
今回の研修では
徳島の滝薬師で、なかなか横浜では体験できないお灸も受けてまいりました。
頭にすりばちをかぶる「すりばち灸」
徳島・眉山の麓にある滝薬師では
毎年、春分と秋分の日に「すりばち灸」が行われています。
名前の通り、頭にすりばちをかぶせ、その底に粗艾を5か所置いて火をつけ
加持祈祷を受けながら病気平癒や無病息災を願うものです。

滝薬師のすりばち灸は、約60年前に長崎から伝わったとされています。
ただ、その詳しい由来については、はっきり分かっていないそうです。
お灸といっても、皮膚へ直接艾を据えるわけではありません。
すりばちという器を間に置いて、その上で艾を燃やします。
すりばちそのものに厚みがあり、使用する艾もそれほど多くないため
見た目の印象とは違って、頭に感じる熱はあまり感じません。

よく似た習俗に「焙烙灸」があります。
こちらも素焼きの焙烙を頭に載せ、その上で艾を燃やすもので、
特に日蓮宗の寺院などで行われてきました。
こうした灸には、火や煙だけでなく
祈祷や真言など宗教的な要素が加わっていることが特徴です。
さらに興味深いのが「器」の意味。
昔の鉢や鍋は単なる日用品ではなく、人の頭や身体を覆うことで
災いから身を守る象徴的な意味を持つこともあったとされています。
そこへ、お灸の火や煙に病や災いを祓う力を求める信仰が重なり
「すりばち灸」や「焙烙灸」のような風習が形づくられていったのではないか、と考えられています。

現在でも福井、愛知、高知など各地の寺院に
すりばち灸に似た行事が残っています。方法や由来はそれぞれ違いますが
共通しているのは病気平癒や無病息災を願うこと。
普段、治療としてお灸を扱っている立場から見ると
同じ「灸」でもずいぶん世界が違います。
医学としてのお灸、民間療法としてのお灸、そして祈りとしてのお灸。
長い歴史の中で
お灸が人々の暮らしや信仰とどう結びついてきたのかを見ることができる
面白い文化だと思います。
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ヒロ鍼灸マッサージ院
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