土曜日のスキマ時間の寄せ集めで……
何とかできあがった『けの汁』。
みかんが傍から見る限り、大変なのは具材を切りまくるところで、それさえ終わっちゃえば、あとはちょちょいのちょい
さて、ちょちょいのちょいとは『あっという間』とかそんな意味があるようですが、その語源は……とっても気になりますけど、今日は調べるのをやめておくことにします
その辺を、亭みかんに訊いてみれば、
下ごしらえさえ終わっちゃえば、おちゃのこさいさいよ
だそうで
で、けの汁。
冬になると、特別に津軽の人々に親しまれる郷土料理に、「けの汁」があります。
けの汁は、地域や家庭によって、材料、切り方、味付けなど調理の方法が異なりますが、多くは、だいこん、にんじん、ごぼう等の野菜類と、ふき、わらび、ぜんまい等の山菜類、それに、油揚げ、豆腐、凍み豆腐などの大豆製品を基本的な材料としていて、これを刻んで煮込み、みそやしょうゆで味付けした素朴な料理です。
弘前商工会議所 津軽けの汁保存会ホームページ より一部抜粋
みかんが『けの汁』を知ったのはン+5年前で、その経緯は黒歴史に刻まれているんだけれど……
再編集してみれば……それは、青森を旅したときのこと。青森駅前のこじゃれた小料理屋さんで初めていただいたのですが、てっきり『ハレ』と『ケ』の『ケ』だと思って、
ケの汁が日常いただく汁物だとすれば……
ついつい興味津々で女将さんに訊いてみたときの会話はこんな感じ
ハレの汁(=非日常、特別な日にいただく汁物)ってどんなのだろう?
もとは小正月の作り置きだったらしいので、どちらかと言えばハレの日の汁……おせち料理の小正月版ね。
「粥」をこちらでは「け」というから、粥の汁と言っているつもりなのよ。
あらま
ですよね。
なんでしょうね、つい食べたくなっちゃって、材料を揃えて亭みかんに丸投げなのでみかんにしてみれば、ちょちょいのちょいおちゃのこさいさいです
分量は大根を基本(容積)とし、他の具材はその1/3量にするのが目安のようです。今回は大根 180g(皮を剥く前)が250mlほどでしたので、その他は80mlを目安にしました。みかん亭ではマストの油揚げは1/2枚(50g)で作りましたが、少ないので1枚にするのがよさそうです。なお、とある理由からだし汁は700mlにしていますが、温め直しを考えるならばぜひ1リットル、みそは大さじ5*7で作ることをおすすめします。
■材料(4人分?) A. 大根 180g(7cm)) A. にんじん 75g(1/2本) A. れんこん 50g A. ごぼう 45g(14cm) A. 板こんにゃく*1 65g B. 山菜ミックス*2 80g B. 大豆(水煮) 60g B. 生どんこ*3 30g(大1枚) B. こうや豆腐(高野豆腐)*4 15g B. 油揚げ 50g(1枚) だし汁(煮干し)*5 700ml*7 椎茸の戻し汁*6 (60ml) 白みそ(米みそ)*7 大さじ4*7
大豆の水煮はすり鉢ですって『ずんだ』と呼ばれる状態にして入れたりもするそうです。また、乾燥大豆を砕いた『ズダ』なるものが石岡商店から販売されているようで、こちらを使ったりもするんだとか。いずれにしても次回以降の宿題とします。
具材を己が信じるところの7mm角(5~10mmでよいが、具材のサイズを合わせることが肝要)に切り揃える。
木村食品の『けの汁水煮』が手に入れば、大根、にんじん、ふき、ぜんまい、ごぼうなどの一部の作業は省略できます。
だいぶ前ですが、これ↑を使って作っています↓。ある意味黒歴史ですが、ご笑納くださいませ
(a) 大根とにんじんは皮を剥いて、己が信じるところの7mm角(5~10mmでよいが、具材のサイズを合わせることが肝要)に切る。
(b) ごぼうは皮を削いで縦四つに割って、7mm幅に切って水に放つ。5~10分おいて水気を切る。れんこんは皮を剥いて己が信じるところの7mm角に切り、水に放ち、5~10分おいて水気を切る。ともに酢水である必要はない。
(c) こんにゃく*1は厚みを半分にし、己が信じるところの7mm角に切り、沸騰した湯で2~3分ゆでてザルに取る。
材料A
(d) こうや豆腐(高野豆腐)*4は深バット(ボウルや鍋でも)に入れて、50~60℃の湯をひたるくらいまで注いで、紙蓋などで浮き防止をして10~20分、中まで戻す。ボウルにたっぷりの水を張って、1~2回押し洗い(グーパンチ)して、両手で挟んで水気をしっかり切る。必要な分を切り分け(今回は1枚を戻してその半分を使用)、己が信じるところの7mm角に切る。
写真右が戻した後と前の比較。これを半分にして使います。
(e) 油揚げは熱湯を回しかけるか、2~3分ゆで、水に取って粗熱を取り、両手で挟んで水気を切って、キッチンペーパーで拭く。己が信じるところの7mm角に切る。
(f) どんこ*3は軸を落とし、己が信じるところの7mm角に切る。
(g) 山菜ミックス*2はザルに取って水気を切り、棒状のものは1.5~2cmにして、その他は己が信じるところの7mm角に切る。
(h) 大豆の水煮はザルに取ってサッと洗う。
材料B
鍋にA……
だし汁(煮干し)*5、椎茸の戻し汁*6を入れて火にかける。沸騰したらアクを取って、弱めの中火にして10分煮る。
Bを加え……
ひと煮立ちしたら弱火にし、みそ*7を溶いて……
さらに10分煮ればできあがり。
大量に作って、温め直しながら食べるようです。日々煮詰まってゆく汁が魅力なんだとか。
*1 むつみの国産こんにゃく(使い切りサイズ) 1/2枚。
*2 欲しいのは、ふき、ぜんまい、わらび。今回は、芋つる、わらび、細竹、きくらげ、えのき茸、なめこが入ったお安いのを使いました。
*3 干し椎茸を戻し、汁ごと使うのがふつうのようですが、みかん亭では肉厚のどんこを使って食感を重視します。
*4 登喜和冷凍食品の鶴羽二重こうや豆腐(信州産大豆ナナセンナリ使用) 4枚入り 62gのうち1枚を戻して半分を使用します。
*5 30gの煮干し(いりこ)を1リットルの水に20分浸水し、沸騰後、弱火で20分煮出したものを使います。700mlほどのだし汁がとれます。
*6 干し椎茸を使わない場合には割愛しますが、冷凍保存しておいたもの(60ml)を充当します。
*7 お好みのみそで。大さじ3~4くらいで調整してみてください。とある理由からだし汁は700mlにしていますが、温め直しを考えるならばぜひ1リットル、みそは大さじ4~5で作ることをおすすめします。
実際に下ごしらえには結構な時間がかかっているわけで、みかん亭の極狭のキッチンでは通常よりもかかることは想像できるとしても、それは結構な労力なわけで、作る方からすれば
ハレの日の汁
に違いありません(みかん亭専属シェフ姫神・亭・みかん談)。
ちなみに、以前使用した『木村食品工業(青森県平川市)けの汁水煮』のパッケージに書かれている作り方はこうでした。
本品(けの汁水煮)を水でよく洗い、ザルに上げ水気を切っておきます。
鍋に水を入れて水気を切った本品(けの汁水煮)を加えて、強火にかけます。
沸騰したら、中火よりやや弱めの火にし、味噌を溶き入れ味を調整します。
具に味が染み込むまでじっくり煮たら火を止め椀に盛り出来上がりです。
また、弘前商工会議所 津軽けの汁保存会ホームページ から『 けの汁新聞 』に進むと、弘前、深浦、平賀、蓬田、小泊の『けの汁』の作り方が PDF で公開されています。
photo by miiinaamiii さん via photoAC