◎ゆりかご◎の多種多様な日々ヾ(。>﹏<。)ノ゙✨ -3ページ目

◎ゆりかご◎の多種多様な日々ヾ(。>﹏<。)ノ゙✨

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僕は十七歳で、シアさんは二十六歳で九歳違うけど、意識してしまうくらい本当に綺麗で、彼女が二十歳くらいで出会った頃となんら変わりようのない若さのままだった。さらに、美しさが増したといっても過言じゃないくらいだった。もちろんそんな彼女は、僕の初恋の相手でもあるけれど……。と、僕は周りの騒々しさも落ち着きを取り戻し、あまりにも沈黙が続くシアさんと僕との間をぎこちなく感じはじめ、僕はシアさんに話を切り出してみる。きっとシアさんは僕が落ち着きを取り戻すのを、だたじっと待ってくれていたのだろうけど。そのシアさんの、優しい視線にほのかな戸惑いを感じなが僕は口を割った。
「あの、どういう……ことなんですか?」
 するとシアさんは、緊張の糸が切れたかのように、いきなり膝を崩して泣き崩れてしまった。
「え?あの……」
 僕はとりあえずどんな真実があるかに恐怖を覚えながらも、一筋縄な話じゃないんだろうなと、想像をはたらかせながら、彼女の小さな背中を優しく抱いた。そう、小さかった。最後に彼女と会ってから僕はずいぶん成長したのだろう。僕は、自分の腕に簡単に包まれてしまう彼女がとても儚く感じ、男として守りたいという気持ちを強く感じた。
 そんな中、研究医の人員達はサクラのやったと思われる瓦礫の後の清掃もやっと終え、地下のこの場所にいるのは僕とシアさんだけになっていた。そして、例の女の子の部屋。一箇所の壁以外頑丈なガラス張りになっていて、外から様子が完全に見えるようになっている。薄いピンクのベッドに可愛らしいぬいぐるみ。クローゼットが開いてて、可愛らしいワンピースが何着も敷き詰められている。サクラはこの地下の部屋でなぜどうして生活していたんだろうか。理由はわからないが、光もあびずにこんな所で何年も生活していたのならば、あまりに可愛そうだ。そんなことを考えながら、ただただその部屋を僕はしばらく見入っていた。気がつくと僕はシアさんを痛いくらい抱きしめていた。


 しばらくして、シアさんは顔を上げ、僕の目をまっすぐに瞬きなく見つめた。涙で目が真っ赤に染まっている。そして、全てを話すわと、僕に話を切り出した。
「ユキくん。思い出したくないくらい、つらい真実なんだけど、もう……話さなければならない時がきたみたい」

 そして……真実は…………

「あのね?ユキくんとルカは兄弟じゃないのよ」

 あっさりと綴られた言葉。大きく深呼吸しなければ胸が苦しくなるくらい、なんだかその言葉は胸に突き刺さった。というか……え?ルカと僕は母親の違う異母兄弟だよね?僕の胸と鼓動が早くなってだんだん苦しくなってゆく中、シアさんは話を続けた。
「ルカは……私と、ゼグスさんの双子の弟の……子供なの!」
 え?僕は意外すぎる答えに愕然とする。シアさんとショウさんに関係があること、もしくは知り合いだった事さえ全く気づかなかったから。でもショウさんってその時結婚してるし……ってことは、不倫?そういえば、ちゃんと聞かされてないけどなぜショウさんは、何故自殺……したの?僕はパニックになりながらも、聞きたい事がたくさんあった。でも声にならなくて、ただシアさんの言葉をじっと聞くのに必死だった。そして頭の片隅で、ひどくルカを心配に思う気持ちもあって、非力ながらも全て真実を知って、ルカを探しに一足でも早く駆けつけたい思いでいっぱいだった。

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なんだか、とてつもなく胸騒ぎがした。昔も二回度ほど同じ様なことがあって……一度目は僕の母親が無くなった頃。そしてもうひとつは誤作動。それが、あの例のルカのレントゲン写真を部屋に持ち帰った日。普段は警備員がいるんだけど、あの誤作動の時は誰もいなかった。ただ、地下の奥の奥は……警備と鍵で僕は近寄ることもできなかったけれど。今度も誤作動だといいな。と僕は思いながらも地下前へと辿り着いた。この、広いお屋敷だけに一苦労で少し息も上がっていた。めったに地下前には行かないものだから、妙に懐かしかった。自動ドアの裏には柵の門があってその下に階段が続いている。僕は自動ドアをくぐるとすぐ異臭を感じた。そして階段を進むほど大きな空洞が広がってゆく。そして、警備の人を含め、数十人が困惑した表情で立ち尽くしていた。もっと奥には親父がいた。慌てた様子の親父。僕は不振に見つめながら、駆け寄り、声をかけた。
「何?どうしたの!」
 すると親父はこう言った。

「ユキ……。サクラ……見なかったか?」

 何?僕は親父の言葉を疑った。親父がサクラを?僕は、朝からの出来事や昨日のルカの怪我の件の理解があまりにも非現実的な為、まったく理解できなくて……「この地下室に秘密が隠されてるの?」と、僕はそういうと、止める親父の腕を振り払って地下の奥の奥へと走りこんでいた。多少パニックになっていたのかもしれない。異臭と煙が立ち込めてあまり前が見えない中がむしゃらに走った為、壁に腕をぶつけてすりむいたりしてしまっていた。ただ、走るだけ走ってみて行き止まりにあたり、僕が見たものは想像もしなかった、不思議な光景だった。僕は目を丸くしてその場に立ち尽くしていた。頭の中はまさに真っ白。そして、色々な見解が自分なりに飛び込んできてどんどん頭が痛くなって僕は、頭を抱えてうずくまってしまった。

 気を取り直して目線を上げてみる。厚い鉄の壁がえぐられたように形を変えて穴を開けている。そしてその奥には……

 女の子の部屋があったんだ。

 確かにサクラって親父は言った。ということはこれはサクラの部屋なのかもしれない。そしてこのえぐられた壁は誰が空けたのか。今朝、サクラは二階から飛び降りるという普通じゃない行動をとった。ということは、この壁はサクラがやったという可能性もある。でも、一緒に幼い時を過ごした彼女は普通の女の子だった。特別運動神経がよかったからとか、そんなレベルじゃない壁の空洞。僕はただ目をまるくして、その場にうずくまったまま顔をひざに埋めた。頭の中はつじつまの合わない僕の中での真実がぐるぐるまわっていて……ルカのことサクラのこと。頭を抱え込んでしばらくたってからだった。

ポンッ

 親父の手が僕の肩にかかる。そして、
「すまない…いろいろな事をユキには隠している。」
 振り向くと、親父と、そしてあのシアさんがいた。
「シアさん!」
久しぶりだった。思わず叫んでいた。でも、久しぶりな彼女は相変わらずとても綺麗なブロンドの髪と瞳をもって群を抜く美しさだった。僕は危うくこんな状況でありながらも見とれてしまいそうな所「何が起こってるの?」と、後ろからのそのそやってきたルカに気がついてはっとする。やっぱり地下で母子の関係を恵んできたのか、シアさんはルカの頭を優しく撫でてあげていてルカは照れながらも嬉しそうにしている。すると親父は「ちょうどよかった!ルカ!今から一緒にサクラを探しに行こう!」と、そういってルカの腕を引っ張るものだから、僕は慌てて立ち上がり、ふたりの間を割って邪魔をした。だって……ルカはこんな小さな子供なのに。これ、万が一サクラがやったとしたらあまりに危険なんじゃないの?そう思いながら目を丸くして親父を見つめていると、親父はそんな僕を振り切ってルカの腕を掴み、僕にこう言った。
「今、ルカが必要なんだよ!すまなかった!事情はシアに聞いてほしい!」
 そういうと、シアさんが身を乗り出す僕を抑え、気がつけば、親父とルカの姿を僕は見失ってしまった。今思うと、僕はどんな表情で親父を見つめていたのだろうか。目を見開いて取り乱してかっこ悪かったに違いない。だって、皆、周囲の警備等研究に人達は、この状況を理解している顔に見えた。知らなくって無知で、数倍混乱しているのは僕ひとりだけ。なんだかそれがショックで、とてつもなく、情けなかった。そして……シアさんと僕の間には今、微妙な空気が流れていた。僕は、なんだか恥ずかしくなって、シアさんから一歩下がってその場で俯いて、うなだれてしまった。なんだか悔しかった。真相、事実を知りたかった。取り残されたこの気分を今すぐにでも払拭したかった。
 

 

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第三章~サクラ~


 僕の少し暖かな部屋に入ったルカは、気がつくと穏やかな表情をしていた。そして、気がつけば僕は、ルカに慰められていた。兄ながら情けないことに。
「ユキ。僕は平気だよ」
 当の本人が一番つらい現実なのに……と考えると、ルカの前で暗い顔するのは申し訳ないほどだった。そして、しばらくユタの散らかした本をルカは協力して片付けてくれたルカ。六歳にしてなんて強いんだろう。僕は、そんな凛としたルカの横顔を見て、そしてこう思った。ルカには絶対幸せな人生を歩んでもらおう! って。そして、メイドのメグの料理と、ひょうきんな彼女の話を聞きながら、親父のいないいつもの席で食事を楽しんだ。そして、ルカのおでこにオヤスミのキスをしてあげてそれぞれの部屋へと身を沈めた。


 そしていつのまにか眠りに着き、浅い眠りのままに見た明るみを少しだけを増した空に朝を実感する。何だか朝っぱらから胸騒ぎがしていた。まだ肌寒い早朝を、瞳を閉じたままに僕は感じていてた。でも、昨日の夜からずっとあの奇妙なルカの腕が頭に焼き付いてなかなか眠れなかったものだから、鉛のようにまだ体が重い。そう、今もまだ浅い眠りの続きな感覚なんだ。だって囁きかける女の子の声が聞こえるから……。僕は、夢か現実かわからぬまままぶたをはっきりと開けた。そして、何故だか目の前に長い黒髪をまとった女の子がいた。うーん。僕と同じ年くらい……?その女の子は僕にまたがる格好で僕を見つめているようだった。
 どうしよう。幽霊か……も?そうに違いない。そうぼんやりと考えながらまたまぶたを閉じて眠りにつこうとする。そして、その幽霊は僕にまたがったままこう言う。
「ユキ君?久しぶりね」

 久しぶり……??

 僕はだんだん覚めてゆく頭と重ねて、その少女にとある面影を重ねる。
「もしかして……」

 サ ク ラ ………… ?



 そう、初めは本当に夢なんじゃないかと思った。しかし僕は夢じゃない感覚を、どんどん覚えてゆくと共にゾクッとする寒気を感じた。今はすっかり見開いた僕の瞳はしっかりと彼女を捕らえていた。彼女を見つめていると、彼女はうっすらと微笑みを浮かべて僕の後ろにある窓に手をかけた。そして、窓を空けると勢いよく飛び降りた? え! ここ二階だよ!
 僕は体を起こし、慌てて窓の外を見つめると、もう彼女は居なかった。ただ肌寒い空気だけが僕を取り巻いていた。僕は朝からのあまりの出来事にそのまますっかり体が硬直していた。だって、あれ?サクラは昔行方不明になったはずなのに。僕の部屋に居て……。従弟であり幼馴染のようによく一緒にいたものだから顔を見間違えるわけがない。根拠はないが、自信があった。確かに、当時行方不明になった時点では、僕は十歳くらいでサクラは七歳だったけど。でも、あの切れ長の瞳は……間違いない。と、そんなことを考えていると急に部屋、いや屋敷中をとてつもなく大きな騒音で僕を騒がせた。臨時ベルだった。
 このベルは地下の研究室で、危険が起こると鳴る。めったに作動しないのだけれど。
でも何が?やっぱりさっきみた夢じゃないサクラ……が関係してる?
 僕は大きな騒音に顔をゆがませながら急いで上着をはおり、地下の入口へと足を運んだ。

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