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Global blog 〜世界の社窓から〜

アジア、東南アジアに積極展開するインターネットカンパニー
アドウェイズの海外社員ブログです。

前回「インドネシアのインターネット市場は日本の10年遅れか?」で、そんなことはないんですよ~ということを書かせて頂きましたが、先週ある会社が偶然か必然か10年の月日を越えてインドネシアであるサービスをローンチさせました。

図1

アドウェイズが提供するSmartDriver(スマートドライバー)というサービスらしいです(笑)。アドウェイズがPC向けアフィリエイトサービス『JANet(ジャネット)』を日本で2003年にローンチさせてからちょうど10年の月日が経ちました。

SmartDriverは東南アジア向けにローンチされたPC・スマートフォン対応のアフィリエイトサービスです。インドネシアのインターネット広告は、Googleやfacebookの提供する広告がよく使われていますが、それらはCPC(コストパークリック)、クリック1回につき費用が発生するモデルです。対してアフィリエイトはクリックだけでは費用がかかりません。つまり、掲載するだけなら無料なのです。実際、会員登録や商品の購入があって初めて費用が発生するため、成果報酬型広告、CPA(コストパーアクション)広告と呼ばれることもあります。

このアフィリエイトというサービスですが、インドネシアに無いのでしょうか。

日本のアフィリエイト会社がインドネシアでアフィリエイトを展開するというのはアドウェイズが初なのですが、いくつかCPAで広告を提供するローカル会社さんはいらっしゃいます。


■idblogNetwork(http://idblognetwork.com/)
 

図2



11,962のブロガーをつなぐアドネットワーク。TOYOTAの案件がCPAで提供されていると書かれていますが、半年以上もパブリッシャー登録ができない状態なため、真相は分かりません…。毎回メンテナンスの画面に飛びます。今度会った時に聞いてみます。

■CLOAP(http://affiliate.cloap.net/index.php)

図3

 


こちらもidblogNetworkさんのように多くのブロガーを抱えており、1万を超えるパブリッシャーをネットワークされています。

■Lazada affiliate(http://www.lazada.co.id/lazada-affiliate-program/)

図1

 


こちらはアフィリエイト会社では無く、ECサイトが展開するアフィリエイトプログラムです。日本で言うAmazonアソシエイト(アフィリエイト)プログラムですね。最大5%の成果報酬率がもらえると記載されています。



ニールセンの調査で2012年のインドネシアのインターネット広告の市場が100億円強。その中でアフィリエイトは現在1億円も無いでしょう…。インドネシアのアフィリエイト市場を拡大させること。それが、インターネット産業を活性化させ、ひいてはインドネシア経済の活性化に繋がる。インドネシアの未来はSmartDriverにかかっている!という気持ちで盛り上げていきたいと思います。



日本とインドネシアでいくつか記事にして頂きました。

■日経新聞
2013/9/4 1:15[有料会員限定]
アドウェイズ、東南アで成果報酬型広告

■DailySocial【インドネシアローカルの大手テック系メディア】
2013-09-04 03:31:57
Adways Indonesia Launches “SmartDriver” Affiliate Service in Indonesia Now Integrating with Local Partners and Media

2013-09-06 11:33:21
Adways Luncurkan Layanan Afiliasi Periklanan Digital “SmartDriver” di Indonesia, Berharap Jadi Nomor Satu di Asia

■StartupBisnis.com【インドネシアローカルテック系メディア】
5 September 2013
Adways Indonesia Luncurkan “SmartDriver” Layanan Afiliasi di Indonesia Untuk Situs Lokal

■HARIAN TEKNO【インドネシアローカルテック系メディア】
Adways Luncurkan Layanan Periklanan “SmartDriver” di Indonesia

「インドネシアのインターネット市場は日本の10年遅れというのは本当ですか?」とたまに聞かれることがありますが、その度に「そんなことないですよ~」と答えていました。理由は、大学を卒業しているインドネシア人は英語を読める人が多く、海外のサービスを知ることができるため、だいたいのネットサービスはインドネシアにあるのです。特に、華僑のお金持ちの方々が、海外留学を行い、インターネットの世界に触れ、帰国して起業というケースも多々あります。

では、実際のサービスを紹介しましょう。

■インドネシア版クックパッド
DapurMasak(ダプルマサック)http://dapurmasak.com/

図4



■インドネシア版食べログ
SendokGarpu(センドックガルプ)
www.sendokgarpu.com

図3



■インドネシア版出前館
Klik-Eat(クリックイート)
http://www.klik-eat.com/

図2

 


■インドネシア版価格コム
PriceArea(プライスエリア)
http://www.pricearea.com/

図1

 

■インドネシア版2ちゃんねる
Kaskus(カスクス)
http://www.kaskus.co.id/

図1

 


■インドネシア版らでぃっしゅぼーや
RumahSegar(ルマースガール)
http://rumahsegar.com/

図2

 



はい。何でもあります。とりあえず一通りあるのではないでしょうか。

しかし、10年遅れに関して当たっている部分も少なからずあります。ある程度のサービスはインドネシアにありますが、まだまだ市場規模が小さいのです。おそらく黒字化しているサービスもほんの一握りなのではないでしょうか。

Jollibee Foods Corporation全体の2012年新規出店店舗数は223店舗にものぼるのですが、うち88店舗が海外で、海外展開に力を入れていることが分かります。この数字を初めて見た時、GDP成長率7%以上を誇り、急成長するフィリピン市場がありながら、海外に積極展開するなんて不思議な会社だなと思いました。特にジョリビーは先進国であるアメリカで20店舗以上も展開しており、金持ち華僑の道楽かと思ったほどです。難しい成熟市場で勝負するよりも、自分たちのホームである新興国の方がよっぽど難易度が低いからです。しかし、ただ単純に海外市場を狙っているわけでは無かったことを後で気づくことになります。


少し話はそれますが、私は英語の勉強で短期間フィリピンに滞在しており、何人かの教師に将来の夢についてよく質問しました。将来の夢を聞くのは私の趣味なのです(笑)。英語教師は全員女性です。一番多かったのが「海外で働く」という夢でした。どうやって海外に行って何をするのかまで考えているので、夢というか目標です。人気の国はオーストラリア、イギリス、アメリカなどの英語圏です。フィリピンでは、英語は現地のタガログ語とともに公用語に指定されており、英語を話せる人が非常に多いです。シンガポールやインドネシアのようななまりが少なく、ネイティブに非常に近い発音です。英語圏が人気な理由に新たな言語を学ばなくて良いというのがあると思います。

なぜ海外で働きたいのか?と聞いたところ、多かった回答は「新しい環境で働いてみたい」と「お金を稼ぐため」でした。確かに…、フィリピンの失業率は東南アジア主要国の中でも一番高い水準です。国内で職が無ければ海外へ行くことも選択肢の一つかもしれません。


各国失業率比較(世界経済のネタ帳から作成)

図4



フィリピンでは家族を大切にするから、みんな海外で働いてフィリピンにお金を送るのだそうです。そう言えば…フィリピンは出稼ぎ大国という記事を読んだことがありました。どれぐらい海外で稼いで来ているかと言うと、世界でもトップクラスなのです。2012年通年の海外労働者からの送金額は240億ドルと予測されており、同年の名目GDP(2,505億ドル)の9.6%に相当します。


2012年海外送金受取金額予測トップ10(単位:10億USD)

図3

※worldbankのデータより筆者作成


フィリピン人海外労働者数が10万人を超える国(2010年12月)図2
※Department of Foreign Affairs, Philippine Overseas Employment Administration, Commission on Filipinos Overseasより筆者作成




ここで、ジョリビーの話に戻ります。

ジョリビー(他のチェーンは含まず)の海外進出国を見てみましょう。2013年8月現在、アメリカ(26店舗)、ベトナム(33店舗)、ブルネイ(11店舗)、サウジアラビア(8店舗)、カタール(3店舗)、香港、クウェート、シンガポールは1店舗ずつと続きますが、フィリピン人労働者の多いアメリカ、中東、アジアに集中していることが分かります。


ジョリビー進出国別店舗数

図1

※ジョリビーホームページより筆者作成



なるほど、ジョリビーは海外戦略においても「A Haven of Happiness for the Filipino Family」「フィリピン人のために」が徹底されており、フィリピン人マーケットを狙った戦略がとられているのです(と私は思うのです!)。アメリカに出ていたのも、決して金持ちの道楽では無く、フィリピン人労働者が多いからだと考えられます。トニーさん、疑ってごめんなさい。

海外で働いた経験のあるフィリピン人の先生が教えてくれました。フィリピンを離れた2年間、辛いときに祖国を思いださせてくれたのはジョリビーだったと。ジョリビーはフィリピン人にとっておふくろの味に近いものがあるのです。実際、海外展開でよく重要視される味のカスタマイズですが、ジョリビーではほとんど行われていません。世界のどこで食べても同じ味なのです(イスラム教徒が多い国に関しては、豚肉への配慮などがなされています)。おかげで、店に並ぶ人はフィリピン人が多いそうです。


こうしてジョリビーはフィリピン人のおふくろの味、フィリピン人の誇りとなったのです。





おしまい