「堂々と言える」 | 消防設備士かく語りき

消防設備士かく語りき

川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

先日、以前からお取引がある会社の現場応援に行った際、そこの担当者の方がこんな話をしていた。

 

「少し前に都内のマンションの地区音響装置(非常ベル)1台の交換依頼があったのですが、でもそのベルというのがベランダ側の外壁に付いていて、しかもベランダの柵からも大分離れた位置にあり「どうやって交換するのか?」でかなり悩みました」と。

 

確かにマンションなどではベランダ側の外壁に時折非常ベルが設置されている。

だが中にはその担当者の方が話されたように「あんなもん、どうやって交換するんだ?」と思う場所に付いていることも少なくない。

中にはそれこそベランダも無ければ窓も無いような高場の外壁に非常ベルが付いている場合もある。

 

マンション建設時は周りを工事用の仮設足場などで覆っているので取り付けることもさほど難しくないだろうが、しかしいざ建物が完成し、そうした足場が撤去された後のことなどまるで考えていないように思う。

 

もちろん改めて足場を設置すれば交換も出来ようが、とは言えたかが非常ベル1台の交換の為に何十万円も費やして足場を組むなど全く現実的ではない。

 

「では高所作業車を」となるだろうが、しかし一般的なマンションの場合、敷地の奥まで高所作業車が入っていけるケースは極めて稀。

大抵は駐車場があるマンションであればその敷地内までは入っていける程度である。

 

「足場を組む費用が捻出できず、また高所作業車も入っていけない」

そうした事情から長らく不鳴動のまま放置されている非常ベルも世の中には相当数あることだろう。

 

さてその前述した取引先の担当者の方。

最終的にそちらの非常ベルは最寄りのベランダから半分身を乗り出す形で何とか交換出来たとのこと。

 

ただいざ交換作業に至るまでの過程で「屋上からのロープ作業で交換出来ないか?」という意見も出たらしく、その意見を聞いてその担当者の方も「そうか。そうした方法もあるのか」と、そこで初めて「ロープ高所作業による交換工事」というものを意識したのだと言う。

 

その話を聞いて私は堂々と「自分ならロープで出来ますよ」とアピールさせて頂いた。

もちろん屋上の形状次第ではロープ作業も不可の場合は多々あるが、しかし「そうした手段も持っている」ということが大きな武器に成り得ることを今回私も初めて現場で意識した。

 

今まではあくまでも「自分はそう思う」という意味で消防設備士によるロープ高所作業の有効性を語っていた部分もあった。

だが今回そうして「工事手法」の検討の中で「ロープ作業で出来ないか?」という提案があったと聞き、改めて「ロープ高所作業までを行う意義」を強く意識した。

 

その提案があった時、結局は「ロープ作業を出来る人間がいない」とのことで実施には至らなかったようだが、もしもそうした技術を持つ人間がいればロープ作業で実施されていた可能性も大いにあった、ということになる。

 

例えばエレベータ用の感知器の点検用の取り出し口なども高所の外壁に設置されているケースもある。

それらは書類上「高所により点検不可」として未点検のまま処理する場合も多いが、それもやはりロープ作業なら点検できる可能性もある。

 

ただ世の中の恐らく99%以上の消防設備業者は普段ロープ高所作業など行わず、それ故「そうした方法もある」という考えに至ること自体が難しいのだろう。

 

しかし我々は出来る。

自信を持って堂々とそう言える。

そしてその技術はやがて我々に様々な実りを与えてくれるものと確信している。

 

何故ならそれはこの業界の中にあって我々にしか出来ないことだからだ。

 

 

未経験者大歓迎!!