今回の話は、先月の催眠トラウマ療法で、鮮明になったエピソードです。
 
 
 
《小さな勇気》とマザー・テレサが「大丈夫」と頷いてくれているので、綴っていこうと思います。
 
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ある日、従姉妹と伯母さんと一緒にデパートへ行った。
 
祖母との買い物はしんどいばかりで気が滅入るのですが、A伯母さん達との『おでかけ』だとタクシーやバス移動、JR(昔は国鉄)がメインだったので窓の外の風景を見ながらワクワクしていた。
 
A伯母さんの買い物を待っている間に、ベンチに座ってアメを舐めながら従姉妹とおしゃべりをするのも気が紛れて退屈しない。
 
買い物の後は屋上にある小さな遊園地やペットコーナー。最後はおもちゃ売り場に連れて行ってもらえて
 
二人でねだっておもちゃの人形かぬいぐるみを買ってもらえました。
 
いつもは、誕生日かクリスマスプレゼント(わたしはクリスマス生まれの為これ1つに集約されますが(;_;))
しかおもちゃは買ってもらえないルールなんで、すごく嬉しかったのです。
 
ホクホクしながら家に帰り、祖母に買ってもらったおもちゃを見せました。
 
『良かったね』
 
ただ、そう言ってくれると思っていました。嬉しい気持ちを判ってもらえるだけで良かった。
 
 
 
祖「…………(小声で)あんたは、わたしが買ってきてやったものは喜ばないのに…………」
 
わ「………?」(なんだかわからないけど、不穏な空気を感じる)
 
夕食の支度を放り捨て、次に祖母がとった行動はわたしの想像の範疇を超えていました。
 
 
祖母は、二階の玄関口から階下のA伯母さんを呼びだした。
 
上がってきたA伯母さんと何か言葉を交わし、A伯母さんを和室に連れて行った。遠巻きに見ているわたしに
 
「あんたのせいだからね」
 
と、宣言した。
 
何のこと?と、思うわたしの目の前で木製ハンガーを手に取った。
 
伯母さんを跪かせ、お母さんが幼い子のお尻を叩く体制になり、木製ハンガーを伯母さんに振り下ろした!
 
伯母さんのくぐもった声が聞こえ、祖母は、続けて何度もハンガーで伯母さんのお尻を叩いた。
 
私は自分が叩かれた時の痛みが蘇り、木の柱に掴まったまま座り込みそうになった。
 
あんなので叩かれたら、
 
とっても、いたい!
 
うでやあしやせなかじゃなくても、
 
おしりだって、すごくいたい!
 
持っていたおもちゃを床に落とし、わたしは駆け寄ってハンガーを持つ祖母の手にしがみついた。
 
わ「やめて!やめて!ぶたないで!」
 
祖「うるさい!!」
 
祖母に振り払われ、床に尻餅をつきながら何度もしがみついた。
 
わ「これでぶったら、とってもいたいの!やめて!」
 
祖「『悪いこと』をしたら、伯母ちゃんのお母さんだから叱るんだよ!」
 
わ「おばちゃん、何にも『悪いこと』してないよぅ!」
 
 
祖「あんたにおもちゃを買っただろう?」
 
 
再び祖母にしがみつこうとしていたわたしは、何を言われたのか判らず、固まった。
 
祖母は、ハンガーを持ったまま、わたしを見下ろしてくる。薄く、嗤っているような顔。
 
祖「Eちゃんは、良いんだよ。伯母ちゃんの子どもだから。ねだっても。
あんたは、Eちゃんのうちの子じゃない。
うちの子だから、うちのルールがあるんだよ。
 
Eちゃんと一緒になって調子に乗ってルールを破ったなら、罰を受けなきゃいけないんだよ」
 
身体が、ガクガク震えてくる。
 
祖「本当ならあんたを叩くんだけど、大人になってまで子どもの言うことに耳貸して聞いてあげた伯母ちゃんも悪いからね。
あんたがワガママ言ったせいで、伯母ちゃんが痛い思いをするんだよ」
 
ため息混じりに吐き捨てて、ヤレヤレとでも言う風情で再びハンガーで伯母ちゃんを叩き始めた。
 
伯母ちゃんの顔は反対側で、わたしから表情は見えない。打たれる度の小さな息の詰まった声が聞こえる。
 
 
クラクラした。頭の中がぼやける。
 
わたしは、後ずさりながら、祖母の正面に回った。
 
うずくまるように出来るだけ小さく背中を丸めて、床に付いた両手の間に頭を落とした。
おでこを畳にこすりつけ、懇願した。
 
わ「……ごめんなさい。ちいちゃんが、悪い子でした。
Aおばちゃん、ほしいって言ってごめんなさい。ねだって、ごめんなさい。ワガママ言って、ごめんなさい」
 
叫ぶ気力は無かった。
 
「だから、ちいちゃんも、罰を受けるから、もう、Aおばちゃんをぶたないで」
 
涙がボトボト落ちて顔に触れる畳の臭いが強くなる。
 
ハンガーが当たっても出来るだけ我慢出来るように身体を固く固くして。
 
 
…………結局、わたしは、打たれなかった。
祖母は、わたしの様子を見てせいせいしたという様子で伯母さんを解放し、何事もなかったように犬達のごはん作りとうちの夕食作りを再開した。
 
わたしは犬達にベロベロ顔を舐められてもみくちゃにされた後、買ってもらったおもちゃを箱に入れたまま出すことなく、押し入れにしまった……と、思う。その後のそのおもちゃがどうなったかは、放心状態だったので覚えてない。
 
 
以降わたしは、伯母さんや他の親戚の人達にお土産をもらったりした時に祖母が怒ってないか顔色を伺ったり、どこか一緒に出掛けて「何か買ってあげようか?」と言われても、
 
全力で断るような子どもになった。
 
今でも、人にお願いしたり、甘えたり、頼み事をするのが苦手だ。どこからワガママの基準に入るのか解らない。
 
欲しいものがあったら、人にねだる前に自分で買おうと思ってしまう。
 
そんな思考だから、結婚後にもダンナさんとよく意見がぶつかってしまう。
人は一人では生きていけない。頼ることも大事な処世術。
 
まともな意識はそう告げているが、湧き上がるこの当時の記憶は、
 
いまだにわたしの『恐怖心』となって、長年支配してきたのだった。
 
 
 
Ps.たぶん、あれは祖母とA叔母さんのパフォーマンスだったのだろうと、大人になった冷静な頭でなら思えます。
 
☆ハンガーで打ってる音が、そんなに聞こえてなかった。
☆A叔母さんが祖母のなすがままだった。
☆次の日、何事もなかったように会話してた。
 
 
……たぶん、自分達が小さな子どもに対してやった事を全く覚えていないだろう……と思います。どんな影響力を与えるか、考えもしなかったんだろうな~…‥…‥(・_・、)
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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