「むしろ、怖い」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

去年末辺りの話なのだが…

 

その日、私は1人で数年来のお付き合いがある会社の応援に。

数年来、とは言っても年に数日程度、人を介して依頼があるくらいで普段は殆ど接点のない会社。

 

付き合いが浅いので詳しい業務状況は定かではないが、ただ聞いた話ではほぼほぼ大手の管理会社から依頼されるマンション点検が主だと思われる。

実際その日の物件もごくありふれた集合住宅で、辛うじて消火栓が付いている程度。

しかしその消火栓を含めても慣れた者なら2名で行っても午前であらかた片が付くレベル。

 

9:00から開始し、11:00にはほぼ部屋内の点検、そして消火栓までを終え、後は午前中居なかった部屋を午後に再訪問する流れ。

応援に参加した立場としては結構なラッキー現場。

 

ところで消火栓点検中、私は信号確認で受信機に一時的に付いていたのだが、その際、管理室内に置いてあったその物件の資料を何となく見ていた。

そこにはその物件を含む数件の物件の点検料金の見積表、また実際の点検料金表が挟まっており、当然ながらコッソリ、かつシッカリと中身を確認した私。すると…

 

 

 

 

 

「た、たけぇ~~っ!!!!」

 

 

思わず心の中でそう叫んでしまった。

その点検料金たるや、物件規模と設備の内容を考えると尋常じゃないほど高額。

またその他の物件も然りで、もしも私がそこのマンション管理組合から直接見積もりを依頼され作成したとして、しかしそれよりも5~6割は高いという感じ。

 

物件によっては1万円程度の値下げなどはしてるようだが、しかし元の金額を思えばそんなもん、単なる箸休め。

もはや非常識とも思える金額に思わずその場で見積表を撮影、ダイゴローに「☆☆社さんの点検料金高過ぎ!」とLINEで送ってしまったほど。

 

それらの費用の支払いは管理会社からなされるようであるが、ハッキリ言ってそこの管理会社、一般的な点検料金を把握している者が余程居ないらしい。

過去に何度かその担当者も「点検費用がギリギリで…」などと愚痴めいたことをほざいていたが、ハッキリ言ってぼったくり。

 

ギリギリどころか儲かって儲かって笑いが三日三晩は止まらないだろう。

その管理会社の仕事をメインに行っているらしいことを思えば、恐らくは他物件の見積もりも容赦ない高額で提示しているであろうことは想像に難しくない。

 

正直言って「羨ましい」なんて気持ちは全くなく、むしろ私は「怖い」とさえ感じた。

と言うのも、そんなふざけた見積もりを作成し、高額な費用を毎度請求していたのでは、近い将来、必ず管理会社側から関係を見直されると思うからだ。

 

今は平穏無事にその費用を貰えていても、いずれそうした点検料金など費用面に精通した人物が管理会社側の担当となれば「この業者、点検料金高過ぎないか?」という話に必ずなる。

 

そうなれば担当物件を軒並み他社に入れ替えられたり、あるいは各物件の大幅な値下げを迫られるのは必至。

あんな金額を「基本」として捉えていては近い将来、その会社は窮地に追い込まれることだろう。

 

1億歩譲ってそれで毎度点検が「非常に丁寧」と言うならまだしも、しかし2名で来て2名で部屋を回っていた様に、そもそも受信機に人員は配置していない。

厳密に言えばその時点で手抜き点検ではある。

またそれ以外の部分でもハッキリ言って大したことはしていない。

 

あれだけの金額であれば私なら間違いなく受信機に人員を配置し、新人やまだ現場に不慣れな外注をベテランと組ませ、4~5人で行うだろう。

報告書なんざ初回が面倒なだけで、2回目以降はちょちょいとデータ上の内容を書き替えれば済む。

 

あんな馬鹿げた点検料金を見て素直に思った。

「ウチは背丈に合った金額を貰っていて良かった」と。

 

他者の現場応援の場合、日勤なら良くてもやはり1人工2万円辺り。

確かにそれだけでは3名の従業員は抱えきれない。

 

一方で請けで頂いている各物件は1件当たりは安くとも1日数件回ることで1人工あたり常時3~4万円、多い時で5万円くらいにはなる。

それでコンスタントに2~3班を作って回していけるのであれば十二分やり繰り出来る。

 

そうした合間、請け案件が少ない日、あるいは全くない日などは他社の応援業務などをこなしていけば一先ず大きな赤字を生むことも無い。

急成長は難しくとも、しかし確実な成長は見込める。

高額な見積もり、そして費用に依存した経営はやはりリスクが高過ぎると感じる。

 

あるいはその金額が「普通」と考えているならその管理会社との縁が切れた途端、会社自体が路頭に迷いかねない。

業界の一般常識に基づいた本来あるべき費用を知れば彼らはきっと「もうやっていけない」と考えるだろうから。

 

安過ぎるのは確かに問題がある。

しかし一方、そうして異常に高額な見積を作成し、あたかもそれが普通であると信じ込ませ、尚且つ、超適当な点検に終始する…

そんな悪徳消防設備業者も少なからず世の中には蔓延っている。

 

私は決してそうはならない、なりたくない。

 

 

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