静岡県浜松市天竜区の秘境駅と廃校休校巡り(2014/11/23) | haiko-riderのブログ

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2010年春から現在まで、趣味で廃校休校巡りをしてます。
これまでに訪れた校舎や思い出を記事にしてます。
無分別な廃墟探索とは全く異なりますので、誤解無きように。



天竜区(てんりゅうく)は、浜松市を構成する7つの行政区の1つです。(黄緑色)
浜松市北部の「北遠地区」と呼ばれる地区で、区域の大部分を森林が占めています。
北方は愛知県、長野県と接しています。



天竜区は2005年7月1日に浜松市に編入した旧天竜市、旧龍山村、旧佐久間町、
旧春野町、旧水窪町の旧北遠5市町村から構成されています。
浜松市の主要な産業の一部である林業は主にこの天竜地区が主力ですが、
全国の山村地帯の多くと同じく過疎化が進行しています。
日本の政令指定都市の行政区の中で人口、人口密度ともに最少の区です。

秋葉ダム
秋葉ダム

大阪から浜松へは、高速ならば名神・東名を利用して行くのが

一般的ですが、例の如く、深夜に出発して一般国道(名阪経由)を

経て早朝に目的地に到着します。

渋滞もなくスムーズに行けることと、高速代を節約するためです。

さて、豊橋から浜名湖北岸の国道362号を利用し、浜松市北区、浜北区を

経て、天竜区に入りました。

旧天竜市中心街からは、天竜川に沿って国道152号を北上します。

そして、秋葉トンネルを抜けて程無く、旧龍山町に入るとダムがあります。

秋葉ダムは、天竜川本川中流部に建設されたダムです。

1958年(昭和33年)に完成しました。


龍山中学校1

龍山中学校3

龍山中学校2
龍山(たつやま)中学校(2008年閉校)

国道152号を北上し、旧龍山町瀬尻地区の沿道にあります。

校門に大きな立て看板があり、迷うこともありません。

鉄筋3階建ての重厚な校舎です。

比較的新しく見えましたが、これといった特徴も無い校舎です。

目の前は、天竜川が悠然と流れています。


JR水窪駅4


JR水窪駅3


JR水窪駅2

JR飯田線水窪(みさくぼ)駅

飯田線は、愛知県豊橋市の豊橋駅と長野県上伊那郡辰野町の

辰野駅を結ぶ鉄道路線です。

駅数が多いのが特徴で、沿線には景勝天竜峡もあり

車窓から風光明媚な風景が楽しむことができます。

水窪駅は、旧水窪町の市街から水窪川を渡った対岸の高台にあります。

ここにバイクを停めて電車で秘境駅へ向います。


JR水窪駅5


JR水窪駅6
JR水窪駅から見た町並み


JR小和田駅3

JR小和田駅に着きました。

駅名標の隣に立っている「恋成就駅 小和田」の意味判りますね?!


 

水窪駅からは大原トンネルを抜けて大嵐(おおぞれ)駅を経て小和田駅です。

乗車時間は約10分、運賃210円(片道)です。

   

JR小和田駅2
三県境界を示す案内板

愛知県、静岡県、長野県の3県のちょうど境界線付近に駅があります。


JR小和田駅1



駅は前も後もトンネルに挟まれた間にあります。

かつては複線のホームだったようです。

下車したのは、私と青年二人だけでした。

青年二人は、輪行してきた自転車を組み立てておりましたが、

付近にサイクリングロードでもあるのでしょうか。。

JR小和田駅10
駅の遠景

何か終着駅のような郷愁漂う木造駅舎です。


JR小和田駅7
陽が昇っても玄関のランプは灯っていました。



レトロな駅名標


JR小和田駅25
ご成婚ブームの名残、「花嫁号」のヘッドマーク


JR小和田駅22

駅内の様子

公衆電話の看板がありますが、携帯が普及した現在では

珍しく感じられますね。


JR小和田駅5

三県境が判りやすく描かれていました。


JR小和田駅4

けっこう年季の入った十二単結婚式の写真

JR小和田駅21
当日は、8時16分~8時48分の間、駅周辺を散策することにしました。

運行本数が少なく、上下間隔があいているので特別な目的がなければ

長居はできません。


JR小和田駅8

駅から河岸へ下りる細い坂道が続いています。


JR小和田駅18
途中に東屋があり、二人掛けの木製の椅子が置かれています。

背もたれには、朱字で愛と書かれています。(判読し難い)

かつては、多くのカップルが記念写真を撮ったことでしょうが、

老朽化しており、座る気になりませんでした。


JR小和田駅11


JR小和田駅12

坂道を下りた突き当たりに、廃屋と化した製茶工場があります。

案内標識には、塩沢集落1時間と書いてありますが、

遠すぎる道程です。


JR小和田駅13

河畔を散策してみます。

遊歩道?が続いており、歩くには快適な道ですが
人家も無い山中で、静寂だけが支配する淋しく不安な道でもあります。


JR小和田駅16

エメラルドグリーンの天竜川

手付かずの美しい自然が残っています。


JR小和田駅15
川面に映る紅葉の山々


JR小和田駅14

JR小和田駅26


JR小和田駅27
帰る時間です。

あっと言う間でした。。

3分遅れで電車が入ってきました。

無人駅のため、車内で車掌さんから切符を買い、下車時に車掌さんが回収します。


JR小和田駅19
小和田駅、味わい深い木造駅舎でした。

小和田駅は、飯田線では静岡県の最北端に位置する駅であり、

日本屈指の秘境駅です。

「日本の美しい無人駅」の1位に選出されたこともあります。

駅前には何ら施設が無く、また道路が通じていないため 自動車では訪問できないことから、
鉄道ファンに秘境駅の一つとして知られています。
1993(平成5)年6月の「皇太子殿下・小和田雅子様御成婚」の際には、
その駅名からマスコミに注目され、大勢の人が訪れるなど大変なブームを呼びました。
1956年(昭和31年)に完成された、天竜川下流の佐久間ダム建設にともない、

駅前一帯はダム湖と化して、集落や道路のほとんどが水没することになり、

ほぼ無人地帯となったまま現在に至っています。


城西小学校相月分校2

城西小学校相月分校4


城西小学校相月分校1


城西小学校相月分校3


城西小学校相月分校5
城西(しろにし)小学校相月(あいづき)分校(1967年廃校)

国道152号に戻り、一旦南下し旧佐久間町相月集落にあります。

山の斜面に茶畑が広がる長閑な集落です。

青いトタン屋根は改築後に被せたらしく、元来は2階建ての木造校舎でした。

玄関の破風に「相月」の文字が読み取れますが、続く文字は消えてわかりません。

その上方には、「水」の文字が入った鬼瓦が見えますが、火除けでしょう。

学校跡なら「学」の文字があるのが一般的ですが。。

電源スイッチの横には、カタカナ混じりの独特の注意書きがありました。

現在は、地区の集会所として利用されているようです。


西浦小学校1


西浦小学校4


西浦小学校2


西浦小学校3


西浦小学校7

西浦小学校6
西浦(にしうれ)小学校(2008年廃校)

国道152号を再び北上し、旧水窪町奥領家小所能地区にあります。

沿道から杉木立の道を上がると、広い校庭の高台に2階建ての木造校舎が

見えました。

モルタルの壁に木板を打ち付けた、温かみを感じる洒落た外観です。

犬に吼えられながら、正面玄関に近付いてみると

校内では個展が開催されていました。

立て看板に「こてんこもり」とありますが、「個展」+「てんこもり」を

掛けた造語のようです。

廃校後は、「ミナの森・にしうれ小学校」という施設として再生され、

作品の展覧会やカフェを楽しむ場となっています。

1991年度の在校生徒は16名でした。


中野田集落の風景1


中野田集落の風景2

中野田集落の風景

国道152号を南下し、城西小学校付近から県道290号に入り

山奥へ進み、次の廃校を目指します。

中野田は、一面に茶畑が広がる山間集落です。

錆び付いた火の見櫓が今でも残っていました。


城西小学校野田分校1

その集落から高台の広場へ続く石段を登ります。


城西小学校野田分校7
門柱に学校の表札はなくなっていましたが、皇紀2600年の記念碑は

取り外されずに残っておりました。

1940年(昭和15年)は皇紀2600年(神武天皇が即位して2600年)とされ、
当時、全国的に祝賀行事が行われました。

その一環として建てられたものでしょう。


城西小学校野田分校2


城西小学校野田分校3


城西小学校野田分校5

城西(しろにし)小学校野田(のた)分校(1971年廃校)

水色のスレート屋根が眩しい平屋建て木造校舎です。

ただし、先ほどの相月分校と同様に、元は2階建て校舎だったものを

廃校後に改修して平屋にしたとのことです。

校庭は整備されており、地元の方々の運動の場として

使用されているようです。


佐久間文化伝承館1


佐久間文化伝承館3

佐久間民俗文化伝承館

北条(ほうじ)峠の中央構造線の上に、江戸時代末期に建てられた農家を移築した

古風な建物があります。

ここでは、山村の代表的な農家の様子を再現し、
代々伝えられてきた山里の暮らしや豊富な民話を紹介しています。
また、近隣の農家の婦人たちが栽培し、製粉した地元産のそば粉を使った手打ちそばは、

そば通も唸るほどの絶品とのことです。

ざるそばセットを食べましたが、コシがありとても美味しかったです。

「とじくり」という地元のスイーツも甘くて素朴な味がありました。


佐久間文化伝承館4

雛壇に並んだ土びな


佐久間文化伝承館2

敷地内にあった北条(ほうじ)峠にまつわる伝承を

書いた案内板


二本杉峠1

二本杉峠

県道290号の難所です。

ここにも案内の立て札がありました。

旧佐久間町は民話の宝庫ですね。


二本杉峠2


二本杉峠3
二本杉峠から望む羽ケ庄集落

北遠の山々が稜線を連ねています。

佐久間湖
佐久間湖

佐久間ダムによって堰き止められ、波一つ無い穏やかな湖です。

帰りは、国道151号を南下し、豊川ICから高速に入り、東名・伊勢湾岸・

東名阪・名阪国道を経由して家路に着きました。