「吹く風は厳しいが」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

先日、以前度々応援などに参加していた会社の方から連絡を頂いた。

 

そちらの会社、数年前の一時期までは割と頻繁に応援依頼などを頂いていたものの、しかし次第にあまり依頼が来なくなり、また稀に連絡があっても今度は予定が合わずこちらが断ったりと、何度かそうしたことを繰り返す中でここ1~2年、疎遠となっていた。

正直私の中では既に「縁が切れた相手」と考えていた。

 

元は私がまだ独立して間もなく、まだ当時の業務パートナーと2人体制で運営していた頃、そちらの会社の「協力会社募集」の記事に応募し、都内まで面談に行ったことで関係が始まった。

当時は「いずれは現場請けで」という話をされつつも「先ずは弊社の現場応援から」とのことで、以後は不定期ではあるものの度々応援依頼を頂いていた。

 

がしかし、それから1年、2年、3年と散々応援をこなしたものの一向に請けの話にはならず、またその応援も気付けばある特定の現場の時だけ声がかかる状態。

やはりそうした状態が続けばこちらとしても「請けの仕事をもらいたい」という気持ちも次第に薄れていく。

 

以前私はこのブログ上でこう書かせて頂いたことがある。

それは「請け仕事とはそれを請ける側よりもむしろ出す側により覚悟が必要である」と。

つまりこの世の中、条件さえ折り合えば「仕事をもらいたい」という会社などいくらでもいる。(当然ウチもその中の一社)

 

だが一方、「仕事を出したい」と言う側はいつも決まって「曖昧」な状態を繰り返している。

そもそも「仕事を他社に出す権限」など到底持っていない立場の人間が安易に「仕事を出しますよ」などと軽々しく口にする。

 

また実際に仕事を他社に振る権限を持つ人物の場合も、他社に仕事を出すにあたり先ず最初に説得しなければならないのは「自社の人間である」ということをあまり理解出来ていない。

 

自社が持つ現場を他社に任すとして、では実際にその現場の引き継ぎなどを任される「部下」の立場になってみれば「わざわざ新規の業者など使わず今現在既に現場を任せている既存の業者に任せてほしい」と当然考える。

 

新規業者へ現場を引き継ぐのは非常に手間のかかる作業であり、その手間を考えると既に自社現場の請負実績がある会社にお願いした方が遥かに楽である。

だから「仕事を出す権限を持つ者」は、先ずはこの「自社の担当者」を説き伏せなければならない。

 

でも結局は権限を持つ者もそこまでの覚悟が無いにも拘わらず安易に「仕事を出す」などと発言する。

独立してい以降、果たして何人から「仕事を出します」と言われてきたことか…。

 

言葉だけなら12~3回は聞いていたが、その後実際に仕事をくれたのは精々2社程度である。

出す気が無い、また出す覚悟が持てないのであれば安易に「仕事を出す」などと言うもんじゃない。

そうした言葉に振り回されるのはいつも決まって立場が弱い方である。

 

 

さて、そうした過去の経験から学んだことも踏まえ、その冒頭で触れた、こちら的には「縁が切れた」と考えていた会社の方からの連絡。

すると「仕事をお願いしたい」とのことであったが、やはり気持ち的にも内容の「2割」程度で聴く程度に留めた。

 

「後ほど資料一覧を送ります」と言われ、添付された資料を見てみたものの、どれもそもそもの金額が「到底無理」というものばかり。

内容「2割」で聞いていたが、むしろ「1割」であった。

 

これは別にそちらの会社に限った話ではないが、ここ数年、「こんな金額で出来るわけないだろ」という金額を提示してくる業者が非常に多い。

例えばそれが消防点検にそこまで詳しくない「管理会社の下っ端」レベルであればまだ理解出来る。

 

だがもう何年もこの業界にいて大まかな「点検費用の常識」を理解出来ていて然るべき者でさえ、人を馬鹿にした様な金額で話を振って来る場合がある。

実際、この業界で独立してみたものの、やり切れずに断念した者などこの4~5年だけでも無数にいることだろう。

 

やはり業界の現状を鑑みると「いつか良くなるはず」と期待をしながらそこに佇んでいたのでは近い将来必ずその場で倒れ込むことになる。

自分の、そして自社の未来を明るくしたいのであれば自ら動き「明るさの種」を見つけていくしかない… そう改めて強く感じた。

 

「吹く風は厳しい」

確かにそう感じるが、一方で「風が吹いている」のであれば、その風に上手く身体を預けることが出来ればそれは大きなビジネスチャンスに成り得る。

 

「やってやろう」というその気持ち、それは即ち「出来る」である。