昨日は朝から東京は神田の方までお出掛け。
目的地は秋葉原駅からほど近い、都内でも有数の巨大な消防署である神田消防署。
ここで行われた「消防設備士再講習」に参加するためである。
現在私がメインで行っている消防設備業には「消防設備士」という国家資格が必須なのであるが、これが5年おきごとに資格更新の為の講習に参加せねばならない。
「資格更新講習」はそれこそ運転免許にもやはり存在するワケだが、しかしこの消防設備士の場合、資格的には1類~7類までと幅広い。
とは言え、さすがに7種類全てに更新講習があるのではなく、消防はそれらを大まかに3区分し、更新にあたってはそれぞれで再講習を受講する必要がある。
だがこの業界に携わる人々の中には1~7類まで全て取得している人など珍しくなく、結局は3区分全て受講する人が大半である。
私も一応、3区分全て受講する必要がある中の1人。
一昔前は5分割されていたらしいので、それに比べれば随分と楽にはなった… とベテランたちは語る。
私の場合、実は長らく3区分全てその講習を受けてこなかった為に資格はいずれも期限切れになっていた。
「期限切れ」と言っても完全に無効化してしまうのではなく、あくまでもその講習を受けさえすれば資格の効力は復活する。
で一昨年、どうせならと3区分まとめて再講習の申し込みを済ませ、2区分については無事に効力が復活。
そしていざ、残りの1区分の講習を受けようと会場まで行く途中、不覚にも前日からの体調不良により途中で自宅に引き返すことを余儀なくされた。
講習費用の7000円をドブに捨てたようなものである。
そんなワケで昨日、ようやく残る1区分の講習を済ませるに至った、という塩梅。
この消防設備士という資格も車の運転免許同様、違反者には「違反点数」とやらが付記され、過去3年間の合計点数により処罰の内容が決定される…
ということにはなっているのだが、しかし実際そうした処分を受ける人物は極めて稀で、年間100人にも満たない程度。
違反点数合計20点で「資格取り消し」の対象となる。
前述の更新講習の未受講も違反点数が付され、私も厳密には最高で15点くらいまで達したことにはなるのだが、未受講だけでは絶対に資格取り消しとはならない。
実際、私がこの業界に入った11~12年ほど前は何の資格も持たないで業務に携わる人間など珍しくも無かった。
どこの会社も資格の無い人間をアルバイトとして雇い、そんなずぶの素人たちに平気で設備の整備などを行わせていたものである。
だが最近は随分とうるさくなった。
「行政の指導が」と言うより、点検業務などを依頼してくる管理会社などがそこら辺を気にするようになってきたという感じである。
ただ私の場合、当時から「いずれ資格についてはうるさく言われる時代が来るだろう」と考え、資格の勉強だけは怠らなかった。
なので一応、一通り資格を取っておいたお蔭でどこの会社からも気軽に応援業務などで声を掛けてもらえている。
さてそれはともかくとして…
その再講習、実に700ページに及ぶ辞書の様な分厚いテキストを片手に朝から夕方までみっちりと退屈な講義が続く。
250~300人程度はいたであろう会場内を見渡せばポツリポツリと眠りに入る者たちも…
正直言って私もその中の1人で、講義が始まるや否や、目を閉じて瞑想にふけった。
だが大半の人々は「一応は」眠らずに頑張ろうとする。
と言うのも、講義の最後には「効果測定」なる計10問程度の簡易なテストがあり、それに基準点が万が一満たなかった場合、講習終了後、更なる追加講習を受けさせられてしまう。
皆それが嫌で「念の為」、退屈な講義にも耳を傾けるのである。
しかし基本的に効果測定は落ちる様なものではなく、普段から業務をしている人間たちにとっては単なる「常識問題」でしかない。
私は過去、3度この講習を受けてきたが一度も効果測定に引っ掛かったことはない。
なので昨日の講習でも皆が講師の言う箇所に赤線を引っ張ったり印を付けたりする中、私は一切テキストに何かを書き込むことをしなかった。
でも効果測定はもちろん通過。
「全員合格」も珍しくないその効果測定。
がしかし…
昨日はチラホラと「不合格者」が。
通常なら効果測定終了後、係員たちが受講生たちの座る机を周りつつ、朝の講習開始時に渡した各々の消防設備士の資格証を返却して「終了」となる。
だが効果測定不合格者の場合、資格証の代わりに資格証をコピーしたパチもんの資格証みたいなのが仮に渡される。
それが即ち「アンタ不合格なんで追加講習を今からやるわよ」という合図となる。
これが中々屈辱的で、皆が「よし! 帰るか!」と席を立つ中、パチもん資格証を渡された人間達だけはそのまま席に座り続ける羽目になる。
なので「不合格者」は最後、会場を後にする受講生たち皆からジロジロと見られるという、ある種の精神的拷問を受けるのである。
私も席の近くにも2名ほど「不合格」になった人間がいた。
しかもどちらも見た感じ60歳前後の大ベテラン。
人間が出来ている私は会場を去る際、そんな彼等に「反省しなさい!」という叱咤激励を込めて「超ジロジロ」と彼等の儚い表情を眺めつつ会場を後にした。
そのうちの1人は講習中、必死になってテキストに線を引っ張ったりしていたようであるが…
蓋を開けてみればこの有様。
如何に日頃の予習復習が大切なのかを思い知らされた昨日の講習であった。
あ~わなりたくねぇ~~。