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Sadistic love〜scene26〜

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「深月さんを旅行に誘ったんだ。 俺の誕生日。来てくれると思う」

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「っ…」

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仕事が終わって、エレベーターを降りてくると、俺を待ち構えてたんか、北人が俺に近づいてくるといきなりそれ。

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「もういいんでしょ?彼女の事は…」

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「…ん」

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「じゃあ、俺と付き合うってなっても、恨みっこなしだよ?」

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「ん…」

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そう返事をすると「ね?」って、わざとらしい位満面の笑みを俺へと向ける。

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「あぁ…」

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手放した以上、何も言う資格はもう俺にはない。 俺よりも、北人とおる方が深月は幸せになれるって、嫌味でもなくそう思う。

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『好き』 

そう何の迷いもなく言える北人の方が…。

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「それだけか?じゃ、お疲れさん」

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「ん。お疲れ」

北人の『お疲れ』と同時に早足で歩きだす。 

もう今は何も考えたくない。

こんな時はさっさと帰って寝るんが一番。

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「壱馬!」

そんな俺を呼び止める北人のでっかい声。

なんやねん、言いたい事はそんだけやったんちゃうんか、お前。

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ゆっくり振り返ると、俺をまっすぐ見つめる瞳。

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「ゲーム…俺の勝ちだね」

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北人 side

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本当は、この時、教えてやろうと思った。 でもそうしなかった。

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この間聞かれた『好き』ってどういう事なのか。

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なぁ壱馬。

『手放そう』って、思った。 

それが『好き』だって事なんだよ。

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教えなかった理由は、ただ一つ。

ゲームに負けるのは嫌なんだ、俺。

お前だけには絶対負けない。

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「駅で待ってます。6日、10時23分の電車。その時間に来て下さい。来なかったら、深月さんの事は、すっぱり諦めます」

3月に入ってすぐ。彼女にそう伝えた。

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ドキドキしながら迎えた3月6日。 

スマホに届く『お誕生日おめでとう』の通知なんて、全部無視。 

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俺が欲しい『おめでとう』は、ただ一人から。欲しい誕生日プレゼントは、今ここに彼女が来る事。

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「…そうなんだ」

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10時23分。 出発を告げるホームの音楽。

シューって音と同時に扉が閉まると俺の目の前、静かに走り出した。

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『彼女は、来なかった』

それが答え。

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「帰ってハンバーグ作ろうかな…」

鞄を抱えてベンチに座ると、玉ねぎを刻む前にもう泣きそう。

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「いけるって思ってたんだけどな、ダメか…」

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深月さんはやっぱり壱馬なのかな、それとも、どっちも選ばなかったのかな…。

それはわからない。

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でも、俺は選ばれなかった。

それが事実。

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本気だった。

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だから、今こんなに辛い。

でもいつか「あんな事もあったな…」 そう思える日が来る。それはわかるから。

だから、今は盛大に、失恋を満喫するかな。

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「よしっ、帰ろ」 鞄を抱えて改札へと降りてく。

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「玉ねぎ…いっぱい買って帰ろ」

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盛大に泣きたい…そんな気分。

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…next is last scene

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