ヒマワリノタネ -4ページ目

ヒマワリノタネ

ひまわりの、ひまわりによる、ひまわりのための。

雪は嫌いだ。
あの日を思い出すから。

でもそれをいうなら、
晴れの日も、雨の日も、曇りの日も、

春の日も、夏の日も、秋の日も、嫌いだ。

数ヶ月というのは、
思い出を侵食するには十分だ。
求めれば、失う。
そう知っていたから、
求めずに、望まずに、
ただあるがままを大事にしたいと、
そう、思ってーーー

なるようにしかならない、と
またいつものように言い聞かせる。

そして多分、いつものように、
また失って、
一人になって、
大げさに泣く。

それでもまた、
懲りずに誰かに恋をするんだ。

求めないように
望まないように
雪の日は、嫌いだ。

あの日を思い出すから。

伝えられなかった言葉、
渡せなかったプレゼント、
止まらない涙や、
楽しかった思い出を
すべて飲み込んでしまうような
真っ白な雪。

あのまま、溶けてなくなりたかった。
楽しかった思いを抱いて
大好きだった想いを抱いて。
溶けて、なくなりたかった。
毎日たくさんの人が
ここに顔を出す。

恋人と、家族と、友人と。
あるいは、一人でやってくる。
あるいはかつての恋人と。

知ってる人も知らない人も
声をかけては通り過ぎていく。
あたしのためにくる人も
あたし以外のためにくる人も
ただぼんやりと
訪れては去って行く。
まるで「ついで」のように。

朝も
昼も
夜も
外はいつもゆらゆらとうごめいて
あたしはいつも
人々の服装で季節の移ろいを知る。

整えられた部屋
快適な室温
与えられる食事。
不自然なほど自然な空間。

けれどあたしは
ここにいることしかできない。
ぼんやりぼんやりと
繰り返す日々。

ゆらゆらうごめく景色の中に
きらきら輝く光の中に
あの人が一度も見えなくとも。
誰かの猫でありたいと
常々思っている

気まぐれに散歩に出かけてもいい
寄り添った時には
頭を撫でてくれる
そんなあたたかな場所にいたいと

あるいは
ぬいぐるみでありたいと思う

部屋の片隅に置いて
おはようもおやすみもある日々
時々テレビを見るときなんかに
膝に抱いてくれて

誰よりも近くにいて
誰よりも遠くにいる
いるのにいないような
いないのにいるような
そんな関係性でありたいと
常々思っている