『止められるか、俺たちを』続編鑑賞に向けて復習。 | himawari's diary

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製作年 2018年
 
製作国 日本
 
言語 日本語
 
尺 119分 
 
公開日 2018年10月13日(土)
 
配給 若松プロダクション、スコーレ
 
 
スタッフ
 
監督 白石和彌
 
脚本 井上淳一
 
 
主なキャスト
 
門脇麦:吉積めぐみ
 
井浦新:若松孝二監督
 
山本浩司:足立正生
 
タモト清嵐:秋山道夫(オバケ)
 
毎熊克哉:小水一男(ガイラ)
 
岡部尚:沖島勲
 
伊島空:高間賢治
 
大西信満:大和屋竺
 
藤原季節:荒井晴彦
 
高岡青佑:大島渚監督
 
寺島しのぶ:前田のママ
 
奥田英二:葛井欣士郎
 
吉澤健:カプリコンマスター
 
 
概要
 

吉積めぐみ、21歳。1969年春、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われて、"若松プロダクション"の扉をたたいた。当時、若者を熱狂させる映画を作りだしていた"若松プロダクション"。 そこはピンク映画の旗手・若松孝二を中心とした新進気鋭の若者たちの巣窟であった。小難しい理屈を並べ立てる映画監督の足立正生、冗談ばかり言いつつも全てをこなす助監督の ガイラ、飄々とした助監督で脚本家の沖島勲、カメラマン志望の高間賢治、インテリ評論家気取りの助監督・荒井晴彦など、映画に魅せられた何者かの卵たちが次々と集まってきた。 撮影がある時もない時も事務所に集い、タバコを吸い、酒を飲み、ネタを探し、レコードを万引きし、街で女優をスカウトする。撮影がはじまれば、助監督はなんでもやる。現場で走り、 怒鳴られ、時には役者もやる。 「映画を観るのと撮るのは、180度違う…」めぐみは、若松孝二という存在、なによりも映画作りに魅了されていく。 しかし万引きの天才で、めぐみに助監督の全てを教えてくれたオバケも「エネルギーの貯金を使い果たした」と、若松プロを去っていった。めぐみ自身も何を表現したいのか、何者に なりたいのか、何も見つけられない自分への焦りと、全てから取り残されてしまうような言いようのない不安に駆られていく。 1971年5月カンヌ国際映画祭に招待された若松と足立は、そのままレバノンへ渡ると日本赤軍の重信房子らに合流し、撮影を敢行。帰国後、映画『PFLP世界戦争宣言』の上映運動の為、 若松プロには政治活動に熱心な若者たちが多く出入りするようになる。いままでの雰囲気とは違う、入り込めない空気を感じるめぐみ。 ひとり映画館で若松孝二の映画を観ているめぐみ。気付かない内に頬を伝う涙に戸惑う。 「やがては、監督……若松孝二にヤイバを突き付けないと…」

(引用元:公式サイト)
 
 
感想
 
2012年に若松孝二監督が急逝。
 
その後2018年に、
 
若松プロダクションが製作した作品。
 
若松孝二監督ではなく、
 
女性で助監督となった吉積めぐみを
 
主人公として彼女の目線で
 
若松監督らを描いたのがおもしろいです。
 
 
1969年からの数年間が舞台、
 
三島由紀夫の切腹ニュースも飛び込んでくる時代、
 
昭和感がたっぷりでノスタルジック。
 
みんな、よくお酒を飲んで、
 
タバコをバカバカ吸いながら
 
あれやこれやと語るのにも時代を感じさせます。
 
若松プロの事務所にはチェ・ゲバラのポスター。
 
冷蔵庫には若松監督がかけたチェーンと鍵が。
 
スタッフが勝手に
 
お酒を飲まないようにとのことで、
 
笑えました。
 
 
実現しなかったけれど、
 
「草加次郎事件」を題材に派手な爆破シーンを
 
たくさん盛り込んだ映画を撮るというアイデア。
 
そして、カンヌ国際映画祭に招待された後、
 
パレスチナへ行き現地を撮影、
 
その後 『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を製作。
 
新たな上映形態を考え......。
 
若松監督は常に慌ただしく動き回ります。
 
 
怒りが原動力になっていて、
 
「全部ぶち壊したい」
 
「客に刃(やいば)を向けるような映画を作りたい」
 
「映画の中では何をやっても自由」
 
このような、
 
若松監督の有り余るほどのパワーを感じました。
 
風俗法に引っかかり、配給や上映、
 
資金繰りに悩んだりすることもあったようですが、
 
持ち前のパワーで乗り切っていきます。
 
若松監督のパワーについていける人はいいとして、
 
圧倒されすぎて離れていくスタッフもいたよう。
 
 
偶然的に若松プロダクションに入っためぐみも
 
若松監督と映画製作に魅了され、
 
無我夢中で助監督として力を発揮するも、
 
自分が本当に作りたいものがわからないと、
 
男性スタッフの中で思い悩み、
 
だんだんお酒に依存するようになる姿は
 
痛々しい......。
 
その反面、感情を爆発させるシーンもあり、
 
めぐみを演じた門脇麦が、
 
感情のふり幅の大きさをうまく見せました。
 
プライベートな悩みも生まれ、
 
こちらもひとりで思い悩みます。
 
もし、若松監督に相談できていたら、
 
その後の結果も違っていたかもしれないと、
 
胸が痛みました。
 
 
めぐみが読売新聞のインタビューを受けた際に
 
語っていた、
 
「映画は作る側と観る側で180度違う」
 
この言葉も印象的でした。
 
 
若松監督を演じた井浦新はオファーを受けて
 
相当悩んだようですが、
 
代役の効かないこの人物を演じることを
 
「罰ゲーム」として受け入れたそう。
 
なるほど、熱演でした。
 
 
その他のキャスティングも結構豪華で
 
楽しませていただきました。
 
 
タイトルの『止められるか、俺たちを』ですが、
 
鑑賞後に考えるのは
 
やはり、誰にも止められていないということ。
 
男女の垣根を超えた友情はとてもすてきでしたが、
 
生理的な違いがあることを
 
突きつけられる部分もありました。
 
そして、エンドロールのご本人たちの写真には
 
グッとくるものがあります。
 
 
続編は2024年3月15日(金)公開。
 
舞台は1980年代へと移ります。
 
どんなことになるのか、楽しみです。