「日々、是二刀流」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

「二刀流」と言えば今やメジャーリーガーである大谷翔平の代名詞となって久しい。

 

だがそれでも尚、あえて私は言わせて頂きたい。

この「二刀流」という表現、私の方がより相応しいと…。

 

わたし代表村田、本日はまさに二刀流としてその業務をこなしてきた。

本日の現場は一昨日行った外壁調査と同じ現場の1日挟んでの2日目。

一昨日は専ら外壁調査がメインであったのだが、しかし案件としては外壁調査を含む「防火設備・建築設備検査及び特定建築物調査」である。

 

なので検査2日目の本日は一昨日周り切れなかった外壁調査、そして建物内部の設備検査という内容。

実は一昨日の外壁調査、出来たのは全体の半分ほど。

加えて本日は隣の敷地に建つ別棟などの検査もあり、結構なボリューム感。

 

それゆえ本日は建築士の方2名、そして私の計3人体制で臨んだ次第。

というワケで私は1人、朝から屋上に上がり降下のセッティングを行う。

 

 

 

 

午前中に4度、そして午後は1度、計5度の降下を終え、全ての面の外壁調査を終えたのは14時過ぎ。

そしてその後、内部の設備を見終えた建築士の方と合流。(もう1名の建築士の方は別棟の検査へ)

合流後、残る「防火設備」を2人で点検。

受信機操作を建築士の方が行い、そして私は現場にて防火戸の検査を行うという流れ。

 

と言っても防火戸自体は全て合わせても12面ほどで、シャッターは無いので時間にして1時間とかからずにそちらの作業を終えた。

作業時間で言えば私自身は外壁調査の時間が遥かに長かった格好。

 

 

午後は防火設備検査員としての業務もシッカリこなしてきた

 

しかし私自身は消防設備士であり防火設備検査員でもあるので、午後の防火設備検査が本来は「メインの仕事」ではある。

その私が午前中はロープ高所作業にて外壁調査を行ったのだから、もはや「二刀流」と呼んでも決して嘘ではない。

 

今この記事を見ている同業者の方々に是非お聞きしたい。

「貴方の仕事仲間に消防設備士であり防火設備検査員であり、加えてロープによる高所作業までを一人でこなせる方がいますか? あるいは貴方自身は出来ますか?」と。

 

確かに私の降下技術など10年、20年とロープ作業をこなしてきた方々と比べればそれこそ「幼稚園児の御遊戯」みたいなものである。

とは言え、降下前のセッティングと降下の技術自体は問題無いと言って良い。(だから死なずに済んでいる)

 

一方でそうしたベテランロープ職人の中に消防設備に精通し、尚且つ防火設備も網羅している方など果たしているだろうか?

いや、恐らくいない。

 

「そこまで出来るのは日本中で自分だけ」とまで言うつもりは私も無いが、しかし大袈裟でなく全国で5人もいないのではなかろうか?

そもそもそんな人間がいれば既に業界中にその名が知れ渡っている様にも思う。

 

地上からペチペチと外壁を叩くのは小学生でも出来る。

だが「手が届かない高所」の外壁を叩けてこそ意味がある。

 

 

 

外壁側に身を乗り出す瞬間は一瞬呼吸が止まる

 

現状、私自身は外壁調査を行う資格(特定建築物調査員)は無いが、しかしこの作業を行う際は必ず建築士の方とタッグを組むことで劣化の判断はそちらに委ねることが出来る。

言わば私が「身体」、そして建築士の方が「頭脳」となることで全てが成立するのだ。

 

しかし我々の目指すべき場所はまだ遠い。

今は所詮、数名の小さなチームで動いているに過ぎないが、我々の目標は「点検・検査の一括実施」。

今後この形を「検査の標準」と世の中に認知されるくらいの規模にまで押し上げることを我々は目指している。

 

ロープ作業は確かに怖い。

外壁側に身を乗り出すその瞬間、毎度の様に「落下事故」の可能性が頭を過る。

だがそうした気持ちがあるからこそ、降下前のセッティングにはより慎重になれる。

 

確かに高所への恐怖感には慣れつつあるが、しかしそれは決して「危険性への認識が希薄になった」ということではない。

 

むしろ知れば知る程、この作業が如何に「難しいものであるのか?」への理解が深まるし、またそこに確かなやり甲斐や責任感を感じられる。

一方でこの仕事が毎日であればそれは心身共に疲弊してしまうだろう。

「時折こうした業務もある」というのがやはり理想の形である。

 

実際次回の外壁調査は来月の予定であり、明日からはまたしばらく消防設備士、そして防火設備検査員としての作業が続く。

だからこそ毎回が新鮮な気持ちで臨むことが出来るし、安易な「慣れ」も発生しにくいと考えている。

 

消防設備士となってもう19年。

一消防設備士として今が一番充実していると感じている。

 

今こうして高所作業までこなせている自分がほんの少しだけ誇らしい。

 

 

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