先日注文したパラペットクランプが無事に届いた次第。
パラペットクランプを注文したのは今回が2度目で、3月にも2台購入している。
MIZO(ミゾ―)という、どちらかと言うとクライミング用品などの製造販売を主な業務としている会社であるが、高所ロープ作業用の機材も幅広く取り揃えている。
中でも同社が製造するこのパラペットクランプは高所作業を専門とする方々からの評価も高いようで、3月の購入時もやはり同社のパラペットクランプを購入していた。
ただ今回は3月の購入時とは僅かばかり物が異なる。
3月に購入したのはその名も「小力」(こりき)なる商品であったが、今回購入したのはズバリ「力万」(りきまんと読む。「まんりき」ではないので注意)なる商品。
恐らく元々はこの力万のみを販売していたのだろうが、この力万を軽量化し、より使いやすくしたのが小力だと思われる。
実際、小力が5kgちょっとなのに対し、今回購入した力万の方は9kgを超え、こと持ち運びのしやすさという点においてはやはり断然小力に分がある。
当初今回も小力の方を購入しようと考えていたのだが、しかし「納期まで3週間かかる」と言われ、一方の力万は「在庫があるから即納可能」とのことで「なら力万で」と返信した。
上が力万で下が小力。僅かに力万の方がサイズが大きい程度
と言ってもそもそもこの2台、金額は全く同じ。(因みに1台85000円)
ただ力万の方が頑丈に造られている分、MAX8トンまで大丈夫らしい。
小力は軽量な分、MAX3トンまでとのことであるが、しかし人間一人ぶら下がる程度なので、もはやあまり関係が無い。
それに根本的な問題として、どれほどパラペットクランプ自体が頑丈であっても、しかしそれを取り付けたパラペットが脆ければどうにもならない。
実際パラペットは細かなひび割れから内部に雨水が浸水することでその強度が極端に低下していることもあり得る。
なので当然ながらパラペットクランプは「パラペット自体の強度が十分にある」ということが前提の機材である。
先日も少し触れさせて頂いたが、このパラペットクランプに接続できるロープは1本のみ。
だがロープ高所作業の作業者が守るべきルールとして「2ロープ・2アンカー」というのがあり、つまり「メインロープとサブ(メインが切れた際の命綱)は必ず別の吊元に接続せよ」ということ。
4月のIRATAのトレーニング時もそれは散々言われたことであり、またIRATAのアセスメント(審査)では万が一にも受講生が手順を間違え「1本のロープのみで身体を支える状態」になった場合、その瞬間に即不合格になってしまうほど「2ロープ・2アンカー」は絶対的なものである。
それゆえこのパラペットクランプは「2台で1人分」ということになる。
3月に購入した小力も然り、まだ実際に使用する機会は訪れていないが、一応私の中では「メインロープは力万、サブを小力」と考えている。
とは言え、元々屋上に設置された構造物に比べれば当然その信頼性は劣るので、やはりパラペットクランプは出来ることなら使用したくない。
だがこれを使用しての降下作業自体は珍しいことではなく、今後本格的に外壁打診調査を業務として行っていくのであれば、当然揃えておくべき機材でもある。
むしろ「4台あって最低限」だと言える。
来月、数年来の同業者の知り合いの方からの依頼で埼玉方面の集合住宅の外壁打診の現地調査に行くのだが、そこは恐らく屋上に吊元になる様な構造物が無く、その為、現地調査とは言っても実質「現地のパラペットに力万や小力が使えるか?」を見るだけになるだろう。
もしも無事に案件が決まれば、あるいはそこがウチとしての「パラクラデビュー」になるかも知れない。
思えば「ロープ高所作業で外壁打診は出来ませんか?」と初めて建築士の方から相談を受けたのが丁度1年前の5月。
当初は正直あまり自信も無く、少々曖昧な返事に終始していた私だが、しかし「この機会を逃したら一生高所作業を経験することも無いだろう」と思い、やることを決意。
そして8月には国内法で定められた「ロープ高所作業特別教育」を社員皆で受講し、程なく40万円分ほどの機材を購入。
11月に「初降下」を経験し、12月になった頃には5階程度の高さからの降下なら何事も無くこなせるようになっていた。
そして今年4月には世界的なロープ高所作業のライセンスであるIRATA(アイラタ)を私とタケが取得。
その間もこうして機材を揃え続け、IRATAのトレーニング費用などを含めると去年8月の特別教育以降だけでも既に150万円は費やしてきた。
更に来月、私自身は「日本版IRATA」とも呼ぶべきJIRAA(ジラ)のレベル2のトレーニングに参加し、同時に検定にも挑む予定。
「中々次の仕事(外壁の)が決まらない」などと少々嘆き節になることも多々あるが、とは言え改めて考えてみれば結構な「スピーディーさ」だと自分でも思う。
「ちょっとアレコレ欲張り過ぎ」と自分を窘め(たしなめ)たりもするのだが、一方で「これは欲張りなんかじゃない。機を逃さない行動力だ」などと自分で自分に声援を贈ってしまうことも多い。
でもやはり、正解は行動を起こすことでしか辿り着けないものだと思うのだ。
例えばそれがペーパーテストであったとしても、必死になって答えを考えるのは「脳の行動」である。
「何か良い答えが思いつかないかな…」と漠然と思っているだけでは決して正解など見えてこない。
「思う」と「考える」のでは全く別の動きである。
過去に自身が経験した「動かないことへの不安」、そして過去に自身が感じた「動けない者への嫌悪」。
それらが今の自分の行動の源であり、更には目標実現への切符であると考えている。
完遂するしかないだろう。ここまで来たら。