週末は毎月一度の、房仙先生の書道のお稽古でした。

人の魂とは、成長し続けたいと願うものなのだと私は思ってる。

        もう、〇歳だから

そんなの全然関係ないのが、書道の素晴らしいところ。

        まだ初めて間もないから

それも全然関係ないのが、房仙会の素晴らしいところ。


日曜日、房仙先生がホテルで目にした新聞の記事を紹介して下さった。

俳優の真田広之さんの記事だった。

 

彼が拠点を米国に移したきっかけは
ベテランと新人が対等に意見を交わし合い、舞台で競い合う姿に、俳優としての理想のあり方を見たから

 

という部分を引用して


房仙先生は「これぞ、房仙会のあり方です」とお話された。

房仙会では新人もベテランも分け隔てなくご指導を受け、同じ教室で同じ文字を練習する。

 

新人は先輩の素晴らしい字を見て感動し、100枚も練習してきた先輩の姿勢を見て学ぶ。

 

ベテランは新人に筆の持ち方の基本を伝えたり、文字の書き方を教えながら自らの学びを深める。


今回は、年に一度の社中展という展覧会に向けて

それぞれが、自らの課題に取り組んだ。


先生が書いてくれたお手本を頂いた時、「これ、私に書けるのだろうか」と思った。
先輩方もそうだったらしい。

なにしろ、先生は今現在の私たちの能力の少し上のお手本を書いて下さってるのだから。

 

100m20秒で走る人が、気付いたら19秒台で出てた!というようなご指導。


運動だと、体力の限界・・というのもあるが、
書道につかう精神力と体力の限界はまだまだ先。83歳の仲間である先輩も素晴らしい書を書かれている。

 

20秒で走っていた人が19秒で走れたら奇跡。
でも、その奇跡が当たり前のように目の前で次々に起きていく。

 

目の前で

ということは、現実に変化していく仲間達を視覚で見て心が揺さぶられ

「私だってやれば出来るかもしれない」

と、勇気をもらえる、ということ。


この週末の房仙塾は、土曜日10時~20時まで、日曜日10時~16時までの長いお稽古。
この間、先生は休みなしだった。

 

常に動いて、常に感じて、20名もの生徒の今を観察し、頑張れば届く目標を設定し
励ましてくださった。

 

言葉での説明は少なめで
手を取って、筆の動きやスピード、感覚を身体に覚えさせてくださるご指導。

 

最初はよくわからない状態なので

「こんなものかな」

と気負わず書け、これならいけるかも!と嬉しくなった。

先生にも「できてるよ」と声をかけてもらえた。


ところが、書いていくうちに先生のお手本と違うところがいくつも目についてくる。
もっと、お手本に近づきたい!と思い始めたら

 

筆がうまく動かなくなってくる。

 

私は半切という大きさの紙に3文字書くだけで、
100m全力で走ったくらいの集中力を使うようだった。

1日目が終わったとき、
背筋と、お尻の筋肉、腿内側の内転筋の筋肉痛で立ったり座ったりが辛いほど。

翌朝は、体中が筋肉痛。本当に100m走ったみたいに。

 

2日目。

なんだかどんどんお手本と遠ざかっている自分の文字に少し落ち込み始めた。

体の痛みもピーク。先生はあんなに元気に活き活きとご指導くださっているのに・・。


先生の勧めで墨を変えてみた。添加物なしの食べても大丈夫な墨汁らしい。

image

あれ?全然違う。
筆が自分の体の一部になったみたいな感覚を味わって
俄然ヤル気が戻ってきた。

 

そこからの数時間。

もくもくと作品を書いていく。

 

上手いか下手か

うまく書けてるのかそうでないのか
習い始めて半年足らずの自分にはわからないのだから、もう良い。

 

筆との一体感を存分に楽しみながら、書き続けた。

筆が走る!!!!初めての体験。

先生が初めて手を取ってくださった時と同じ感覚が「邪」の文字の右の部分を書いている時に起きた。


書けた。

 

20代前半から80代の仲間たちみんながそれぞれ自分と無心で向き合い、
先生が見守り適切にご指導くださる中で、それぞれの限界を超えた日。

魂が喜んでいた。

 

 

成長は何歳になっても出来る。

前より少しだけ成長したと感じたとき、人はこんなにも幸せでもっと先を見たくなるものなんだ。

 

 

【房仙会書道展 】
8月13日(日) 10:00〜16:00
三島市民生涯学習センター 3F

【米子房仙塾書道展】
10月11日(水)〜10月15日(日) 作品展示
10月13日(金) 書道ライブ