「花開くとき」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

業務提携する一級建築士の方と共に去年から取り組んできた「ロープ高所作業による外壁打診調査業務」が徐々に花開きつつある。

 

思えば今年の2月を最後に降下をしていない私。

だが現状、来月以降で既に実施が決まってる案件が複数あり、それ以外にも「決まりそうな案件」も多い状況。

 

またロープ高所作業についての日々の情報発信も功を奏し、同業者の方からの外壁打診依頼もあり、その内の一件は実施が確定。

 

機材の購入費はもちろん、日本と比べ「20年先を行く」と言われるロープ作業先進国であるヨーロッパのロープ技術者資格のIRATA(アイラタ)のトレーニング&ライセンス取得費など、既に軽く100万円以上を注いできた。

 

それでも当初は中々思い通りに事が進まずもどかしい思いもしたが、今ようやくそれらの努力が形となって現れ始めてきた。

 

天候に大きく左右されるロープ作業の場合、正直「メイン業務」として行うのは難しい部分もある。

例えば高所作業を日頃から多く行うガラス清掃の場合も「天候が悪いので今日は屋内作業のみ」など、悪天候で実施不可となった作業の代替作業も何かしらある。

 

もちろんロープ技術者を複数名揃えた会社の中には鉄橋の下部、屋内体育館の天井鉄骨部の調査など、天候に左右されない業務を多く担うところもあるだろう。

とは言え、そうした業務もやはり最初は単純な降下による業務からスタートした中で、徐々にそうした「更なる難しい案件」の受注に漕ぎ着けて行ったであろうことは想像に難しくない。

 

正直なところ、ロープ高所作業による外壁打診調査とは、資格云々を別にすればハッキリ言って誰でも出来る。

またロープ作業自体も基本は外壁から降下するだけ。

 

よほど歪な形の建物はともかく、一般的なビルなどの降下打診業務は数あるロープ作業の中でも「最も難易度の低い作業」だと言える。

ガラス清掃などは「ガラスの破損」という危険が常時つきまとうが、しかし外壁打診の場合、ガラス部分は避けながら作業する為、その心配も低い。

 

外壁打診はある意味、「もはやこれが出来なければ始まらない」というレベルの業務であり、その意味では「高所作業」の正式なスタートラインにようやく立てるところまではやってこれた、という想いが強い。

 

自分が実際に作業をするようになって知った部分も多いが、やはりロープ高所作業の世界にはそれを専門とする技術者集団も多く存在している。

今後我々が高所作業を行うにあたり、言うなればそうした経験豊富な人々が「ライバル」ともなるわけで、無事にスタートを切れたとしてもまだまだ険しい未来が待っているのは当然のこと。

 

だが一方、確かにロープ作業自体はまだまだ駆け出しの1年生でも、しかし長らく培ってきた消防設備、建築設備を中心とした建物の設備全般に対しての経験というものが我々にはある。

 

長年の現場作業で身に付けたそれらの見識は単純に「ロープ作業を始めたばかり」という者たちに比べれば圧倒的な優位性を持つと私は考えている。

外壁打診調査も広義の意味では「ビルメンテナンス業の一部」であり、また建物の内部の設備を知るからこそ外部も語れる、とも言える。

 

「まだ一年生だから」と、必要以上に「その道のプロ」を恐れず、崇めず、そして遠慮せず、自分たちには自分たちにしかない確かな武器があることを誇りつつ、ロープ高所作業という分野での道を切り開いていきたい。

我々は高所作業の世界で「ダークホース」に成り得るだけの見識と資格が備わっている。

 

思い起こせば1年前の今頃はまだ実際のロープに触れたことすら無く、ましてやIRATAなどというライセンスの存在すら知らなかった。

それを考えればここまでの道のりは険しくも、しかしその流れは早かった。

我々が持つこれまでの見識、そして人脈が大きく貢献した結果でもある。

 

己の経験、実績を信じ、新たな分野でも必ずや名を馳せて見せる。