘が飛ばされ」からの部分のメロディー)の何とも言えない心地良さがとても好きです。

「真っ紅な薔薇が散ってく」は、雨の街=海の底のような蒼いモノクロの世界に、紅い花びらが舞うと映像的に綺麗だなあ、映えるなあ、と思って描きました。

全体的に主人公の気持ちを映像で思い浮かべて、それを追いかけながら言葉に置き換えてゆくようなイメージで作詞しています。

「薔薇」は飛ばされた傘の模様とも取れるし、薔薇のような唇が哀しみに青ざめて色を失ってゆくとも取れるし、

比喩表現って聴いて下さる方によって色々な解釈が生まれるといいなという思いもあって、私は感じて下さった方の数だけ正解があるんだと思うので、色々想像して聴いて戴けたら嬉しい限りです。

 

そして特徴的な繰り返しメロの部分に擬音系を当てたのもWinkさんっぽいかと思います。

「ユラユラ クラクラ」

「ヒラヒラ ヒラヒラ」

「ジンジン 心身」

「キラキラ キラキラ」はまたまたメロが変化してオシャレ切ない感じだなと✨

最後のDメロだけ敢えて擬音系にはせず、「狂った歯車」 というワードで歌詞に変化をつけてみました。

 

2コーラス目の「幼い頃に夢見たヒロイン」は、人魚姫や童話の数々、ディズニー映画もしかり、そんな強くなれるわけ無い、と一旦は突っぱねてみるものの、

主人公は、最後は涙を脱ぎ捨てて、過去と訣別して新たな夢に泳いでゆけるはずだと。きっと人は幸せになるために生まれてきたと思うし、

過去の全てを糧に、朝陽が昇る度に何度でもやり直せる、生まれ変わった気持ちで進むことが出来るのは人間ならではだというように思えて、、

そういう切り替えが比較的しやすいのも、進路を自ら選択できる現代社会だからこそかもしれません。

 

ここまで綴って、星部さんのYouTubeも拝見させていただきました🎶

すごく分かりやすくナルホドの内容でサスガです✨

私は、サビ頭の直後の間奏を最初のデモVerで戴いてたので、MV公開で初めて「よりウェットにメロディアスに変更された新ver」を拝聴して知りました。素晴らしいですね。

そして"ヒラショー"さんのアレンジもMVで初聴きで…もう、耳が幸せでした。

 

そう、今回の歌詞は、割と「い」で終わってたり、「ん」で終わってたり、歌いづらい箇所もあって、切ない歌なので、意図した部分もあります。

苦しそうに歌うことで、感情面の揺れや切なさを感じさせられるので「ここはちょっと歌いづらいかな?大丈夫かな?」「ここは気持ちよく歌える音をはめるべきだな」などといつもバランスを考えながら作詞してゆくのですが、実は「お願い」の最後の伸ばす「い」の音はかなりの難易度…

でも、為永さんの歌いっぷり、圧巻でした。

アンジュルムの皆さん、ハロプロの皆さんは、歌がお上手で実力があるからこそ詞の修正が入らなかったんだろうなと勝手に想像していますが、やはりサスガです。

どのフレーズもメンバーの皆さんの最高の見せ場になっていますので、是非、沢山聴いてくださいね🎶

 

とても長くなってしまいましたが、最後にMVについても触れさせてください!

もう、ため息が出るような美しい映像で…全編通して、皆さんがマーメイドみたいでそれぞれのブルーの衣装がとても似合っていて、愁いを秘めた表情が本当に美しくて見惚れてしまいます💕

バックの九十九折りのミラーも素敵で、私はザ・ベストテンのミラーを思い出してしまいました(笑)

振り付けも素敵すぎて、色々挙げるときりがないのですが、

最後の「Ah憧れに泳ぎたいMermaid」のところで腕を頭の後ろで組んで前後に動かすシーンは、尾ひれを泳がせている意味なのかな?と想ったり、想像力を掻き立てられます💖

最後の泡で締めくくる映像も胸キュンでした。

 

新たなアンジュルムさんの世界がますます輝いて、これからも目が離せませんね!

嬉しいご縁に感謝と共に、一層のご活躍を応援しています✨

 

     井筒日美  

 

 

 

 

星部さんの動画はこちら。

 

私、井筒の拙著「ゼロからの作詞入門」にも歌いやすい発音や自分なりの作詞法について記しています。


 

 

YouTubeチャンネル「井筒日美」でタロットリーディング動画を更新中。