鼻いっぱいに空気を吸い込む。潮の匂いがした。震える手を学生服のポケットにつっこんで、海の見える公園に一人で座っている。夕焼けが海に反射して、水平線から光を絞り出している。
俺は今とても大事な局面に立たされているんだ。今やらないと絶対に後悔する。
手はかじかんで息も白い。雲も多くなって、夜は雪が降ってきそうだ。俺らの学校は、浜辺の近くに申し訳なさそうに建っている。だが今は、夕日が校舎をきれいに赤く照らして、ちょっと誇らしげにも見えた。光の加減だけで不思議なもんだな、と思った。
日が沈む前には来るはずだ。でもなんてきりだせばいいんだろう。
海がわびしく見える。こんな風に海を見たこともなかった。ざざーん。ざざーん。時間がとても長く感じられる。寒さで参る、というよりも体が妙に熱くなってくることの方が緊張を加速させた。最後のタイミングが今日しかないということは十分にわかっていた。
やっぱりちょっと動揺してんのかな。でも、そりゃそうだ。初めての経験なんだし。こんなこと慣れてる方がおかしいだろ。
予定時刻が迫る。ベンチの後ろからいきなり声がしてとても焦った。焦ったけれどやり遂げないと。
俺は告白をした。君のことが好きなんだ、と。