「例え足元でも」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

当初は明日16日が「JIRAAレベル2」の検定日であった。

 

だが覚えが悪くどんくさかった私はトレーニングが「延長」となり、明日はこの5日間で終えられなかった課題、及びこれまでの予習・復習と相成った。

明日のトレーニングが問題無ければ来週22日、改めて試験、という方向である。

 

ところでこうして最近度々ロープトレーニングのことをこのブログ上で取り上げている。

そうした中、これはあくまでも「何となくそんな気がする」という程度の話なのだが、いまいち記事が注目されていないと感じる。

 

私のブログの読者は半分が同業者、残る半分が消防設備業とは全く無関係な方(主婦など)という印象であるが、どうにもこのロープ関連の記事を書くと「またロープのことか…」と少々呆れられている様にすら感じる。

 

もちろん特にこれまでロープ関連の記事に対して何か批判的なコメントを頂いたことも無く、またロープ関連の記事だけ「アクセス数が低い」ということもない。

だが以前書いていたブログを含めこうして10年以上ブログを書き続けている中で働く「勘」というのもある。

 

私自身はIRATAにしろJIRAAにしろ「とてつもないロープ技術の習得」と捉えているが、世間一般の方々はそもそも「ロープ作業自体に興味がない」ということなのだろう。

ロープ作業に興味が持てなければそれに伴う技術的なことなど興味が持てるはずもない。

 

考えてみれば去年辺りから露骨に私が一人で「入れ込んでる」のがこのロープ作業。

ある意味「一人よがりな記事」になっている部分もあるのだと思う。

とは言え、今回のJIRAAトレーニングを継続する中で「やはりそうか!」と、こうした高所ロープ技術を習得しようしている自身の考えが誤りで無かったと感じる一幕があった。

 

それはトレーニング2日目のこと。

元々今回のトレーニング、レベルの異なる他4名の方も同時受講であったため2日目以降、日替わりの様な形で臨時のインストラクターの方が来られていた。

 

2日目に私を指導して下さった方は正しく現役バリバリの「高所ロープ技術者」の方で、過去には風力発電用の70mクラスの風車の点検などもロープ作業で行ったこともあるという。

 

するとその方が「過去に経験した現場」として某地域の体育館での仕事の話をして下さった。

そちらの体育館、通常の煙感知器が付いていたそうだが、ある時それらの煙感知器の「総交換」という話が持ち上がったのだと言う。

 

だが体育館内に足場を組む予算は無く、かと言ってその高さに対応した高所作業車も運び込めないという状況。

 

そこで持ち上がったのが「ロープ作業による感知器交換」であったのだという。

上下移動が多い印象のロープ作業であるが「エイドクライミング」という横移動の技術が確かにある。

 

 

まさに現在私が苦手過ぎて「どハマり」している技術であるのだが、その技術を用いて館内の煙感知器を交換することとなり、その方の下に話が来たのだそう。

 

「交換」とは言ってもベース交換工事等は伴わず、単にヘッドだけ交換するという至って簡単な作業であったようだが、しかし場所が場所だけに「1つ交換で10万円」という破格の金額であったようである。

 

その話を聞いた時、その方の技術力に改めて驚くと共に、同時にそうして少なからず「消防設備業者以外に仕事を奪われている現実」があることを知った。

 

「設置場所が高所である」という理由だけで消防設備業とは何ら関係が無い技術者たちに我々消防設備士の仕事が奪われてるのであれば、やはり私は率直に「悔しい」と感じる。

例えば自火報の非常ベルなども時折、建物裏側の窓すらない壁面に設置されていることがある。

 

先日「自分ならそうしたベルも交換出来ます」などと取引先各社に軽くアピールさせて頂いたのだが、恐らくこれまでにもそうしたベルを我々消防設備士とは何ら関係の無い高所ロープ技術者が交換していたことは何度もあったのだろう

 

 

現在47歳の私が今後習得できるロープ技術など正直「たかが知れたもの」だと考える。

実際、現在トレーニングを受けているインストラクターの方は私より1つ年下だが、そのロープ上での動きはもはや「超人レベル」である。

 

今からどれほど頑張ったところで到底同じレベルになどなれるはずもないのだが、しかし今後の努力次第ではその「足元」くらいには及ぶことが出来るかも知れない。

もしも「足元レベル」に及べたとして、その領域に存在する「消防設備士の仕事」も必ず存在しているはずだ。

 

であるならば、やはりそれらの仕事は消防設備士としての経験と技術、そして資格を持つ者が出来た方が「公共の安全に寄与する」という意味でもより理想的である。

とは言え、それとて相応のロープアクセス技術を習得していてこその話。

 

中々覚えの悪い私ではあるが、一方でまだロープ作業を始めた直後、去年11月の頃と比べれば我ながら雲泥の差があるとも感じる。

 

最高水準の技術習得は無理でも、しかし今後身に付け得る技術の中だけでも「消防設備士」としての仕事をロープ作業で行ってみたいし、また現状、その領域を本気で目指している業界人は私だけと考えている。

 

「唯一無二の消防設備士を目指す」と公言する以上、きつく辛いトレーニングも全ては「将来の為」。

47歳になった今も「他の業界人に負けたくない」という思いの強さだけは我ながら若々しい。

 

だって考えれば考えるほど格好良いではないか、ロープ作業も難なくこなせる消防設備士なんて。