Sadistic love〜scene21〜
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≪今晩時間とって、話しあるから≫
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「来た…」
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北人からのLINEを見ての感想は、この2文字に限る。 自分の意思だけを伝える文章。
普段こんな言い方をするやつやない事は俺が誰よりも知ってる。
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気遣いで、優しくて。
もし、俺が女やったらこいつを選ぶって素直にそう思える。
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いきなり殴りかかってきたりするんやろうか…って冗談じゃなくそんな事を思ったまま、 仕事が終わりで連絡をした。
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≪うちで待ってるから≫
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外では話しにくいって事か…。
サボテンみたいな色のあいつのマンションへと向かうと、「おつかれ」ってドアを開けてくれた。
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とりあえず、一発目殴られるとかではなかった。
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カタン。
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「どうぞ」
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言いたい事があるから、俺を呼び出した。
しかも『怒り』でしかないはずなのに、立ったままの俺の為にテーブルに置いくれたアイスコーヒー。
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お前のそういうとこが…めっちゃ嫌い。
そう思ってしまう自分が、もっと嫌い。
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「本気なの?深月さんの事」
口を開いたかと思ったら、唐突にそう聞く。
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「本気?本気ってどういう事や?結婚とか…そういう事か?ないで?そもそもゲームやから。
まぁ、お前が深月を好きって最高の設定を与えてくれたんやけどな。
悪いな…お前も俺のゲームの主要キャストってわけ。でも別に北人に恨みはないから。
ただ、楽しませてもらってるなっていうだけや」
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「ゲーム…」
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「そや?でもまぁ、もうちょうど飽きてきたとこやったから、深月。
お前がいきたいなら、いけばええやん」
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そう俺が言うと、俺の前までやってきてゆっくり瞬きをする。
開いた瞳に、ゴクっと息を飲んだ。
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「…俺もやらせてよ、そのゲーム」
「っ…」
「それ飲んだら帰って。俺、これからの作戦立てるから」
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俺に背を向けると「飲んだらシンクに置いといて」ってジャケットを脱ぎながら寝室へと向かった。
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北人 side
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『飽きたから手放そう』
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ウソ。
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『好きになってしまったから手放そう…』でしょ、それ。
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俺の事を勝手にゲームのキャストにしといて、自分はさっさと降りますなんて認めない。
ずるいだろ…それ
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こうなったら、俺も本気で…。
もう遠慮なんかしない。
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寝室のクローゼットにジャケットをかけると、キッチンにグラスを置く音がする。
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「なぁ、北人…」
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「ん?洗わなくていいから、そこ置いといて」
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「…教えてくれや。『好き』ってな、どんな気持ちが『好き』なん?」
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無音の中、壱馬の呟くような言葉が響く。
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「お前が深月を思う気持ちは『好き』なんか?」
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「そうだよ。俺は彼女の事が好き」
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壁を隔てた向こうにいる壱馬に聞こえるようにはっきりそう言った。
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「どんな気持ちが『好き』なのかはわかんない。 それって、人それぞれでしょ?俺と壱馬では違うだろうし。
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ただ…俺は彼女といると楽しいし、幸せだなって思う。 これがずっと続いて欲しいなって。 それが俺の『好き』かな」
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「そっか…」
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小さくそう聞こえた後、玄関のドアが静かに開いて壱馬が出てった。
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シンクには口のつけられてないグラスに入ったアイスコーヒー。
そのグラスに水道の水をすーって落とすと、黒い液体が溢れだす。
段々と、黒の分量が減って、いつしかグラスの中は透明に…。
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『好き』がわからない。
そんな壱馬は、黒に見えて、誰よりも透明。
悔しい位に。
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大嫌い。
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