そして、会えば必ず肌を重ねる。
別れた後は、苦しい想いを抱えてしまうと分かっているのに、それでもお互い求めずにはいられなかった。
和美の事も気になってはいたが、相変わらず仕事の忙しさを理由に会ってくれようとはしなかった。
そうして、和美と会わなくなって1ヶ月以上がたった頃、突然、和美が『会いたい』と言ってきた。
久々に会う和美は少し痩せていたが、何だか落ち着いていて、とても綺麗だった。
『・・・雄輔、好きな人がいるんじゃないの?』
天気がいいわね。・・・とでも言うように、
自然に、そして唐突に言われて、俺は何の言葉も出てこなかった。
『やっぱりね・・・』 責めるわけでも、泣くわけでもなく、淡々と言う。
和美がふっと笑った。
『そんな驚いた顔しないでよ。・・・何年、付き合ってると思うの?』
優しい穏やかな目で俺を見つめてくる。
『・・・雄輔・・。私・・結婚するわ。・・・赤ちゃんが・・できたの』
「・・・・・・」
『安心して・・・。雄輔の子じゃないから・・・』 和美は静かに話し始めた。
『雄輔が何かおかしいってのは、すぐに感じた。 でも、最初はそれが何なのか分からなかった。
誰か・・気になる人がいるんだって気づいた後も、認めたくなかった・・。
一時的な思いだって・・・。また、戻ってきてくれるって・・・。そう、思いたかったの。
でも、本当は不安で、不安で・・・寂しくて仕方がなかった。
あの日・・・雄輔が私を1人残して、飛び出していった日、
私、もう耐えられなくって、全部忘れたくって・・・別の人に・・・抱かれた・・・。
・・・軽蔑して。 雄輔、そういうの許せない人だもんね・・・』
軽蔑なんて・・・できなかった。
和美が最初から全部気づいていたなんて・・・。 そんな寂しい辛い思いをしていたなんて・・・。
「和美、ごめん・・・。 だけど、そんなんで一緒になって、お前、幸せになれんのか?」
そんな事が言える立場ではなかったが、思わず訊いていた。
和美は穏やかな笑顔で言った。
『大丈夫よ。心配しないで・・』 俺の顔を見て、うなづく。
『愛してるのか?・・て訊かれたら、今は自信ないけど、でも、とっても大切に思ってる。
全部ね・・雄輔の事も分かってくれてるの。
だから・・大丈夫。 幸せになる。 なってみせる。 だから・・心配しないで・・』
和美の事を抱きしめていた。
「・・わり~。でも、俺・・お前の事・・・ホントに愛してた・・」
・・分かって・・るよ。 結婚したいってタイミングが・・合わなかっただけ・・・。だから・・気にしないで』
しばらく俺の腕の中にいた和美は、静かに俺から離れると、笑顔を見せた。
『・・さよなら・・』 1度も振り向くことなく去っていく和美の姿を、俺は黙って見送った。
つづく