「一級建築士たちへⅡ」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

度々一緒に仕事をする女性二級建築士の方が今年の一級建築士の学科試験に無事に合格されたとのことで、来月いよいよ製図試験に挑む。

 

さてわたし代表村田、現在は一級建築士の方と業務提携の関係にあり、最近は防火設備を含めた建築設備検査案件に従事する機会が多い。

若頭のダイゴローに至ってはもはや現状「平成め組の建築部門担当」と言ってもいい程、かなりの割合で建築設備検査関連の業務に従事している。

 

私も今月は高所ロープ作業による外壁調査委案件が多いが、それもやはり基本的に建築関連の業務である。

消防設備と建築設備は似て非なるものではあるが、とは言え一つの建物内にそれらがある以上、最終的にこれらは切っても切れない関係である。

 

我々平成め組自体はあくまでも消防設備士の集まりであるが、一方で「建物」という設備の言わば根本の部分についての見識をそうした建築関係の業務で建築士の方から直接学べるのは消防設備士としても大いに成長につながる。

 

「建築設備検査員」なら過去何人も見てきたが、やはり検査員と建築士では過去に学んできている「建築」に関する事柄には量も質も雲泥の差があると感じる。

 

実際私はまだ建築士事務所と業務提携を行う数年前、「一級建築士たちへ」と題してこのブログ上で全国の一級建築士たちを称賛する内容の記事を書いたこともある。

資格大国の日本には官民合わせ実に様々な資格が存在するが、中でもやはり「一級建築士」はその最高峰に位置するものと言えよう。

 

 

そんなワケで本日、改めて「一級建築士試験」について調べてみた。

すると来月実施予定の令和6年度製図試験の問題が「公益財団法人建築技術教育普及センター」より発表されている。

それによると今年の製図試験の課題は「大学」とのこと。

 

具体的な条件等々は試験当日に知らされる…

ということのようだが、しかし先日、その提携する一級建築士の方に聞いたのだが、何でも一級建築士の製図試験については昔から「2大予備校」と呼ばれる一級建築士製図試験に特化した2つのスクールがあるのだという。

 

当日の試験では基本の課題(今年なら「大学」という)に加え、概ね4つほどの条件が提示され、受験者はそれらの条件を満足させる「大学」を6時間半で完成させる必要がある。

 

ただこれも聞いた話では「普通にやれば10時間は必要」というレベルのものを6時間半で終えなければならず、各受験者には「如何に条件を早く理解しそれを素早い作図に繋げるか?」が必然的に求められる。

 

同センターのホームページでは過去の一級建築士試験の問題、模範解答なども閲覧が可能。

因みに去年の課題は「図書館」であった。

 

本当に真っ新な用紙に「図」を起こしていく。

 

公開されている模範解答。もはや古文書を読み解く方がいくらか楽なくらいである。

 

ところで前述したその製図試験に特化した2つのスクール。

試験問題の詳細については問題製作者以外絶対に知らないはずだが、しかしその年の具体的な条件がそれらの2大スクールには「漏洩」しているらしい。

 

毎年製図試験が近づくとどちらのスクールも「製図試験直前の模擬」みたいなことを主催するようだが、それら2つのスクールに上手いこと「本試験で出される条件」が半分ずつ漏洩しており、生徒たちはいわばそれらの情報を「購入」すべく、その直前の模擬的なものに通うのだという。

 

そして2つのスクールどちらにも通えばその年の製図試験の詳細が事実上「事前に全て分かる」とのこと。

明らかに問題製作者側とスクールとの「癒着」を感じさせるが、そこはあくまでも「スクールの読みの的中率が凄いだけ」ということなのだろう。

 

ただいくら詳細が分かったところで、それでも尚、製図試験の難易度はもはや常軌を逸している。

概ね毎年2~3割の合格率だが、しかし受験生の大半が勉強を散々重ね、それこそ知識自体は現役の一級建築士と比べても差異が無いであろう人も相当数いる。

 

そうした人々が受験してその合格率だと考えると、やはり同試験が国内最高峰試験の一つであることに疑いの余地はない。

一級建築士の製図試験の内容を思うと、我々消防設備士試験での「製図」があまりにも幼稚に思えて仕方がない。

 

何せ定規すら使わず、そのままフリーハンドでチマチマと「お絵描き」するだけ。

毎度「これが描けたから果たして何だと言うのか…」と疑問を感じていた私だが、やはり「製図試験」というからには一級建築士試験の様に「図を起こす」ことが出来なければならない。

 

以前から「建築士はその資格のみで各種の建築設備等の検査(建築設備、防火設備、建築物調査)が出来て羨ましい」と常々思っていた私。

 

だが一級にしろ二級にしろ、こんな途方もない試験に合格してきた人々なのだからそれくらいの「特権」はもはや許されて当然と言えよう。

因みに建築士資格があれば一級、二級問わず甲種消防設備士を受験出来る。

 

もう学科は法令だけ、製図は最初の1問が出来れば合格、それだけで良い。

これ以上勉強させるのは何だかしのびない。

凄い、ただただ凄い。

 

私の中で一級建築士は税理士以上、弁理士と互角、公認会計士や司法書士に比べれば僅かに下、と言ったところ。

 

本当に偉大です。