「1日2万円」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

この消防設備業界の中にあって、時折「人材派遣業」的な稼ぎ方をしている人間がいる。

 

数年前の一時期に付き合いのあった同業者の某社長。

本人は既に還暦過ぎで、40代後半の「正社員」を1人抱えている程度であったのだが、しかし度々求人広告で人を募集しては「相応の経験者限定で」迎え入れていた。

 

だがそれらで募った人員は自社の社員や専属アルバイトとしての雇用ではなく、あくまでも「個人請負」という形を取ることで社会保険などの支払いを逃れる… というやり方。

 

そうして迎え入れた人間を他社の応援に派遣してはそこから中間マージンだけを抜き、それで小銭を稼ぐという中々せこい戦法である。

常時4~5人の人間を毎日の様にそうして派遣していたので、1人から5千円ほど抜いたとして、何もしなくても2~3万円を手にする。

 

かと言って自分とその唯一の社員の2人で「自社請け物件をこなす」というワケでもなく、結局は2人とも他社の応援に行くのが「本業」。

そうして「細く長く(?)」をモットーに、「消防設備業専門人材派遣業」に精を出していた。

 

とは言え、私自身も独立直後はそうした「応援業務」を主軸にしていた。

それこそ最初の頃は1万円~13000円程度で日々の応援業務をこなしており、しかしその程度の日当ではハッキリ言って「最低限の生活を送れるかどうか?」であった。

 

だがそうした地味な応援業務を継続していく中で、次第に人脈も増え、より良い条件で応援を打診してくれる方も出来、その日当額は徐々にではあるが上がっていった。

 

14000円、15000円、16000円、17000円と…。

そして最終的に最も高く頂けるところで税込み1日2万円ほど貰えていた。

私の経験上、恐らく「応援を依頼する側」の立場からすると、通常の点検応援の場合で「コンスタントに応援依頼が可能な金額」の限度額が正に2万円辺りである。  

 

そうして徐々に上昇していく自身の「価値」、そこに一喜一憂しながらも、それなりに当時の生活を楽しんでいた様に思う。

 

 

さて、もしかすると今このブログを見て下さっている方の中にも、独立してまだ間もない「一人親方」の方が居るのではないだろうか?

果たして今現在の貴方の「1日当たりの金額」はいくらであろう?

 

このブログを書くにあたり、私は自身の経験をほぼ「そのまんま」書き綴っている。

と言うのも、かつての自分と同じような境遇を「今まさに歩んでいる」という方々に、少しでも自分の経験が「参考になれば」と思い、個人名や個々の会社名以外「書けることは全て書く」という信念でこうして書いている。

なので時には見る者が不快になったり、あるいは不安を煽る様なことも書いてきたのだと思う。

 

本日もあえて書かせて頂くが、前述した今現在「一人親方である」という人たちに言いたい。

もしも今、貴方が日々応援に参加している会社から2万円を貰えていたとしよう。

その金額を貴方自身は果たしてどう考えているのか?

 

それ以下の金額で日々応援業務をこなしている方々からすれば「1日2万円なんてスゴイ!」と思う方もいるかもしれない。

 

だが「そうした応援業務を数年間主軸にしていた」、その経験の末に今がある者としてこの際ハッキリと言わせて頂きたい。

端的に言って「1日2万円」ではこの先どうにもならない。

 

例えば多数の従業員を抱えている同業者の「一番下」の立場の従業員を雇用し続けるのに大凡「1日2万円かかる」と考えれば分かりやすい。

 

大抵どこの会社にも閑散期と繁忙期があり、繁忙期こそ従業員たちが毎日の様に現場に出ていても、しかし一旦閑散期になれば月の半分以上がデスクワーク、ということも珍しいことではない。

しかし消防設備業とは基本的にデスクワークで利益を得られず、メインはあくまでも現場作業。

 

だがそうした時期でも従業員の給与は当然支払っていかねばならず、なので年間通して考えると、やはり末端の従業員の雇用にかかる維持費は「安く見積もっても」1日2万円である。

点検の応援業務で1日2万円は確かに業界的には「最高ランク」かも知れないが、しかし見方を変えれば「最高ランクでもその程度」でしかないのだ。

 

つまり、応援業務とは「所詮」の二文字が常時頭に付いて回る仕事、ということである。

現実的なことを言うならば、本来応援でも1日25000円はないとやっていけない。

 

とは言え、それだけの金額を常時応援要員に払ってくれる会社など私が知る限り皆無。

と言うことはつまり、「業務の主軸は専ら応援」という個人経営は遠くない将来必ず破綻する。

この仕事は「現場作業で初めて利益が生まれるもの」である以上、怪我や病気で身体が一時的にでも動かなくなればもう終わりなのだ

 

だからどんなに長くても「一人親方」は5年間が限界。

それまでに「何が何でも」2人以上の体制と、現場請け可能な器具類、そして車を揃えておくのが「生き残る絶対条件」である。

資格はとりあえず点検資格者だけあればどうにかなる。(私自身、同資格については完全に否定派の人間だが)

 

生き残りたければ先ずは収入の全てをそうした「準備金」に回すことだ。

趣味なんて一旦捨ててしまうのだ。

そんなもん、仕事の基盤を整えさえすれば後からいくらでも楽しめる。

 

だから先ずは生き残ることだけを考えるべきだ。

生き残らなければチャンスなど起こり得ないし、また掴めようもないのだから。

現実とはいつだって無情なほどにシビアなものである。

 

 

 

 

 

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