18きっぷにひかれて善光寺参り | 日出ヅル處ノ廃寺

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古代寺院跡を訪ねて

1年前、岡山近辺の廃寺巡りを「青春18きっぷ」を使ってやってみました。

 

 

18きっぷは廃寺巡りで4日分を使って、1日分余っていたので、どこかに行って使おうと思って出かけてみたのが長野の善光寺。善光寺へは子供の頃に行った記憶がかすかに残っているのですが、どんな場所だったのかはすっかり忘れてしまっていたので、何十年ぶりかの再訪になります。ではレッツラゴー!

 

 

長野電鉄で善光寺へ

 

18きっぷなので、快速や普通電車を乗り継いで長野駅にやってきました。改装後の長野駅は初めて。善光寺口に降りると、何やら観音様のような立像が....「如是姫像(にょぜひめぞう)というのだそうです。はじめはブドウの女神かなんかだと思いました。

 

善光寺如来に向かって香花をささげている姿だそうです

 

ここJR長野駅から善光寺までのアクセスは、善光寺オフィシャルサイトでは路線バスを推奨しているようですが、ここはせっかくなので長野電鉄を利用することにします。長野電鉄の長野駅は地下ホーム。時刻表を見ると....お、ちょうど特急に乗車できますね。

 

鉄ヲタが歓喜しそうな図。乗車したのは中央のJR東日本から譲渡された初代成田エクスプレス

 

善光寺の最寄り駅は「善光寺下」駅ですが、特急は通過してしまうので、一つ前の「権堂」までの切符を購入。ごく短い間の地下区間を特急で。なんて贅沢なんでしょう笑

 

室内が飛行機のような成田エクスプレス。特急券100円ナリ

 

 

初詣でにぎわう参道

 

権堂駅からは、正月の門前町の風情を楽しみながら善光寺に向かいます。参拝客でにぎわう参道の向こうに仁王門が見えてきました。

 

仁王門は登録有形文化財

 

大正時代に再建されたという仁王門、仁王さんもいいですが、面白いのはその裏側に安置されている「三面大黒天」。左から毘沙門天、大黒天、弁財天という、ちょっと変わった三天合体の尊像。

 

経年による剥落もありますが色彩も見事

 

お次は重要文化財の山門に登って国宝の本堂をパチリ。その後いよいよ本堂を参拝。真っ暗闇の中を本尊の真下を通っていく「お戒壇めぐり」もやって地下通路から戻ると、内陣に案内されて、そこで座って待っていろと。何をするのかとよくわかりませんでしたが、しばらくして内々陣の緞帳が上がりました。それで絶対秘仏のご本尊が安置されている宮殿(くでん)が見ることができるという、特別な場合に行われる礼拝儀式なんだそうです。ふーん。

 

撞木造り(しゅもくづくり)という本堂は1707年の再建

 

 

古代寺院としての善光寺

 

ところで善光寺に伝わる『善光寺縁起』には、釈迦の時代の如是姫のエピソードに続き、当寺の本尊である如来三尊の由来が記されているそうです。日本の仏教伝来時の崇仏派(蘇我氏)と廃仏派(物部氏)の争いは教科書にも登場する有名な話ですが、その時に物部氏によって難波の池に遺棄された仏像を、信濃の国の本田善光が持ち帰り、自宅に祀ったのが善光寺の本尊だというのです。

 

難波の池の跡と伝わる場所。大阪ではなく飛鳥の向原寺の近くにあります

 

善光寺の本尊は絶対秘仏とされていて、だれも見ることができません。したがってどのようなものなのかは不明。本尊を模したという「善光寺式阿弥陀三尊」は、一つの後背に三尊が並ぶというもので(一光三尊形式)、鎌倉・室町期に各地で作られたとのことです。

 

東京国立博物館の法隆寺宝物館には、半島から伝わったとされる6~7世紀の三尊像があり、善光寺の三尊像もこれに似ているのではないかとの話もあります。

 

法隆寺宝物館の一光三尊仏立像(如来及両脇侍立像)は重要文化財指定

 

善光寺の本尊が難波の池から持ち運ばれたという由来が事実かどうかはさておき、善光寺の境内からは白鳳期の瓦が出土していて、ここに古代寺院があったことは間違いありません。実は今回の旅行はその瓦を見るのが目的の一つだったのですが、善光寺境内の「善光寺史料館」には展示なし。お寺の案内の方に尋ねてみましたが、ご存じ無いようでした。

 

あとで知ったのですが、古瓦は善光寺の近くにある「善光寺大勧進宝物館」「善光寺大本願宝物館」で展示されていたようです。善光寺一帯はいわば「善光寺グループ」のような建物群が形成されていて、本体寺院だけではなく、様々な関連施設が集まっています。古瓦がどこで展示されているのかは、現地に行って聞けばいいやと、事前リサーチをおろそかにしていたのもまずかったですね。反省。

 

 

信州と言えば....

 

さて、信州といえば蕎麦ですね。といっても高級な所ではなく、駅そばをすするのが私は好きです。長野駅のホームに駅そばがありましたので、さっそくそこへ。

 

月見そばを注文。美味し

 

小腹が満たされたので、長野駅から18きっぷで帰途につきます。犀川と並走するように松本方面へ。夕空に北アルプスのシルエット。

 

車窓の夕景。オレンジ色がうつくしい

 

よそ者の私は、長野~松本間は近郊路線で列車の本数もたくさんあり、所要時間も30分程度と思い込んでいたのですが、実際は単線区間で所要時間も1時間以上。松本駅に着いてここで乗り換えなのですが、途中下車しましょう。次の列車の発車時間まで、駅のすぐそばの榑木野(くれきの)松本駅舎店でちょっと一杯

 

まずは地ビールで一杯

 

馬刺しなどをあてに飲む

 

晩酌ですっかり気分も良くなって、松本駅からの残りの行程は車中で大爆睡です。めでたく18きっぷをコンプできました。

 

 

[訪問日]2023.1.8