「秘密のスプリンクラーヘッド」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

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これは私の数年来の仕事仲間から聞いた話なのであるが…

 

既に業界歴は15年以上となるその仕事仲間。

その彼がまだ新人だった頃、ある日、普段からよくその会社に仕事を流してくれていた元請会社の点検応援で関東某所の遊園地に行ったのだと言う。

 

屋外型の遊戯施設はともかくとして、室内型のものであればやはり法に乗っ取り一定の消防設備が必要となる。

 

彼はその日、元請会社の人間と共に施設側の関係者の立ち合いの下、主に施設内の消火器や火災感知器、あるいはスプリンクラーヘッドなどの確認作業をしていた。

 

そうした中、ある建物を点検中、その建物の中に一風変わった施設があった。

それは部屋の中に入ると部屋ごと前後左右に激しく揺れ動くアトラクション。

 

恐らくは台風などの災害に「部屋ごと飲み込まれた」という設定の機械であったものと思われる。

勿論点検自体は休館日に行っていたのでその機械が動くことはなかったようであるが、しかし彼はその揺れ動く部屋の中で実に不思議なものを見つけてしまう。

それはズバリ、スプリンクラーヘッド。

 

しかし前述した通り、その部屋は「部屋ごとアトラクション」となっており、前後左右に部屋全体が揺れ動くような構造。

言うまでも無いことだが、スプリンクラーは建物のどこかに設置されたポンプから各スプリンクラーヘッドまで基本的に全て配管が接続されており、通常それらの配管が動くことを想定していない。

 

一応ポンプ付近には「フレキシブルパイプ」(通称フレキ管)という、多少の振動には耐えうるタイプの配管を使用している部分もあるが、しかしフレキ管の耐えうる振動などたかが知れている。

 

部屋全体が前後左右に激しく揺れ動く場合、通常配管は言うに及ばず、もはやフレキ管でも対応は不可能。

なのでその部屋の中にあるスプリンクラーヘッドを見つけた時、彼は「一体天井裏はどの様な構造になっているのだろう…?」と疑問に思い首を傾げた。

 

前後左右に激しく揺れ動く部屋の天井面にあるスプリンクラーヘッド…

果たしてこの構造を説明出来る消防設備士が日本に何人いるのだろう…?

 

 

と言うワケで、その構造が気になった彼は早速脚立を持ってきて天井裏を覗き込んでみた。すると…

天井裏にはちゃんとスプリンクラーの配管があったのだが、しかしどれ一つとしてその部屋のヘッドには接続されておらず、いわばその部屋の天井にあるヘッドは全てダミー(偽物)。

 

それを見つけてしまった彼は思わず大きな声で「このスプリンクラー、全部つながってませ~ん!」と、その場にいた皆に聞こえる様な大声で叫んでしまったのだという。

 

すると作業の立ち合いをしていた建物の関係者も天井裏を確認し「あぁ!! ホントだ!?」となったのだが、しかしその傍らで元請会社の人間は顔面蒼白に…。

どうやらその一件、点検作業員たちだけの「絶対に公言してはいけない秘密」であったらしい。

 

顧客側の無理難題に何とか対応しようと、一応天井裏まで配管を持ってきたものの、しかしヘッドにつなぐことはやはり無理で、それでも表向きは「何とかしました」という体にしていた模様。

だがそんなことなどつゆ知らず、彼はその秘密を堂々とバラシてしまった格好に…。

 

その後、その元請業者と建物側でどの様な話し合いが持たれたのかは不明だが、しかしそれ以後、彼はその会社の応援には一切参加出来なくなったのだという。

どうやらその一件でスッカリその会社の人間から嫌われてしまっようで。

 

ところでそうした「部屋全体が揺れ動く構造」の場合、やはりスプリンクラーヘッドは技術的に設置不可能であろうか?

 

例えば配管ではなく強力なチューブ(例えばガソリンスタンドの給油機につながれたガソリン用ホースなど)をヘッドまでつなぎ、普段は水を重点せず空の状態にしておくなど。

通常のスプリンクラーポンプの送水圧に耐えられなくてもパッケージ型自動消火設備程度ならいけなくもないような気がしている。

 

「なら貴様が施工してみろ!」と言われれば0.000007秒で「出来ません!」と言ってしまうが。

ま、想像するだけなら何とか。

 

 

 

 

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