『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』 | himawari's diary

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鑑賞日 2022年1月15日(土)
 
 
製作年 2021年
 
製作国 ドイツ
 
言語 ほぼドイツ語 日本語字幕
 
尺 107分 
 
公開日 2022年1月14日(金)
 
原題 Ich bin dein Mensch
 
レイティング PG12
 
配給 アルバトロス・フィルム
 
 
スタッフ
 
監督・脚本 マリア・シュラーダー 
 
製作総指揮 ダン・スティーヴンス、マリア・シュラーダー
 
原作 エマ・ブラスラフスキ
 
脚本 ヤン・ショムブルク、マリア・シュラーダー 
 
 
主なキャスト
 
ダン・スティーヴンス:トム(ロボット)
 
マレン・エッゲルト:アルマ
 
ザンドラ・ヒュラー:トムを製作した企業の従業員
 
 
概要
ベルリンのペルガモン博物館で、楔形文字の研究に没頭する学者アルマ。研究資金を稼ぐため、とある企業が極秘で行う特別な実験に参加することに。そこに現れたのは紺碧の瞳でアルマを熱く見つめるハンサムなトム。初対面にもかかわらず、積極的に口説いてくる彼は、全ドイツ人の恋愛データを学習し、アルマの性格とニーズに完璧に応えられるようプログラムされた高性能AIアンドロイドだったのだ!トムに課せられたミッションは、”アルマを幸せにすること”ただひとつ。実験期間は3週間。献身的でロマンチックなトムのアルゴリズムは、過去の傷から恋愛を遠ざけてきたアルマの心を変えることができるのか――?
(引用元:公式サイト)
 
感想
 
コミカルな近未来SF、
 
ラブストーリーかと思ったら、
 
それだけではなかったです。
 
かなりシビアな問題提起もありましたが
 
とってもいい作品でした。
 
 
ロボットのトムを演じた
 
ダン・スティーヴンスの演技が秀逸です。
 
ちょっと困ったときのポカンとした表情。
 
フリーズしたときの固まった表情。
 
愛を語るときの表情。
 
どれもすてきです。
 
『ダウントン・アビー』や
 
『美女と野獣』でもそうでしたが、
 
瞳の美しさは特に印象的です。
 
吸い込まれそうになるような
 
透明感のある青の瞳が美しいですね。
 
それと、ドイツ語はもともと堪能だそうですが
 
イギリス訛りのドイツ語を話す、というのも
 
いい設定です。
 
 
トムはアルマを幸せにすることを
 
第一に考えるというプログラムで動いています。
 
優しさ、思いやりにあふれるだけでなく、
 
容姿端麗なトムは恋人として完璧に見えます。
 
アルマは研究資金のために仕方なく
 
ロボットとの同居生活実験に参加しました。
 
最初からロボットに対して
 
否定的な感覚を持っているアルマは
 
気難しくてなかなかトムを受け入れません。
 
 
トムが、データにより、
 
「イツ人女性の93%が喜ぶはすの
 
バラで演出したバスルーム」を見せても
 
それを拒否するアルマのかたくなな態度。
 
(結局そのお風呂にはトムが入っていましたが、
 
その姿まで美しかったです)
 
 
他にもトムが良かれと思ってすることを
 
すべて拒絶するので、
 
だんだんトムが気の毒になっていきました。
 
トムは頼まれなければ絶対に
 
アルマをけなしたり怒ったりしないのです。
 
そんなトムに理不尽に怒りをぶちまけたり
 
拒絶するアルマには
 
あまり共感できませんでした。
 
 
もちろん、アルマにも過去のトラウマや
 
現在の問題があります。
 
以前妊娠したが、
 
その子が生まれてこなかったこと。
 
80代の一人暮らしの父親のこと。
 
研究発表が他社に先を越されたこと。
 
など、思い悩むことはいろいろとあります。
 
それでも、トムにあたるのはお門違いです。
 
ロボット否定派なのに、
 
ロボットに愛情を感じてしまう
 
自分を許せないという感覚が
 
アルマをよりイラつかせているようでした。
 
 
そんなアルマが相手でも
 
トムは高い学習能力を発揮して
 
どんどんステキな恋人になっていきます。
 
人間らしく、いびきまで
 
かくようになったのは驚きでした。

どんなわがままも受け止めてくれる寛容さ、
 
これなら恋人がロボットでもいいと思えます。
 
 
ユーモアがほどほどにあるのもよかったです。
 
度が過ぎて、空気も読まず、
 
いつでも何でもジョークにするような人って、
 
まじめな話をしたくてもできないので嫌いですが、
 
トムのちょうどよいユーモアセンスは
 
好印象でした。
 
 
ラブストーリーとしては
 
物悲しさ、切なさ、幸福感などが入り混じり
 
複雑な気持ちになりました。
 
でも、これはこれでよかったと思います。
 
 
近未来SFとしては、ホログラムを使用したり、
 
ロボットと生活すること自体は近未来的です。
 
無機質なビルもそうですね。
 
田舎の自然豊かな風景、
 
鹿に囲まれるトム、などを観ていると、
 
結構古い時代の設定のように感じました。
 
新旧、入り混じっていて
 
いつの時代かわからない雰囲気が独特です。
 
 
全体的には、ロボットが恋人になり得るか、
 
一緒に生活できるのか、だけでなく、
 
ほかにも問題提起がありました。
 
年老いた父親をひとりにしておいていいのか。
 
仕事、今後と老いについて、など……。
 
いろいろなことを考えさせられました。