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PROMISE〜Lastscene〜
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「つぐみっ!」
一番に駆け込んできたのは、樹。
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「わかる?つぐみ?!」
ん…って小さく頷くと、小さい手が、樹の手をぎゅっと握った。
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「よかった…よかった…」
人目もはばからず、泣き崩れて床へと座り込む樹に「パパ?」って2人が近づくと、背中を撫でる。
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「なかないよー、パパ。ね、めいちゃん」
大芽が芽生にそう言うと2人を抱きしめて、「ごめんごめん」って樹が笑う。
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入口のドアに凭れたまま、ずっと天井を見上げてる北人。
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「北人……」
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そう声をかけたら、俺へとゆっくり近づいてきて、がばっと抱きしめられた。
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ぎゅーって俺を抱きしめる腕の強さに、止まってたはずの俺の涙もまた溢れた。
何も言葉がなくても、北人の思いが伝わってくる。
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「つぐみちゃん、おかえり」
スミレさんの言葉に優しく笑うつぐみ。
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「まだ目が覚めたばっかだから、うまくしゃべれないけど、大丈夫だからね。 少しずつ、よくなるから」
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ゆっくり瞬きをすると、「ありがとう」って小さく口元が動く。
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「つぐみ?この子…名前…『さえ』やで?」
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「…ぁ…ぇ…」
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彼女の傍らにいる咲依にそっと手を伸ばして小さく聞こえた声。
聞き逃してしまいそうな小さくてか細い声。
でも、娘の名前を必死に呼んでた。
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「そうや?咲依。ええ名前やろ?最高やろ?」って言うと、ふふって笑って「ん」っ目じりを下げた。
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咲依が産まれて2ヵ月、俺ら家族はここから始まる。
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3ヵ月後。
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「壱馬、準備できた?忘れものない?」
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「ない!まあ、忘れてたらまた取りにきたらええし、すぐそこやん」
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「確かに(笑)北ちゃんは?忘れものは?」
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「わかんない。まあ、またすぐ来るし」
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「だね」
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「つぐみ!咲依の洋服!これっ…」
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「あっ、樹、それ置いといて。着替え用だから」
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「実家かよ、うちは」
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「スミレちゃんと樹のおうちは、私にとって実家みたいなもんだし」
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「実家だって…(笑)まぁいいじゃん。つぐみちゃんが来てくれたら、おいしいご飯食べれるし」
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「ねー、スミレちゃん。だよね?」
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シェアハウスを出てく事に決めた俺ら家族と、北人。
って言うても、そんな離れて暮らす訳ではない。
何かあれば、お互い駆け付けられる場所に新たな生活拠点を構えた。
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「じゃあ、行くね。スミレちゃん、樹の事よろしくね」
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「ん、もちろん。つぐみちゃん、今度一緒に子供たち連れて公園行こうね。ママ会しよ」
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「それ、俺も行く!」
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「ほくちゃんも?まぁ、ほくちゃんはパパってよりは、ママだからいいよ。入れてあげる」
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「樹、2人でママ会やって。じゃあ、俺らはパパ会やるか?(笑)」
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「いいっすね、パパ会。美味しいお酒飲みましょ」
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「そっちも、俺行く!」
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「はっ?」
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「俺は、パパの気持ちも、ママの大変さも解る人間だから。両方参加権ありでしょ!」
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「調子ええな、ほんまにお前は(笑)じゃあ、そろそろ…」
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「だね。行こっ」
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咲依を腕に抱いて、住み慣れたこの場所を後にする。
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「あっ、来月、第四木曜日ね」
スミレさんそのセリフに、振り返って手を上げた。
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どんだけ時間は流れても、家族が増えても、俺ら5人は毎月第四木曜日だけは、このメンバーで過ごす。
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その時間を一生大切に。
約束しよう。
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happyend
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PROMISE
...fin
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これでシェアハウスシリーズ完結です。
一番最初の、毎月1回みんなで集まってごはんを食べる約束。
壱馬のフォトエッセイ『PROMISE』にかけてみました。このシリーズ、長かった。こんなはずでは最初はなかったんやけど。
次回作、描きたいお話はもう決まってるんやけど、時間がなくて、まだ未定です。
いつも私のお話を読んでくれる方に、たくさんの「ありがとう」を。himawanco