A.ランゲ&ゾーネ社が主催する「ウォルター・ランゲ・ウォッチメイキング・エクセレンス・アワード」は
2018年度で9回目の開催となりました。
このアワードは世界各国にある時計学校から、推薦によって選ばれた8名の学生が、ドイツ本社の工房で1週間のワークショップを体験。
そのワークショップで発表される課題の製作に取り組み、期限内に作品を提出するというプログラムです。
今回は、ドイツ・フィンランド・オランダ・フランス・スイス・日本の学生が選ばれ、日本代表は、
当校のウォッチメーカーマスターコース3年生、飯塚雄太郎さんが参加しました。
飯塚さんは2018年5月にドイツでの1週間のワークショップ終え、帰国後、課題に取り組みました。
2018年度の課題は、「ハンマー打ち機構の設計と製作」。
考えたアイデアを形にして、ハンマー打ち機構をベースになるETA6498に組み込んでいきます。
部品のほとんどは、炭素鋼の板から切り出し、整形していきます。
飯塚さんのアイデアは「任意に設定した温度を音で知らせる」というもの。
熱膨張率が異なる2枚の金属板を貼り合わせたバイメタルを自作。温度によって曲がり方が変化する性質を利用して、ハンマーが外周にあるリングを叩く機構を時計に組み込みました。
こちらが完成した飯塚さんの時計です!
ハンマーが叩くことで音を出すリングは天然石で作られています。
この天然石は「サヌカイト」と呼ばれ、香川県や大阪府と奈良県の境にある二上山周辺で採取される
硬い自然石で、叩くと「カンカン」と非常に澄んだ綺麗な音が鳴る石です。
サヌカイトという名称は、日本各地の地質を調査したドイツ人地質学者ハインリッヒ・エドムント・ナウマンが、サヌカイトを本国に持ち帰り、知人のバインシェンクが研究して命名したそうです。
残念ながら、飯塚さんの作品はグランプリ受賞には至らなかったのですが、作品のアイデアや完成度が高く評価され、特別に表彰をされました!
A.ランゲ&ゾーネ社から、非常に立派な表彰状も贈られ、飯塚さんも非常に喜んでいました。
大変喜ばしい結果となったウォルター・ランゲ・ウォッチメイキング・エクセレンス・アワードでした。