『KIDNAPPED』第36回東京国際映画祭(2023) ガラ・セレクション 舞台挨拶付き上映会 | himawari's diary

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鑑賞日 2023年10月27日(金)
 
 
製作年 2023年
 
製作国 イタリア フランス ドイツ 
 
言語 イタリア語 日本語字幕
 
尺 134分 
 
公開日 2023年10月27日(金)時点、未定
 
原題 Kidnapped [Rapito]
 
 
スタッフ
 
監督 マルコ・ベロッキオ
 
プロデューサー パオロ・デル・ブリッコ
 
 
主なキャスト
 

パオロ・ピエロボン:ピウス9世

 

エネア・サラ:エドガルド・モルターラ(幼少期)

 

ファウスト・ルッソ・アレジ:モモロ・モルターラ(エドガルドの父)

 

バルバラ・ロンキ:マリアンナ・モルターラ(エドガルドの母)

 
 
概要
 
1850年代のイタリアで実際に起きた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」に、イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオが肉迫した衝撃作。
(引用元:第36回東京国際映画祭公式サイト)
 
 
感想
 
ユダヤ人の家族とカトリック教会との
 
長い闘いを描いた作品。
 
衝撃的な事件にはかなり考えさせられます。
 
音楽や衣装、ちょっと抑えた感じの
 
色彩の映像は美しく、重厚感がありました。
 
事実として、起こったことはひどいですが、
 
作品としては本当にすばらしいです。
 
公開されたらもう一度観たい作品となりました。
 
 
生後6か月のエドガルドは
 
ユダヤ教の両親の許可も得ず、
 
勝手に洗礼の儀式を受けさせられます。
 
それがどこからか知られ、異端審問所により
 
エドガルドは6歳のときに
 
カトリック教会に連れていかれます。
 
両親はエドガルドを連れ戻そうとしますが......。
 
 
エドガルドを取り戻そうとする
 
両親の心情を思うと辛すぎるし、
 
更に、時間は残酷。
 
エドガルドが6歳からという大事な時期に
 
ずーっと過ごした環境下で受けた教育は
 
彼に大きな影響を与えるのも当然......。
 
 
とても理不尽だし、切ないことですが、
 
民衆の集合意識が高まって、時代が変化し、
 
エドガルド問題を裁判に持ち込めたことは
 
すごい進歩だと思います。
 
しかし、裁判であることを言い損ねたことを嘆く
 
父親の心の痛みは計り知れないです。
 
 
ラストはとっても複雑な気分になりましたが、
 
このようなデリケートな事実を映画化して
 
観せてくれたことにまずは感謝したいです。
 
宗教と家族の問題は時代が変わってもあるので、
 
リアルな恐ろしさも感じました。
 
 
6歳のエドガルドを演じたエネア・サラの
 
醸し出す雰囲気は最高だったし
 
6か月の赤ちゃんのエドガルドがそのまま
 
本当に育ったような感じの見た目が
 
抜群によかったです。
 
赤ちゃんとの違和感なしでここまでピッタリなのは
 
珍しいぐらいのパターンと思うほどでした。
 
更に青年期のエドガルドも
 
雰囲気が近くてよかったです。
 
 
上映前には舞台挨拶があり、
 
プロデューサーの
 
パオロ・デル・ブロッコがご登壇。
 
マルコ・ベロッキオ監督からは
 
「来日できず残念ですが、
 
本作を皆さんに観ていただけることは嬉しい」
 
というメッセージがあったようです。

 

 

 

 

本作は実は以前、スピルバーグ監督が
 
映画化しようとしたらしいのですが、
 
子役を見つけるのが難しかったことなどもあり、
 
断念したそうです。
 
 
マルコ・ベロッキオ監督としても
 
やはりキャスティングは難しかったようです。
 
最終的に選ばれたエドガルド役の
 
エネア・サラは素人とのこと。
 
マルコ・ベロッキオ監督が何かを思ったように、
 
やはり天性の才能を感じられます。
 
本作は多くの国に配給が決まり、成功したのは
 
キャスティングがよかったことも一因だろうと。
 
 
マルコ・ベロッキオ監督は
 
とてもまじめで厳しい性格なので、
 
モラル価値が高い作品ができるそうです。
 
厳しいということでは、息子でさえ
 
オーディションをきちんとしないといけない、と。
 
全く妥協のない作品作りはいいですね。
 
今後もお元気で
 
作品を製作していただきたいです。