「綺麗ではないビジネス」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

10代の頃、割と様々な武道を経験した。

 

柔道に剣道、少林寺拳法に極真空手、更にはテコンドーなる武道も一時期学んでいた。

と言ってもまともに続いたのは剣道、テコンドー、少林寺拳法の3つだけで、残る2つは「嗜む」までもいかず、半年と経たずに辞めている。

 

少年時代、ジャッキー・チェンなどの武術系のアクションスターが好きで、そうした存在に対しての憧れも大きかった私は、小学生時代に始めた少林寺拳法を皮切りに、20代前半までの間に上記の武道を続けざまに経験した。

 

当時は我ながら「空手☆段」とか、「テコンドー☆段」みたいな肩書に異常な程の執着あった様に思う。

だが20代前半までを最後に、44歳となった現在まで全くそうした物に取り組んだことは無く、それどころか今では時折、そうして武道に没頭していた頃を振り返っては「実に時間も金も無駄にしてきたな…」などと思う自分がいる。

 

一体何が楽しくてそうした武道を熱心に学んでいたのか…。

当時の自分の心理が今ではまるで理解出来ない。

少年時代から青年期時代までに持ち続けていた熱い程の情熱、それは自身が大人になっていく過程で電光石火の速さで消え失せた

 

そうなった最大の理由は私自身のモチベーションの低下、かつて持っていた「強くなりたい」という意識が薄れたことであることに違いはないのだが、しかしそれ以上に気持ちを萎えさせた要因、それはそうした武道組織の大半が「所詮はビジネス」であることに気付いたからである。

しかも決して「健全なビジネス」ではなく、人間の心理を巧みに操作した「綺麗ではないビジネス」と感じたからだ。

 

世の中のほぼ全ての武道組織は「級位段位制」を用いている。

練習参加時間に合わせ、昇級審査や昇段審査などを行い、合格した者にはより高い級位や段位を与え、そして腰に巻く帯の色もそれに伴い変化していく。

練習生たちはより上の位、そして帯を目指そうと必死になり、そしてそこに自身の情熱以上にお金を注ぐ…。

 

実際、こうした武道の昇級や昇段にはやたらとお金がかかる。

例えば前述した武道の中で私自身、最も長く継続したのは剣道であるが、ハッキリ言って剣道協会とは尋常ではない程「お金が好き」な組織である。

 

昇段審査ともなれば一番下の「初段」の審査ですら5~6000円ほど徴収され、更に合格すれば「登録料」なる名目でまた同じくらいの金を要求される。

 

また極真空手の場合、当時私は神奈川県内の某道場に通っていたが、一番下の位(当時)である「8級」を受験するのにその審査料が15000円。

尚且つ、その審査を受けるには年に数回ある2泊3日の「合宿」への参加を求められ、その合宿代が別途で25000円。

 

計4万円もの金を徴収されるのだと言う。

でも多くの練習生たちは少しでも上の級位、そして段位が欲しいがため、皆何とかして費用を工面する。

 

本来こうした級位、段位は個々の練習生の「練習過程の度合い」を大まかに示すものでしかないのだが、しかしそうした所に通う練習生たちの多くが、あたかもそれを「その道場内に置ける自身の地位」と勘違いし、年が下でも級位や段位が上であれば「立場そのものが上」と思い込む輩も少なくなかった。

しかしそうした歪曲された解釈が一定程度まかり通っている風潮は確かにあった。

 

現実的なことを言えば「強くなる」というのは本人の心掛け次第でどうにでもなる。

別にそんな武道なんぞ学ぶまでもなく、徹底的に身体を鍛え上げることで人はいくらでも強くなれるし、また「技」だって身に付けられる。

だから純粋に「強くなる」ということを目指すのであれば道場に通う必要など全くない。

 

しかし「主催する側」の立場からすると、それでは「ビジネス」として成り立たなくなってしまうから、各武道組織は級位や段位、そして帯制度などを導入することで「より上の位に!」と励む練習生たちの心理を巧みに操り、お金を徴収する…

 

と言うのが私個人としての最終的な見解であり、行き着いたゴールであった。

だからもう、そうした場所に通うことを辞めたのだ。

考えれば考えるほどに馬鹿らしく思てきたから。

 

 

ところでその昔、当時のブログ内で私は少林寺拳法のことをこき下ろしたことがある

「あんなもんいくらやっても強くはなれない」と。(同記事は既にブログ自体閉鎖済)

直後から全国の少林寺拳法否定派、肯定派の方からの書き込みが相次ぎ、個人ブログながら200件近いコメントが寄せられ「プチ炎上」した。

 

相変わらず(?)少林寺拳法は弱いと思うが、しかし私が学んでいた当時、今から30年以上も前のことであるが、少林寺拳法の規定として「少林寺拳法を教えることを本業に出来ない」というのが確かにあった。

財団法人や宗教法人などの法人格も有していた同組織の場合、昇級審査などにかかる費用は非常に安く、他の武道団体と比べて明らかに「ビジネス色」は薄かった。

 

審査官は毎度各近隣道場の一定段位以上の者から選ばれていたが、半日以上かかる審査に従事しても交通費程度のお金しか貰えていなかったと記憶している。

 

「金稼ぎ」に躍起になる多くの武道組織の中にあって、少林寺拳法は極めて稀有な存在であり、また「厳格でもあった」と、改めて思う。

と言っても2021年現在、果たしてそうした考え方が維持されているのかは知る由もないが。

 

いずれにせよ人の深層心理を操った様なビジネスは何時の時代であっても、それは見ていて気持ちのいいものではない。

 

 

 

 

 

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