【恋夢】切ない夜・・・13(再) | カンタ印  元気印

カンタ印  元気印

日々の出来事、思った事などをとりとめもなく...

それからというもの、仕事後の時間も頻繁にサチと会うようになった。

そして、会えば必ず肌を重ねる。

別れた後は、苦しい想いを抱えてしまうと分かっているのに、それでもお互い求めずにはいられなかった。

和美の事も気になってはいたが、相変わらず仕事の忙しさを理由に会ってくれようとはしなかった。



そうして、和美と会わなくなって1ヶ月以上がたった頃、突然、和美が『会いたい』と言ってきた。

久々に会う和美は少し痩せていたが、何だか落ち着いていて、とても綺麗だった。

『・・・雄輔、好きな人がいるんじゃないの?』

天気がいいわね。・・・とでも言うように、

自然に、そして唐突に言われて、俺は何の言葉も出てこなかった。

『やっぱりね・・・』 責めるわけでも、泣くわけでもなく、淡々と言う。

和美がふっと笑った。

『そんな驚いた顔しないでよ。・・・何年、付き合ってると思うの?』

優しい穏やかな目で俺を見つめてくる。

『・・・雄輔・・。私・・結婚するわ。・・・赤ちゃんが・・できたの』

「・・・・・・」

『安心して・・・。雄輔の子じゃないから・・・』 和美は静かに話し始めた。

『雄輔が何かおかしいってのは、すぐに感じた。 でも、最初はそれが何なのか分からなかった。

誰か・・気になる人がいるんだって気づいた後も、認めたくなかった・・。

一時的な思いだって・・・。また、戻ってきてくれるって・・・。そう、思いたかったの。

でも、本当は不安で、不安で・・・寂しくて仕方がなかった。

あの日・・・雄輔が私を1人残して、飛び出していった日、

私、もう耐えられなくって、全部忘れたくって・・・別の人に・・・抱かれた・・・。

・・・軽蔑して。 雄輔、そういうの許せない人だもんね・・・』

軽蔑なんて・・・できなかった。

和美が最初から全部気づいていたなんて・・・。 そんな寂しい辛い思いをしていたなんて・・・。

「和美、ごめん・・・。 だけど、そんなんで一緒になって、お前、幸せになれんのか?」

そんな事が言える立場ではなかったが、思わず訊いていた。

和美は穏やかな笑顔で言った。 

『大丈夫よ。心配しないで・・』 俺の顔を見て、うなづく。

『愛してるのか?・・て訊かれたら、今は自信ないけど、でも、とっても大切に思ってる。

全部ね・・雄輔の事も分かってくれてるの。

だから・・大丈夫。 幸せになる。 なってみせる。 だから・・心配しないで・・』

和美の事を抱きしめていた。

「・・わり~。でも、俺・・お前の事・・・ホントに愛してた・・」

・・分かって・・るよ。 結婚したいってタイミングが・・合わなかっただけ・・・。だから・・気にしないで』

しばらく俺の腕の中にいた和美は、静かに俺から離れると、笑顔を見せた。

『・・さよなら・・』 1度も振り向くことなく去っていく和美の姿を、俺は黙って見送った。

                                                      つづく