その間、雄輔と組む仕事はなかったので、あまり顔を合わせる事はなかった。
その事にどこかでホッとしながら、やはり寂しくて仕方がなかった。
明日から、雄輔はリゾートウエディングにカメラマンとして同行する。
帰ってきた翌日からは問題の連休が控えていた。
しばらくは顔を見る事さえないんだ。そう思うと、寂しさがこみあげてきた。
夜中、日付が変わる頃、玄関のチャイムが鳴った。
『雄輔?』 玄関の外に雄輔の姿があった。
慌てて、チェーンを外し、鍵を開ける。
「ごめん・・・こんな時間に。すぐ帰るから・・・」
『明日から、出張じゃないの?』
「・・・だから、その前にどうしても香夏子に会っておきたかった」
雄輔の腕がフワッと私を包み込んだ。「香夏子・・・ごめん。俺、ずっと謝りたかった。・・・ごめん」
耳元で聞こえた雄輔の声、煙草の匂い混じりの雄輔の香りとぬくもり・・・。
懐かしさに涙が溢れて、身体から力が抜けた。
『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・』 悪いのは私なのに・・・。
崩れ落ちそうになった私を雄輔が支えて玄関先に座らせる。
雄輔も隣に座ると自分の胸に私の頭を押し付けるように抱き寄せた。
「もう、いいから。・・・何も訊かねぇから。・・ごめんなぁ・・・」
雄輔は優しい。何でこんなに優しいんだろう? 私はもらうばっかりだ。何も・・返せない。
「もう何も訊かねぇから、だから、俺の傍に・・いて。前みたいに・・笑って・・」
ごめんなさい・・・。ちゃんと話す。雄輔が帰ってきて、連休が終って、そしたら必ず・・・。
『帰る前に、時間・・ちょうだい』
そう言うと、香夏子は俺の手を引き、寝室に向かった。この日の香夏子はいつもと違った。
いつもは受身の香夏子が自分から激しく求めてくる。
どこか手の届かない所に行ってしまうような不安を感じながら、香夏子を抱いた。
『私が眠るまで帰らないで・・・』 そう言ってた香夏子が寝息を立てている。
「もう、俺を1人にしないで・・・」 香夏子の髪を撫でながら、そうつぶやいた。
窓の下に帰っていく雄輔の姿が見えた。
最後になるかも・・・。そう思ったら、雄輔に抱かれずには、いられなかった。
『ごめんね、雄輔。朝、早いのに・・・」
嫌われたかな?・・・あんなに乱れて。でも、それならそれでいい。諦めるしかなくなる。・・・その方がいい。
『雄輔、幸せになってね。あなたを・・愛してる』
つづく