「成長し続ける」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

 

先日注文した品が本日無事に届いた。

恐らくは今年最後の仕事道具の購入となるだろう。

 

購入したのは全て高所作業用の道具類で、ロープを建造物のあらゆるエッジ(角)から保護するローププロテクターと呼ばれる物を6点。

そしてスリーアクション式のカラビナを計8点ほど。

 

一見して大した物を購入した様には見えないかも知れないが、しかしこれだけでも約7万円の買い物。

いずれの品も以前に1~2点ほど購入したものだが、実際に現場で使用した際の機能性、そして信頼性が非常に良く、それゆえ今回まとめて購入した格好。

 

ローププロテクターについては実際に現場でロープを使用して降下してみると思いの外、建築物にはロープを傷付けかねないエッジが多く、なのでプロテクターは多ければ多いほど良いと感じた。

 

もう1点の「スリーアクション式カラビナ」とは一般的な開閉部が「ネジ式」のものと異なり、開閉するには「開閉部分を指先で少し持ち上げる」、「そのままねじる」、「そして開閉」という3つのアクションを必要とする。

当初それがネジ式に比べ随分と面倒に感じ「自分はネジ式で良い」と思いながら作業をしていた。

 

だがある現場での降下時、外壁側に身を乗り出した際、下降機とハーネスを接続するカラビナが本来あるべき「縦」の状態から「横」になってしまい、尚且つそのネジ部分が緩み、危うく外れかけたことがあった。

 

たまたま運よくその後カラビナは本来あるべき「縦」の状態となり、空中でポジションを落ち着かせた後、改めて緩んだネジ部分を締め直し事なきを得たが、大袈裟でなく一歩間違っていたら地上に落下、若しくはライフライン側の補助下降機で落下こそ免れはしても、しかし完全に宙づり状態のまま動けなくなりレスキューを呼ぶ羽目になっていたことだろう。

 

スリーアクション式のカラビナだと下降機などと接続させると勝手に閉まってくれる上、開閉部が緩む心配が無い。

それゆえ「信頼性」という意味ではネジ式とは雲泥の差だと感じ、今回の大量購入に踏み切った。

この1つで2トン以上の重量に耐えることが出来る。因みに1個4000円ほど。

 

まだまだ降下経験の少ない私だが、しかし実際の降下を経験する中で知れることが非常に多い。

道具の信頼性や適正など、まさに実際の降下作業の中でしか理解出来ないことだらけだ。

 

これでもうこの3~4ヵ月だけでロープ高所作業に費やした金額は60万円を超える。

もしかしたら70万円台に達したかも知れない。

それだけの金額をもし主軸である消防設備業での道具類購入に使っていれば恐らくは加ガス試験機やレベルメーターくらいまで購入出来たに違いない。

 

だが一方で現在私が挑み、そしてこの先も挑み続けようとしているロープ高所作業、それは「何かの作業の片手間」で出来るものでは決してない。

 

中途半端な取り組み方をしていたのでは吊元へのロープの接続やその後安全確認なども手薄となり、近い将来に落下事故死すらしかねない。

もしも本当にこの技術を身に付けたいと考えるのであれば、やはり一旦は消防設備業のことを「忘れる」くらいでなければならないだろう。

 

幸にして現在の私はかつて様な個人事業主の一人親方ではなく、従業員や多くの仕事仲間を抱えている。

彼らに主軸の業務である消防設備業を任せることで私自身は可能な限りロープ作業のことを考えることが出来る。

 

もちろん相変わらず私も普段は消防設備業に従事してることが圧倒的に多いのだが、しかし屋上に上がる度「もしもこの建物の外壁を降下するなら」と、吊元の選定や接続方法など、毎度頭の中でシミュレーションなどしつつ、次なる降下に備えている。

 

「外壁から落下して死んでもいい」などとは全く考えていない。

だが一方、散々注意して行っていたものの、それでも落下したのならそれはもう「仕方がないこと」と心に覚悟は出来ている。

 

とてつもなく危険なことに今後より一層挑もうとしているからこそ、高い集中力と仕事へのプライドも強く持てるというもの。

 

確かにロープ高所作業とは一旦消防設備業を忘れるくらいの気持ちで臨むべき業務であるが、しかし私はいつだって「消防設備士としてその業務を行う」という気持ちも忘れていない。

むしろ消防設備士としての誇りこそが私を高所ロープ作業に駆り立てているのだ。

 

あと5年… そう、あともう5年後には消防設備業界に「平成め組の村田在り」と、自身の名を轟かせてみせる。

 

私はまだまだ成長し続けるつもりだ。

勝負はこれからだよ、諸君。