「欧州旋風」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

先日ネットニュースで知ったが、大型二種や中型二種などの運転免許にいよいよ「オートマチック限定」が導入される方向であると言う。

 

厳密に言うとその他、大型や中型、あるいは準中型などの各一種免許にも「オートマ限定」が導入されるとのことで、そうなると一気に5種類もの運転免許枠が新設されることになる。

 

実はわたし代表村田、30代の一時期、束の間ながら大型ドライバー(ダンプ)をしていたことがあり、大型二種や普通二種、大型特殊にけん引等、免許上は公道を走るほぼ全ての車両を運転出来る。

 

もちろん限定なども付いておらず、実際私が運転していた大型ダンプ(UDトラックスのビッグサムなる車両)も確か7速マニュアル車であったと記憶している。

ただ1速や2速など普段はあまり使わず、3速でも普通に発進できた。

 

ところで運転免許には「大型特殊二種」や「けん引二種」といった免許区分が未だあるものの、しかし2024年現在、それらの免許を必要とする車両は存在しない。

 

ほんの1~2年前までは東京あきる野市内にてSLをモチーフにしたトレーラー型のバスが存在しており「国内唯一けん引二種を必要とする車両」とされていたが、しかし役目を終えて引退したことで、けん引二種も大型特殊二種と同様「免許だけの存在」となった。

 

日本で唯一「けん引二種」を必要とした車両もその役目を終えた。

 

しかし今尚それらの運転免許を試験場まで受けに来る者は多く、運転自慢たちの「誇り」として本来とは異なる意味での価値を見出されている。

 

この2種類の免許はどちらも試験場での実技試験(いわゆる一発合格)でしか取得出来ず、けん引二種に至っては5~6回不合格などよくある話で、中には10度以上の受験でようやく合格という受験者もいるなど「運転免許最強の牙城」としての揺るぎない地位を確立している。

 

 

さて話を戻そう。

そんなわけでついに大型免許の世界にも「オートマ旋風」が吹き荒れることになりそうである。

これは束の間ながらも「元大型ドライバー」の肩書を持つ私の私見であるが…

 

一般的に言われる「日本車は壊れにくい」という評価、しかしこれはあくまでも「普通自動車」の話。

 

トラック、特に大型トラックは割と頻繁に壊れるという印象である。

日々現場までの移動中にラジオから流れていく交通情報を聞いていると、ほぼ毎日どこかの幹線道路で「大型トラックが故障して止まっている為☆☆㌔の渋滞です」というニュースが流れてくる。

 

恐らく過去50年間で「大型トラックが故障して止まったことによる渋滞」が起きなかった日はないのではなかろうか?

それくらい、基本的にトラックは壊れる。

 

もちろん普通車とは比較にならない「使い込み」も一因であるのは確かであろうが、しかし私はそもそも日本の大型トラックは「大したことない」と考えている。

一般的には殆ど知られていないが、実はここ数年、外国メーカーの大型トラックの躍進が凄まじい。

 

見栄えも良く、正に威風堂々なスカニア製のトレーラー

 

ボルボ製トラックも見かける機会が多くなった。(写真は欧州の車両)

 

中でも「トラック大国」であるスウェーデンの「ボルボ」、そして「スカニア」の2社の大型トラックを見かける機会が非常に増えたと感じる。

 

もう10年以上前だが、エクソンモービルが一時期オーストラリアのケンワースというメーカーの大型トラックを日本仕様に改造し、燃料輸送用に使用していたことがあった。

がしかし、そちらに関しては故障が頻発し、結局1年程度でまた日本メーカーの車両に戻していた。

 

故障が頻発し、瞬く間に姿を消したケンワースのタンクローリー

 

だが「ボルボ」と「スカニア」は違う。

「壊れない」とはさすがに言わないが、しかし少なくとも現状の日本の各トラックメーカー、「いすゞ」、「三菱ふそう」、「日野」、そして「UD」などの車両と比較しても「壊れにくい」と私は見ている。

 

加えてこれら「欧州トラック」は割と早い段階からオートマチックを導入しており、今では「普通車並み」の運転感覚で操作出来ると専らの評判である。

 

そして何より、これら2社は日本のトラックメーカーのそれとは比較にならない居住性の良さを実現しており、現在、トレーラー輸送の世界ではボルボやスカニアのトレーラーヘッドを使用する会社が非常に増えている。

 

つまり「日本国内で確かなシェアを獲得しつつある」ということであり、台数が増えればその分「パーツ交換」などの対応も早くなると思われ、もはや日本のトラックメーカーは内心、戦々恐々としているに違いない。

 

根本的な問題として日本のトラックはハッキリ言って甘ったれている。

と言うのも、運送会社の多くがやはり修理時の手間やドライバーの確保などの観点から同じメーカーの車両を継続して購入するケースが非常に多い

 

メーカーが変われば当然ながら「運転感覚」も相応に変わるが、しかし同じメーカーの車両を揃えておけばある日突然普段とは別の車両の運転をドライバーが任されても対応しやすい。

そうした事情から各トラックメーカーは一度自社のトラックを購入してくれた会社は「引き続き自社の顧客としてあり続けてくれる」という、一種の思い込みを持ち続けていた。

 

そうした「滅多なことでは顧客を失わない」という悪い安心感が業務への怠慢を生み、結果的にトラック先進国であるヨーロッパのそれと比べ、性能面でも大きく引き離されていったのだと思われる。

 

実際、10年前は日本の各トラックメーカーともボルボやスカニアなどの大型トラックについて「外車マニアの一部の運送会社が購入しているだけ」と高を括っていたはずだ。

だがボルボやスカニアはそうした日本のトラックメーカーの怠慢を見逃さず、これを好機と一気に日本国内での営業を本格化させてきた。

 

私は日本のトラック販売店からボルボやスカニアの販売店に流れて行った人材は相当数いるものと確信している。

そんな「国内メーカーの怠慢を知る者たち」がボルボやスカニアの日本参入に向け、少なからずその「道筋作り」に貢献してきたものと見ている。

 

彼らがそんな外資系トラックメーカーの日本でのシェア獲得に向けた確かなアドバイスを行っていたのだろうと。

 

大型車のオートマチックトランスミッション、特にトレーラーヘッドについては間違いなくボルボやスカニアは日本の10年先を行く。

そこにきて政府による「大型免許にもオートマを」という追い風。

正に日本の運送業界に「欧州旋風」を巻き起こす土台が完成したと言って良い。

 

10年後、私は日本国内のトラックメーカーは現在の半分の規模に縮小し、ボルボやスカニアが一気に日本でのシェアを伸ばすと見ている。

「怠慢と驕り」の中で長らく進化への努力を怠っていた日本の大型トラックは本気を出した欧州トラック達の前に次第に力を失い、やがて駆逐されるだろう。

 

遥か広大なヨーロッパの大地で鍛え上げられてきた欧州トラックたち。

今彼らは日本の道に確かな轍を刻みつつある。

 

 

 

未経験者大歓迎!!