しかし、そのマクドナルドが勝てない数少ない国がフィリピンです。
その理由は、フィリピンの外食王Tony Tan(トニー・タン)率いるハンバーガーチェーンJollibee(ジョリビー)がいるからと言われています。2012年度のジョリビー(正式名称はJollibee Foods Corporation)のアニュアルレポートによると、フィリピン国内の店舗数はマクドナルドの380店舗の倍を超える872店舗です。
私はこの夏フィリピン約2週間の滞在で、この外食王を素晴らしい経営戦略に触れ、さらにフィリピンという国を少しばかり知ることができました。本日はフィリピンの外食王をケースにフィリピンのことをお話したいと思います。
トニー・タンが率いるJollibee Foods Corporationですが、主力のジョリビー872店舗の他に、中華レストランやピッツァのチェーンも展開しており、バーガーキングも傘下に加え、合計で2627店舗の外食企業です。年間売上金額は711億フィリピンペソ(約1600億円)にものぼります。日本マクドナルドの直近の売上が2947億円ですので、現在のフィリピンの物価や経済規模を考えると、物凄い金額です。そして、トニー・タン自身は2013年7月に発表されたForbesのフィリピン人富豪ランキングで第11位(総資産17億ドル)に入りました。
トニー・タンの創業は1975年、当初は小さなアイスクリームショップからのスタートでした。なぜ、ここまで大きな外食企業になれたのか?私は2012年度アニュアルレポートに記載されているA Haven of Happiness for the Filipino Familyという2012年にジョリビーが行ったキャンペーンにヒントが隠されていると考えています。
「for the Filipino Family」フィリピン人のファミリー層がターゲットです。キリスト教徒が多いフィリピンでは、家族で教会にお祈りに行った後、ジョリビーで食事をして帰るという習慣があるそうです。実際私も何人かに聞きましたが、小さい頃よく家族で行ったという思い出話を聞くことができました。
このキャラクターも子供達の人気を集めてそうですね。
メニューも子供たちに大人気です。ハンバーガー以外にも、パスタやフライドチキンなど充実していて、子供たちを飽きさせません。そして、外食産業にとって大事な味ですが、ここでもフィリピン人へのターゲティングがしっかりなされています。味はフィリピン人好みの甘酸っぱさを意識しており、ジョリビーオリジナルのサワークリームソースが地元の人々にとってたまらないそうです。マヨネーズとは少し違います。また、日本人にはあまり馴染みがありませんが、ジョリビーではチキンと一緒にご飯が提供されます。何も味付けのされていないおにぎりのようなものがセットのドリンクと一緒についてくるのです。マクドナルドは進出当初、このおにぎりセットを実施しなかったため、お客が集まらなかったと言われています(笑)。現在マクドナルドでは、おにぎりセットは提供されています。
RICEと大きく書かれていますね
もう一つジョリビーにとって重要な戦略があります。
それは、海外戦略です。
次号へ続く…