「私は降ろす!」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本日、私は外注の方と二人、東京近郊の現場を数件回る内容。

で本日の1件目。

 

「1号棟」と呼ばれる60世帯ほどが住む7階建ての集合住宅、そしてそのすぐ隣に建つ「2号棟」と呼ばれる10世帯が住む5階建ての小さな集合住宅、それらの点検を同時進行で行う、というもの。

 

ただどちらも古い建物で居室内に感知器は無く、1号棟の方は共用部のみの点検。

2号棟の方は大分小さいものの、しかし1階以外の8世帯についてはベランダに避難器具があるため居室内に入る必要がある。

 

私自身、同物件は今回で4回目が5回目であるが、しかし一方、避難器具のみとはいえ居室内に入る必要がある2号棟については今まで当日同行する従業員に任せていた。

マンションの居室は何かと気を使うので私は極力共用部の点検に専念したい派な人間である。

 

そんな人間、大抵どこの会社にも1人はいる。

なので今までは専ら1号棟の点検のみを行っていたのだが、しかし前回2号棟の避難器具を点検したダイゴロー曰く「2号棟の避難器具は全て巻上ハンドル無しの古いやつ」なのだと言う。

 

さて、あのハンドル無しの古い避難器具、同業者の皆さんは普段どのように点検しているだろうか?

 

因みにウチの場合、一切降下はさせず、その場で軽く広げてサビの状況などの確認をする程度に留めている。

と言うか、世の中の90%の同業者の方々はそうされていることだろう。

 

「煙感知器を全ての物件で毎回必ず感度試験にかけてます」という業者よりは多いと思うが、それでもハンドル無しタイプを毎度降下させる業者はかなり珍しい。

私も19年間の経験の中で過去に1社のみ、そこまでやる業者と出会ったことがあるが、でも19年間で1社である。

 

実際従業員たち曰く、本日行ったその物件も今までは全てそうしていたらしい。(降ろさず外観確認)

だが前回ダイゴローがその2号棟のどこかの部屋を点検した際、住人から「これまで一度も降ろしたところを見たことないけどそんなんでいいの!?」と強く指摘され、対応に困った挙句、車からロープを持ち出し渋々降下させたのだと言う。

 

出来ればそんなしち面倒くさいことしたくないが、しかし今回はまだ作業にあまり慣れていない外注の方と二人ゆえさすがに私が避難器具を見なくてはならない。

となれば今回も「その部屋だけ」そうした点検をし、他の部屋については「いつものやり方」で適当にお茶を濁そうと考えた私。

 

なので「その部屋、何号室だった?」とダイゴローに聞いたものの「忘れました」とのこと。

覚えてるのは「年配の女性の方の部屋」ということだけ。

 

ところで過去、ハンドル無しの避難器具を何度か降下させたことはあるが私は予め長めに切った100V用の配線を用意し、それを一番下の横桟に巻き付けて引っ張り上げる。

それゆえ今回も配線を準備し、いざ1件目のお部屋のインターホンを鳴らす。

すると、出てきたのはいきなり年配の女性。

 

そもそもそのマンション、築年数も恐らく30年以上は経過しており、また土地柄的にも住む方々の年齢層が高い。

「年配の女性」などという情報だけでは部屋の特定など不可能。

 

となると、もはや全ての部屋の避難器具を降下させてゆくしかない。

というワケで渋々かつ嫌々に配線を横桟に巻き付けハシゴを降下させる。

 

配線にしろロープにしろハシゴ本体の内側から巻き付けると引っ張り上げやすい。

 

紐やロープより100V用の配線の方が遥かに使いやすい。ただし火報用の配線は巻き付けた部分が外れやすいのでお勧め出来ない。

 

こうして「ハシゴに乗る」までやると結構褒められる。ハンドル付きの場合、私は毎度乗っている。

 

折角降下させたのだから一応、ハシゴ本体に乗っかりこれ見よがしに身体を揺らし「ガチャガチャ」と音を立て、「ちゃんとやってますアピール」をした私。

途方もなく面倒なその作業を終え「終了しましたぁ~」と住人の方に挨拶するとこう言われた。

 

「まぁ…貴方、今まで一番丁寧に点検して下さったわ。ちゃんと下まで降ろしたの貴方が初めて!」などと散々褒められてしまった私。

 

加えて、「前回来られた方なんてただフタを開けてチラッと見ただけでしたわよ」と厳しい指摘。(ダイゴローの仕業)

なので「再度指導を徹底しておきます!」と明言し、「仕事に厳しい先輩」を装いつつ部屋を出た私。

 

全くダイゴローのヤツときたら、ハンドル無しの避難器具の降下が面倒だからと適当な点検をしおって… 誠にけしからん!!

 

褒められて嬉し恥ずかしの村田代表、結局そのまま入室した全ての部屋の避難器具を「ちゃんと」配線を巻き付け降下させた次第。

嗚呼、いくつになっても褒められるってキモてぃイイ☆

 

もちろん次回からもそちらの建物については「全降下」を徹底する所存!

同業者の皆さんもあのハンドル無しの避難器具、面倒だからとフタだけ開けてチラ見して「点検終了」などは断じてイカン!!

消防設備士の肩書が泣くというもの。

 

 

舐めろ! 

フタも縦棒も横桟も、全て隅々まで舐めて綺麗にしろ!!

腐り切り、そして汚れに汚れまくった己の精神を磨くつもりで舐めるんだ!!

 

もっとプロとしての誇りを持って仕事をなさい。

そう、この私のように…。

 

 

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