「培われたもの」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本日現場が無かった私は朝から4月に向けて工程組みなどの事務作業を行っていた。

 

先日のブログでも触れた通り、4月は第二週目に自分とタケの2名がIRATA(アイラタ)のトレーニング&テストで計6日間程離脱する為、その分余裕が減り工程組みにも四苦八苦。

3月になってから入って来る案件も多く、ある程度は組み終えたものの、これからまだ調整が続くことになりそうである。

 

そうした事務作業を一通り終え、コンビニで買ってきた弁当を前に先ずはストロング系サワーを一口呑み込む。

 

すると「ピンポ~ン♪」とインターホンが。

出るとそこには一見してオシャレ風な、でも生理的に好きになれない顔立ちの若い(30くらい)の男が一人。

 

「ハイ?」と私が言うとその男は言った。

「便利屋の営業なんですけど~…」と。

 

 

長らくこの場所に住んでいるが便利屋の営業が来たのは初めて。

しかし全く用が無いので「いい!」とだけ言ってドアを閉めた。

すると男はそのまま今度は上の階へと上がっていったようであった

 

気にせず呑みかけたサワーをまたひとくち、そしてふたくちと呑み込む。

その時ふと思った。

 

と言うのも現在、深刻な人手不足に陥りつつある我が平成め組。

例えば「求人募集の応援」、つまりとりあえず誰でもいいから「うちの仕事をしてみたい人間を連れて来てもらう」などの依頼をしてみる、などというのも面白いかなと。

 

そんなことを考えていると上階から誰かが下りて来る音がしたのでドアを開ける。

案の定そこには先程の自称・便利屋営業の男が。

なので早速交渉開始。

 

「今人手不足で人を募集しているんだけど、就職希望者を見つけて連れて来てもらうことは出来る?」と聞いてみた。

するとその男は露骨に困った表情を浮かべながら言った。

「いや~…ウチは引っ越しの準備とか草刈とかがメインですので…」と。

 

引っ越しの準備と草刈…

この男、その程度の業務のみをメインにしておきながらよくぞ「便利屋」を名乗ったものである。

「引っ越し」ならともかく引っ越しの準備とは… 加えて草刈。

 

そんなもの、引越しなら引っ越し屋に、草刈ならそれこそ造園業者などといった専門業者がいくらでもいる

まさかその2つの業務だけで生計を立てられるとでも思っているのだろうか?

 

実は私も独立直後の一時期、消防設備業だけでは到底生計が成り立たなかったので、安くホームページを作り「便利屋・平成め組」としてしばらく活動していた。

なのである意味、ウチは便利屋からスタートしている、とも言える。

 

よく「便利屋は便利屋であって何でも屋とは違う」という人間がいるが、しかし何かしら「専門業者が存在しない仕事」を扱わなければ便利業など成り立たない。

実際私の場合、便利屋時代にはペーパードライバーの運転指導、逃げた猫の確保、電話による悩み相談等々…。

 

中には「彼女との性行為を撮影してほしい」という依頼などもあった。

「まぁ撮影するだけなら」とも思ったが、しかし「撮影するアンタにもパンツ一丁になって欲しい」などとワケの分からないことを言われたのでその話は断った。

 

そうしてごく短期間(1年程)ながら便利屋を名乗り多少の仕事をしていた私。

だがしかし、それら自身の実体験を踏まえた上で思うことは「便利屋は便利屋としてスタートしても成り立たない」ということ。

結局皆、何から本業と呼ぶべき仕事があった上で、その補填としての便利業である。

 

やはり30代の一時期、大型ダンプの運転手をしていたが、当時その会社の社長も道路工事の閑散期には便利業をしていた。

社員(当時)であった私も横浜までどこぞのビジュアル系バンドのグッズの買い出しに早朝から並んだりもした。

 

その様な形で本業の合間に便利業をしつつ、後は本業をより充実させ便利業は辞めるのか、あるいは便利業が忙しくなりそれをメインにするのか…

 

とは言え、やはり便利業を事業として継続するのは容易ではない。

正直、便利屋にはどこか「苦し紛れ感」がつきまとうのは否めない。

昼間営業に来たその男の会社が果たしてどういった経緯で便利屋を名乗っているのか定かではないが、恐らく近い将来淘汰されて消えゆくだろう。

 

私自身は現在のこの消防設備業が相応に軌道に乗りつつあり、この先便利屋に戻ることはない。

一方で少しやってみたい「新規事業」はあり、それは「ロープ高所作業の出張指導」である。

 

去年の夏、ロープ高所作業の特別教育を受け、ただそれだけの基礎知識しか持たないまま、11月半ばには「ぶっつけ本番」で某公共施設の外壁打診業務をロープ作業にて行った。

今にして思えば相当に危ういセッティングをしていたという思いもあり、現在何事もなくこうして無事でいるばかりか、今は普通に降下出来るようになった自分が信じられない。

 

だがやはり、特別教育を終えたばかりの私の様に「ロープ高所の特別教育は終えたけど周りに教えてくれる人もおらず実際に現場でやれる自信が無い」という人は少なからずいるように思う。

そんな人々の為に少しでも自身の身に付けた技術を教え、力になれれば…などと考えている。

 

しかし「自身が何者なのか?」、それを忘れてしまったのではどんな仕事も継続など不可能。

私はあくまでも消防設備士。

これからも我が平成め組は消防設備業を絶対的な主軸に置きつつ、関連業務の見識を深めていきたい。

 

便利屋時代に培った仕事への取り組み、そして考え方。

それらは今の私に少なからず影響を与えている。

 

 

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